リスペクト公式、と言いつつBL・GL妄想上等の色々無節操なのでカオス注意。
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これでもまだ櫂三和と言い張るべきか悩む、櫂三和「存在の証明」のさらに続き。


forever

 ごくごく平穏な日常、というやつは、案外に脆く、意外なところで綻ぶものだった。
「お前、どこまでならアリなんだ?」
「…何が?」
 櫂との帰り道、何を聞かれたのか分からずに聞き返した三和に、櫂も言葉を探しあぐねるのか、とつとつと返す。
「キスとか、そういうの」
「?…イマイチわかんねぇけど」
「俺がしただろ、二回」
「…………はいぃぃいぃぃいい!?」
 ようやく聞かれている内容に察しがついて、裏返った声を出す。
 言われたことは事実ではある。ただし、一方的なそれに、三和が返したのは拒絶だったけれど。
「なんでそこまで驚くんだ」
「いや…だって」
 それは櫂が、いたって普通な顔で日々を過ごしていたからで。
 それこそ、単なる気の迷いだったんだろうと思える程度に、普通に隣にいてくれたからで。
 つまり、三和としては―
「もう…終わったことかと、思ってたから」
 勘違いだったのだろうかと、微妙にいたたまれない気分で告げる。
 それを聞いても、櫂は冷静なままだった。
「…終わったから、なんじゃねぇの」
「え?」
「終わってなかったら、別の聞き方をするか、聞く以外の方法で試してる」
「物騒な話だな」
「そうだな」
 思わず他人事のようなコメントをしてしまったが、櫂もまた他人事のように答えた。
「…だから、落ち着いて、改めて考えたら、やっぱり意味が分からなかった。お前は、放っとけないからとか言ってたけど…それだけでお前は、どこまで許す気なんだって」
 そこまで聞いてようやく、櫂の言いたいことが見えてきた。
 一呼吸して、いつの間にか固く構えていた体から力を抜く。
「答えにくいこと聞くなぁ」
「答えにくいのか?」
「んー…」
 自分でも、考えたことが無かったわけではない。
 そして正直な話、自分でもよくわからなかった。
 それでも思いつくことを、とりあえず言葉にしてみる。
「…友達以上って言うじゃん」
「…恋人未満?」
 とてつもなく怪訝な顔で、櫂が聞き返す。まぁ、そうだろう。
「それなんだけどさ」
 果たしてこれで伝わるだろうかと思いつつ、言葉を続ける。
「友達以上も、やっぱ友達なんだなーって思うんだよな」
「友達以上の…友達?」
「そんな感じ」
 頭上に広がる青い空を見つめて、思うままを口にのせる。
「…お前が俺になんかしたとして、なんか違うって思えば止めはするけど、そうするしかできなかったんだと思ったら、全部許しちまうんじゃねぇかな、多分」
 そしてそれは結局、櫂が何をしたとしても、許してしまうということなのだろうと思う。
 そうするしかできない以外で、櫂が何かすることなんて多分ない。
 まっすぐだから頑なで、優しいから不器用で、そういう櫂が自分は好きで。
 感慨にふける三和に、櫂は呆れたような声で言った。
「…お前それは、普通に親友って言えばいいんじゃないのか?」
 多分本当に、自然と出て来た言葉だったのだろう。
 きょとん、と三和が見つめると、口に出した内容に後から気付いたのか、櫂がはた、と硬直した。
 慌てているのは、どこまでも櫂のほうで。
「いや、何でもない、今のは忘れ―」
「忘れねぇ!」
 満面の笑みで告げると、真っ赤になった顔でこう返された。
「~~~っ、勝手にしろ!」
「おう!とりあえず今日もカードキャピタルな!」
「はぁ!?おい三和、意味がわからない!」
「いーんだよ意味なんかなんだって!」

 本当に、意味なんかなんでもいいと思った。
 言葉が正しいかどうかは、あまり関係ないのだろう。
 ただこんな風に、こっちを見てほしかった。
 その瞳に、自分がどんな姿で映るのか、教えてほしかった。
 それが自分の望む姿であったなら―もうこれ以上、足りないものなど何もない。

 ごくごく平穏な日常、というやつは、案外に脆く、意外なところで綻ぶものだ。
 けれど綻んでも、結べば分からなくなるあたり、やはり結構丈夫なのかもしれない。
 結び直した絆は、以前よりもずっと強い気がした。

 fin.



+++

高尾滋「ゴールデン・デイズ」(BLっぽい少女漫画)とか、えばんふみ「ブルーフレンド」(百合っぽい少女漫画)とか、ああいうのいいよねっ!って思ってたらこうなった。どっちも、主人公が抱いているのは、あくまで友情なんだろうな、と思う作品です。
いや、そもそも前回R-18にもって行こうとして結局やめた理由って言うのが、河合隼雄の『子どもの宇宙』で紹介されていた、「だれが君を殺したのか」っていう話のあらすじ思い出して、ああ、三和くんがそこで許しちゃダメなんだなーって思ったから、というものだったりして。
そこから「friendship」の続編にすることにした、という流れで、そして「friendship」はタイトルの通り友情の話のつもりで書いてたわけで、まぁ、こういうオチになるのもさもありなん。

…とりあえず高校生組もっと会話してください会話時の口調が分かりません、と思い続けた三部作でした(笑)


追記:
いまさらですがこのカテゴリのSSは全てアップした後しょっちゅう加筆修正とか言うレベルじゃない改訂をくわえられております。
「こっちを見てほしかった」のあたりを加筆しながら、改めて7話の「お前まで…」の素晴らしさを実感しました。今んとこ、この一言だけだろ、櫂が三和に触れたセリフってさ…。三和は櫂に触れまくってるけど(誤解を招く表現)
三和くんのファイトはぜひ櫂絡みでお願いしたいですねーいやマジで。つーか、でないと三和のキャラ設定が不憫すぎるvvvvこのままじゃ超ご都合主義要員に\(^o^)/
ああでも、だからこそ櫂くんがもうちょっと心開かないと三和のファイト書けないのかもしれないですね!アイチがんば!!

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