リスペクト公式、と言いつつBL・GL妄想上等の色々無節操なのでカオス注意。
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最初に書いた櫂三和「親愛―friendship」&「「失恋―friendship」の続き。R-18に持っていこうとしたけど三和くんしっかり防衛成功してしまったっていう。なんかもう、BLってなんだっけ。

存在の証明

 その日、家に来るように誘ったのは三和の方だった。
「…やめとく」
 気乗りしないそのわけを、そのときはまだ、はっきりとは分からなかった。
 けれど、いつもならそれで引き下がるだろう三和が、このときばかりは粘ったのだ。
「まぁそう言うなって。お前だってやってねーだろ?明日提出の宿題。一緒にやろうぜ」
「めんどくせぇ」
「なおさらじゃねーか」
 苦笑した三和を見つめて、行きたくないわけでもないことだけは分かった。
 もやもやとした躊躇いの正体は掴めないままで、拒否する理由も見つからなくて。
 結局、諦めたように三和に着いて行くことになった。

 * * *

 いつものように三和の部屋に通されて。
 そこはいつものようにいたって平均的なベッドと机―こちらは学習机ではなく四足の低いテーブルだったが―のある部屋で。
 制服のままでは暑苦しいからと、三和がブレザーを脱いでネクタイを外すのだって、いつものことだったのだけれど。

 何故だろう今日だけは、それがまるで、スローモーションのように網膜に焼き付けられて。

 気づいた時には、その腕を引いて口づけていた。

「…っ」

 瞬間的に払いのけようとした三和の片手は、勢いが足りずに体勢を少し崩しただけだった。
 深く口づけるなら手が足りないと、腕を引いていた手を思わず離して、次の瞬間、三和の自由になった両手で、全力で押し返されていた。
「っこの、バカ!」
 その手が孕んでいた感情は、怒りではなかった。
 どちらかと言えば喝入れのほうだろう、目を覚ませ、という。
 我に返って、気が遠くなっていたことを自覚する。
「…悪い」
「あー…うん」
 どうにも半端な相槌だった。
 言葉を見つけあぐねたのか、暫く口ごもった後、三和はこう問いかけて来た。
「…お前、なんかあった?」
 いたって普通に、ある意味異常なほど、普通に。
 けれど、それが今突然思ったことではないことくらいは、さすがに分かった。
「…それで、呼んだのか?」
 様子がおかしいと、そう思ったからここに連れて来たのだろう。
「まぁ」
 平然としているのも、自分の暴走をある程度予測していたからなのだろう。
 そもそも最初にここに来たのも、似たようなことがあった後だ。
 こんなことがあってもいいけど、借りだということを分かっていろ、と三和は言った。それはつまり、こんなことがあってほしいわけじゃない、という意味で。
「…なんで」
「え?」
「なんで、そこまでするんだ」
 俯いたまま、吐き出す。
「放っとけばいいだろ。勝手に機嫌悪くなって、八つ当たりするような奴なんか。こんなバカ、放っとけばいいだろ!」
「八つ当たりじゃねーだろ、嫌だっつってんの無理やり引っ張ってきたの俺だし」
 けろっとした顔で、三和はそう言った。
 嫌だと口にした覚えはないが、三和にはそう聞こえていたらしい。
 唖然として見つめれば、返ってきたのは苦笑だった。
「放っとけねぇから放っとかねぇって、それだけだよ。それでお前暴発させたんだから、せいぜいおあいこだろ」
 気負いのないその台詞に、嫌でも、とがった心が少しだけ解けていくのが分かる。
 何も言えないでいると、三和がベッドサイドに腰掛けて、嬉しいような、困ったような、複雑な表情で言った。
「俺はさ。一緒にいなくて痛くないのと、一緒にいて痛いのだったら、痛いほうがいいって、そう思うけど」
 告げられた言葉に、息が止まる。
「…お前は、一緒にいて傷つけるのと、一緒にいなくて傷つけないのなら、傷つけない方がいいって思ってんだな、きっと」
 寂しげに言う三和こそ、そう思っている気がした。
 傷つけたことが痛くて、どちらを取ればいいのか、分からなくて。
 それは多分、誤解なのだろう。そう感じているのは―
「……買いかぶり過ぎだ」
「そうかぁ?」
 そう言って苦笑しながら、三和は見上げるように後ろに倒れ込んだ。
 多分、こちらの顔を見ないために。
「…どれだけ俺に貸し作れば気が済むんだ、お前は」
「一生かかっても返しきれないぐらい」
 しれっと答える三和に、どうやって勝てばいいのか分からない。
 胸の痛みから、忘れていた何かが瞳にあふれてくる。
 傷つけるしかできないと諦めて、自分の中に閉じこもって。
 そんな今の自分には、三和の優しさは痛いばかりで。
 自分の中にある痛みに、三和はどんな名前をつけるのか―正直、予想はつくけれど。
 そこまで考えて、乱暴に目元をぬぐった。
(意地でも言ってやらねぇ)
「…ったく、いつまで寝てやがる」
「あ、もういい?」
「宿題するっつったのはそっちだろ」
「はーいはい、よっと」
 起き上った三和に、多分いつもと同じ仏頂面を向けられた―はず、だと思う。
 ただ屈託のない笑顔に、もうそれは完璧とはいかなくて。
 ほとんど苦笑だったかもしれないけれど、微かに、確かに、久しぶりに微笑み返すのは止められなかった。

(…どっちにしろ言えねぇか)

 三和が、優しさで傷つける矛盾と闘うなら。
 自分はきっと、消せない孤独と闘い続ける。
 この胸が痛んでも、それは誰かに触れた証。

 だから今は、寂しくはない。



+++

落ち込むと三和くん襲う櫂くんと、来るなら来い(返り討ちだ)って思ってる三和くんとか\(^o^)/
おかしいのは櫂くんと見せかけて三和くんな気もする。
お前ら普通に喧嘩しろよ。って自分で思った。
いかんせん、普通に喧嘩しそうなイメージがないです(…)
そんなわけで、やっぱりあくまで友情です…(笑)

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