リスペクト公式、と言いつつBL・GL妄想上等の色々無節操なのでカオス注意。
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また23話ネタ。

 As you like


 地区大会の後、全国大会に向けての特訓の一環として、いつかアイチがウルトラレアのコーリンと戦って負けたというカードショップ・PSYに行こうと盛り上がっているのを、気の無いそぶりで聞いていた櫂は、カムイの「チームQ4全員集合!」という言葉を聞くや否や、おもむろに立ちあがって一言吐き捨てた。
「そんなカードショップに興味は無い」
「お、おい櫂!」
 そのまま店を出ようとする櫂を、三和は慌てて追いかける。
「へ、へへ、じゃーなっ!」
 誤魔化す様に笑って、櫂と二人、店を後にした。
「なんなんだあいつ…」
 苛立ちを含んだカムイの声が、聞こえた気がした。

 * * *

「おい櫂、なんであんな態度取るんだよ。チームが嫌なわけじゃねーんだろ?」
 そもそも本当に嫌なら、櫂の性格なら出場自体承諾しないだろう。
「いちいち一緒に行動する理由は無い」
 しかし櫂は、すげなくそう返した。
「そりゃそうかもしれねーけどさ…」
「そんなに気になるなら、お前がついて行けばいいだろ」
「だって俺Q4じゃねーもん」
「平行線だな」
「どういう意味だよ」
「チームなんか関係ない。お前がついて行くと言ったら、あいつらは歓迎するんじゃないのか」
 意外なところから反撃されて、一瞬言葉に詰まった。
 そうかもしれない、一瞬納得しかけるけれど、そういう問題ではなかったはずで。
「…あいつらは、お前に来てほしいんだよ」
「チームメイトに来てほしいんだろ」
 俺じゃなくたっていい。言葉にこそしなかったけれど、それはそういう意味だった。
「…お前まさか、拗ねてんのか?」
「別に。単なる事実だ」
 短い、叩き落とすような櫂の言い回しは、今に始まったことではないけれど。
 それが自己否定の方向性を含んでいると感じたのは、今日が初めてだった。
「…どっちにしたって、あいつらが来てほしいチームメイトはお前だろ」
「けど俺は行きたくない。それだけだ」
「あーもうこいつは…」
 いい加減俺だって切れるぞ。内心でそんなことを思いかけた三和に、櫂がぼそりと何か言いかけた。
「…だったらお前は―」
 そこで不意に口をつぐむ。口が滑った、相変わらず無表情だったけれど、そういう雰囲気だった。
「…だったら、なんだよ」
「なんでもない」
「なんでもなくねーだろ、今のは」
「言いたくない」
「………」
 取り付く島の無い櫂を前に、三和はそれまでの流れを頭で整理してみる。
 チームは嫌じゃない。けどチームは一緒にいる理由にはならない。だからチームじゃない三和がついて行ってもいい。カムイ達はチームだから櫂にいてほしい。櫂は一緒にいたくない。だったら三和は?
「……………え?」

 だったらお前は、どうしてここにいる?

「………」
 引き出された解答はこれ以外に思いつかなかった。
 櫂にいてほしいカムイとアイチ。一緒にいたくない櫂。櫂を追いかけてここにいる三和。
「………お前といたいから」
 追いかけなければ置いて行かれると、知っているから。
 予想した質問にそう答えれば、ぼそりと返事があった。
「………その程度だろ、理由なんか」
 好きにすればいい。俺も好きにする。
 どうせ誰もが、好きに生きている。
 櫂が言いたいのは、そういうことなのだろうか。
「……お前、なんで俺のこと追いはらわねーの?」
 尋ねた言葉に、櫂はひとことこう返した。
「お前は馬鹿か?」
 確かに、もう答えの分かり切った質問だった。
 だからこそ、三和はからかうような表情で返した。
「馬鹿じゃねーよ」
「ニヤつくな。気色悪い」
 照れ隠しに見えたのは、あながち間違いではないと思う。
「あーあ、苦労するな~カムイもアイチも、あと店員のねーちゃんも?」
 そんなことを言っているうちに櫂はどんどん不機嫌になったけれど、構うものか。
 それでも好きにすればいいと、櫂は思っているようだから。
「…いい加減うぜぇ」
 その分、反撃はされるけれど。
「はーいはい、そろそろ自重しますよっと。怒らせると怖いからな」
「うるさい」
「へへっ、じゃーまたな!」
「ああ」

 櫂は櫂なりに、周りのことを認めている。喧嘩上等、そんな男らしすぎるやり方で。
 それでも、押しかける自分から逃げないなら、多分、カムイ達が櫂を攻略する方法もあるのだろう。
 ただこの尖った高校生は、少年達を年下扱いして手加減する気はないらしい。
(がんばれ、小中学生)
 波乱は絶対にあるだろう、そう思いながらも、何故か心は躍ってしまう帰り道だった。



+++

嫌なことは嫌って言う櫂が嫌って言わないなら嫌じゃないんだっていう話。
誰に対しても平等に容赦ない櫂くんが好きすぎるから自分どうしようもないvvvv
今のところその櫂と対等にやりあえるのは、やっぱ三和くんやレンやテツっぽい。あとミサキさんが微妙。お互い暗黙の不干渉条約結んでる感じするけど…vv

しかし本編のノーマルSSはパターン決まり始めててつらい…orz

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