■うたかたの約束
「ジャック…私の愛しいジャック…」
「そんなに落ち込むなら、密着取材でも何でも行けばいいじゃない。あのジャックなら上も認めてくれるでしょ」
テーブルに突っ伏してさめざめと涙を流すカーリーに、呆れ顔でそう言ったのはアンジェラだった。
なんだかんだで仲の良い二人は、こうしてちょくちょく二人でお茶をしていたりする。
世界の覇者となるべく旅立つジャックを、この街で待つと決めたカーリーだったが、寂しさはそう簡単に我慢できるものでもないらしい。
「それができたら、こんなところで泣いてないんだから~!」
「できないの?」
その言葉に、考え込むような間の後で、むくりとカーリーが背筋を伸ばした。
透き通った眼鏡の奥に光るのは、真剣な瞳。
「……私が新聞記者になった理由は…応援したいって思ったのは、ジャックだけじゃないの。だから、ジャックだけを追いかけるわけにはいかないの…」
「…ふ~ん?」
「それに…ジャックの邪魔は…したく…」
続く言葉が途切れる。
「…あああああ私なんてジャックの夢にはお邪魔虫でしかないんだからぁぁぁあ~~!!!」
「ちょ…っ落ち付きなさいよ他のお客さんに迷惑でしょ!!」
「あああ~ん私のジャックぅぅぅ~~!!!!」
何故、ジャックを追ってはいけないと感じるのか、カーリー自身は知らなかった。
それが――かつて取材を口実にジャックに近づこうとして命を落とし、ダークシグナーとしてジャック自身と命を懸けて戦うことになった――心の奥底に眠る、悲しい記憶のせいだということは。
* * *
“私、ジャックみたいに頑張ってる人を応援するのが好きだった。なのに、自分勝手な幸せを望んだりしたから…きっと、バチが当たったんだね”
“何を言う!誰にでも幸せを願う権利がある。それが罪だと言うのなら、このオレも同罪だ!”
カーリーの中から消え去ったそれは、たった一人ジャックの中にだけ残された、幻のような記憶。
ジャックはその記憶を、一生涯、誰にも話す気は無かった。
(カーリー。お前には、罪も罰も似合わない。せっかく消えたお前の罪を、再び犯させるわけにはいかん。…だからもう、追いかけるな)
“私の本当の願いは、あなたが全ての人に愛され、みんなに幸せを与えられる本物のキングになること。あなたならきっとなれるわ、ジャック・アトラス”
お前がいなくてもきっと、夢は叶えて見せるから――
fin.
ジャックは世界の覇者になったらカーリーにプロポーズするんだよね!そうだと言ってよバーニィ!
でもこの流れだと、むしろ永遠に片想いし続けて独身貫きそうに見えなくもない\(^o^)/
でもその場合でもカーリーはジャックの愛した唯一の女、それは譲れない(笑)
pixivからこのサイトにはリンク等を貼っていません。あんな大手SNSからこんなコアなサイトに直接飛べるようにする勇気無いです\(^o^)/
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