リスペクト公式、と言いつつBL・GL妄想上等の色々無節操なのでカオス注意。
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4年前ってほんとおいしいですね。公式設定を見たい半面、ネタにしたいから永遠に出ないでくれとも思う(まて)
また喧嘩別れ→再会ネタを書いてしまった…。
淡々と超少女漫画する櫂くんと、キレたり切なかったり忙しい三和くんです。
場所?タイミング?何それおいしい??

 一緒に行こうとか、ついて来いとか、そういうことを言った覚えは櫂には一切無かった。
 ただ、振り返ればいつも隣にいて、自分が誰か―特に年上―に勝ったら、三和はいつもこう言って笑った。
「やっぱ櫂はつえーな!」
 その言葉は、三和が思うよりもずっと深く、櫂の中に根差していた。

 フェアプレイ

 三和は櫂に、ヴァンガードで勝ったことがない。
 毎日のように戦って、負けるたびに三和は「でも今度こそ負けねーからな!」と笑う。
 三和の知る限り、櫂は誰よりも強いヴァンガードファイターだった。

「三和!一緒にヴァンガードしようぜ!」
「え?お、おう!」
 櫂からの誘いなど受けたことがなく、三和は一瞬動揺してから頷く。
 いつもは、櫂が誘うまでもなく自分が誘う。今日だって一緒にやろうという気はあったけれど、まさか先を越されるなんて思いもしなかった。

 * * *

「…っざけんな!」
 叫んだのは、三和だった。
 テーブルに広がったプレイマットの上、櫂のダメージゾーンには五枚のカードが並んでいる。
 櫂はダメージチェックで引いたカードを―敗北を決したカードを手にしたまま、呆然とした表情でその声を聞いていた。
「手加減なんかすんなよ!馬鹿にしてんのか!?」
「ち、違う!」
「違わねーだろ!!そんなんで勝っても嬉しくねーよ!!」
「…っ、それは…」
 言い淀む櫂に、三和がしびれを切らした。
「帰る!」
「三和!」
「しらねー!」
 ショップを飛び出した三和を、櫂は追ってこなかった。
 それが何故だか、三和にはたまらなく悔しかった。
(ちくしょうちくしょうちくしょうちくしょう…!)

 * * *

 その次の日は休みだったけれど、櫂に会いたくなくて一日中家の中で遊んだ。
 最初は、その次の日だって、学校で会っても櫂を無視しようとか、そんなことを考えていたけれど。
 寝て起きたらそんなのは寂しいからやっぱりちょっとだけ文句を言って、謝ったら許してやろうとか、そういうことを考えながら学校に行って。

 学校に櫂は来なくて、代わりに教師から聞いたのは、櫂の一家が急に引っ越したという話だった。

 * * *

 櫂のいなかった四年の間、連絡を取りたいと思っても、こちらから切り捨ててしまった櫂にどんな言葉を告げればいいのか分からなくて。
 再会しても変わり過ぎた櫂に、ひょっとしてそのときのことを根に持っているのだろうかと思ったりもしたけれど。
 どうもそうでもないらしいと感じた三和は、四年越しで、櫂にこう尋ねた。
「なぁ、最後の、喧嘩した日のことだけどさ。あれってひょっとして、餞別のつもりだったのか?」
 櫂はいくぶんか考え込んでから、こう答えた。
「…みたいなもんだ」
「みたいって、そうじゃねーの?」
 聞き返した三和に、櫂はつっけんどんに返す。
「…他人事にいちいち突っ込むな」
「つったって、オレのことじゃん」
 三和はけろっと答える。
 その様子を横目で捕らえて、櫂はため息をつくように言った。
「…聞いて後悔しても知らないからな」
「後悔…?」
 いぶかしげに呟く三和。
「俺は、ヴァンガードで勝ち続けてる間は、お前は俺のだと思ってた」
「ふんふん…って、はい?」
 いきなり出てきた想定外のセリフに、三和が硬直する。
 お前は俺の。どういう意味だ。
 その反応を見つめてから、櫂は先を続ける。
「だけど急に引っ越すとか親に言われて、真っ先に思い浮かんだのはお前と会えなくなるってことだった。嫌だと言っても通るはずもなくて、そのとき初めて、お前が俺のだなんて、そんなわけねーってことに気付いた。馬鹿な話だな」
「………」
「それでせめて、ぎりぎりまで今まで通りにしようと思って、お前に会いに行って、けど全部同じじゃ意味がない気がして、いつもお前がいつか俺に勝つって言ってたから、それができたら喜ぶんだろうかとか考えてたら気が付いたら負けていて、狙ったわけじゃないが、考えてたことを見透かされた気がして言い返せなかった」
 一息に告げられた言葉に、三和はおそるおそる尋ねる。
「…おい、それ…俺は、どう受け取ればいいんだ…?」
 あっさりとした表情で、櫂はそっけなく返す。
「お前の好きにすればいい」
「いや無理だろ!!明らかに!!」
「そうか?面倒なら聞かなかったことにすればいいだろ」
「面倒って…」
 噛み合わない感覚に絶句する三和の前で、櫂は淡々と続ける。
「…お前は、俺が初めて無力感を知ったきっかけだった。勝ったって何にもならないって、お前とはいられないって、そう思った瞬間、世界の全部が無意味になった気がした。…それでも、ヴァンガードはやめられなかった。お前が俺のじゃなくても、勝ちさえすればお前は多分笑ってて、それはきっと嬉しいだろうって、そう思ったから」
 それは独白だった。
 普段の言動からは想像もつかない、脆く柔らかい内心の吐露。
 青天の霹靂とも言えるようなそれに、三和は―
「…ざっけんな!!」
 キレた。
「さっきから聞いてれば一方的すぎんだよ!!お前それが大告白だっつーことを分かって言ってんのか!?聞かなかったことにするとか鬼か俺は!!しかもお前、話すだけ話して肝心なところだけ言ってねーじゃねーか!!」
 まくしたてた三和に、それでも櫂は、顔色一つ変えなかった。
「…言ったら、引き返せないだろ。俺も、…お前も」
「…っ」
 不意に低くなったその声に、ようやく三和は櫂が何にためらっているのかを悟った。
 硬質な表情の奥底で、今までのやりとりから、櫂は―答えになる前の、三和の感情を、測っていた。
「俺がお前のものだなんて、馬鹿にするのも大概にしろって…それくらいのこと、言うかとも思ってたんだがな」
 そんな選択肢があったことにさえ気づかなかった。
 それは、つまり。
(…俺は…)
 勢いを失くして、三和が沈黙する。
 その様子を見つめて、櫂が口を開くよりも一瞬早く、三和が低い声で呟いた。
「…言えよ」
 かすかに、櫂が目を見張った。
「それこそ、馬鹿にすんな。言えよ。ちゃんと、答えてやるから」
 櫂を見据えて、一言ずつゆっくりと、告げる。
 その表情が、痛ましいように、歪んだ。
 こらえきれないように、一歩。
 立ち上がった櫂が、三和の体を抱きしめていた。
「…―――」
 囁かれた、言葉。
 櫂の体温を感じながら、胸中で呟く。
(……これは、ずりーよ。…櫂…)
 どうか逃げないでくれと、懇願するような腕は、一瞬の間違いで壊してしまいそうな何かを、必死で繋ぎ止めようとしていて。
 こんなにも切なく、彼は人を求めるのか。
(勝てるわけねーじゃん…こんなの)
 その腕に応えるように、そっと、抱きしめ返した。
 さらけだされた脆さを、どうしようもなく純粋な優しさを、守れたらいい。
「…俺も、好きだよ、櫂」
 ささやかに確かに、重なった心が震えた。

 fin.

+++

いろいろ誤魔化し過ぎて申し訳ない。
櫂三和で真面目に告白してくっついたのってなにげに初めてですね。
つくづく私は、こういうシリアスっつーか真剣本気純情路線が好きなんだなぁと思いました…(苦笑)

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