リスペクト公式、と言いつつBL・GL妄想上等の色々無節操なのでカオス注意。
「ガードキャンセル」の続き。改変36話(裏ファイト回)、シリーズ完結編。
なんだかんだ「friendship」の三連作とテーマほとんど違わないです…(笑)
でもあっちはキスまでだったけどこっちは(以下略)
描写はたいしたことないですが、急展開超展開で地味に過激でヘビーです。というか櫂くんが情緒不安定ぶり返してます。ジュン様は出てきません(笑)
なんだかんだ「friendship」の三連作とテーマほとんど違わないです…(笑)
でもあっちはキスまでだったけどこっちは(以下略)
描写はたいしたことないですが、急展開超展開で地味に過激でヘビーです。というか櫂くんが情緒不安定ぶり返してます。ジュン様は出てきません(笑)
チームQ4夏の強化合宿は、文句なく楽しかった。ヴァンガードだけじゃなく、カレー作りで櫂の意外な特技まで知ることができたし、花火もしたし。朝は早くから海に来てまでヴァンガードをしている櫂や光定は、もう呆れるを通り越してさすがと言うしかないだろう。何より、櫂が普段よりリラックスしていたのが単純に嬉しかった。
けれど次の日から、櫂はまたふっつりとカードキャピタルに現われなくなってしまった。気になって、いつか言われた文句も無視で尾行してみれば、櫂は普通のファイターでは飽き足らず、ガラの悪い裏ファイター達にヴァンガードファイトを仕掛けていた。
「俺の勝ちだ。約束通り、ジュンを呼んで来てもらおう」
「ふざけんな!裏ファイトのキングを気安く呼ぶんじゃねぇ!」
「――ちょっと待ったぁ!」
セカンドファイト
裏ファイター達を舌先三寸で言いくるめて、三和は櫂を連れて河川敷を歩いていた。
「……あんな無茶、するなよ」
呟くように言った言葉に、櫂は答えない。
振り向いて見れば、俯いたまま立ち止まる櫂の姿があった。
「なんでそんな焦ってんだよ。雀ヶ森レンがすげぇ強いってのは、俺だって分かるけど……」
「……焦りもするさ」
低い声で、櫂が呟いた。
「光定は強かった。その光定でも、レンには勝てなかったんだ」
その言葉に、三和は息を呑んだ。
櫂がほとんど全面的に他人を肯定する言葉を、覚えている限りで再会してから初めて聞いた。だからその発言の重さが、三和には分かってしまった。
櫂が焦りを覚えるだけの理由が、確かに存在していることが。
「櫂……」
光定を通じて、櫂はレンの力を改めて実感してしまった。
だからカードキャピタルの仲間では――いまだ彼らに届かない仲間の相手では、櫂にとっては、それこそ焦りを増幅させてしまうのだろう。
「……どうしても行くのか?」
ほとんど無駄と知りながら尋ねた問いに、櫂はまっすぐに三和を見据えながら答えた。
「ああ」
挑むようなその瞳に、三和はばりばりと頭をかいて、こう言った。
「俺も一緒に行く」
「断る」
嫌がる提案だろうとは思ったが、予想以上に速攻の拒絶だった。
鋭い視線が、三和を貫いている。
「これは俺の問題だ」
「分かってるさ!だけど俺は――」
「放っておきたくないんだろう!?」
「……っ」
苛立った声で言い当てられて、三和の息が詰まる。
「俺だって分かってるさ。分かってるから……!」
強引に肩を引き寄せられて、噛みつくように口づけられた。この間のキスとは違う、奪うようなそれに、じわじわと息が上がっていく。絡みつくような腕は、逃がさないとばかりにきつく抱きしめてくる。
(こわい)
抵抗しようにもタイミングが遅すぎて、既に力を入れにくくなった体では簡単には振りほどけなかった。解放されるのを待つしかないような状況に、気が遠くなりそうになる。
ようやく唇が離れたときには、息苦しさだけなのかどうか、三和の瞳はうっすらと涙に濡れていた。
「……いまの、何……」
「忘れたのか?俺がお前をそんな目で見ていたことぐらい、気づいていたはずだろう」
どこか自虐的に嗤う櫂に、いつか見た表情が重なる。
“気色悪かったか?”
あの時も櫂は、瞳の中に昏い炎を宿しながら、同じ様に笑っていた。
自分自身を貶めるように。
「……なんで」
繰り返している。いや、後回しにした問題に、もう一度出くわしただけ。
だからもう――後回しには、しない。
「なんで、お前がそんな顔するんだよ……!」
今度こそ本当に、涙があふれたのが分かった。
「……っ」
櫂が自分を抱きしめた。こういうときの櫂はいつもそうだ。見たくない顔から目をそむける代わりに、腕の中に閉じ込めてしまう。
「そんな風に俺を許すな……!」
痛いほど抱きしめられて、今更気づいた。
櫂が何より壊したくないもの。けれど何より壊したいもの。それが自分だった。
壊したくないのだ。許されたら壊してしまう。だから櫂は、自分で自分を許さない。
そんなことはもう、分かったけれど。
「許すしかねーじゃん!俺は、お前と一緒にいたいのに!!」
「馬鹿だ、お前は……!」
何を言われても構うものかと、三和は顔を上げて櫂へと口づけた。櫂が戸惑ったのは一瞬で、一方的なそれは互いに貪るような口づけに変わる。今の今まで、これだけの熱量を封印してきたのか。
守るために。
(変なとこ、真面目すぎんだろ)
三和の中で、ひとつの覚悟ができあがっていく。
長い口づけのあと、荒い息が落ち着くのを待って、三和は櫂に告げた。
「……裏ファイトはついてく。お前が駄目だっつってもついてくことくらい、分かってんだろ」
というよりも、わざわざ櫂に確認を取っていることのほうが、櫂には重いのだろう。
こんな関係でなければ、櫂も、自分も、もっと身軽に動けていたはずだった。
理解はしていても、もう引き返すことはできない。
「それで勝ったら、お前、俺んち来いよ。今日、俺以外いないから」
櫂が驚愕に目を見開く。その誘いがどういう意味かは、さすがに分かるだろう。
その櫂から目をそらさないままで、三和は告げた。
「……お前は俺を、傷つけていい」
「三和」
挑発という言葉の意味を、今初めて理解したような気がした。
「信じろ。それでも俺は壊れない。つーか、壊れてやらねぇ!」
これは挑戦状。櫂への、そして自分自身への。
「だからもう、自分のこと見下すの、やめろ」
それは俺が痛いから、とは三和は言わなかった。言わなくても櫂は、とっくに知っているのだろうから。
もたれかかるようにして、櫂が三和に抱きつく。
「……お前にはかなわない」
泣きだしてしまいそうな声のそれは、三和が初めて勝ち取った、櫂からの敗北宣言だった。
* * *
「……無理ならそう言えよ。でなきゃ、また後悔するハメになる」
「わーかってるって……っ、今の待て」
「……痛むか?」
「いや……大丈夫、だと思う……」
「頼りないな」
「悪かったな」
「別に」
二人してどう頑張っても、痛かったし、辛かった。それは櫂も同じだろう。
それでも最後に残ったのは、触れあえたことの確かな悦びだった。
* * *
エピローグ
「櫂、俺さ」
「……なんだ?」
「んー、やっぱなんでもねぇ」
むっとした櫂の顔にお構いなしで、三和は笑った。
隠し事だらけの櫂に、これぐらいの意趣返しはしたっていいだろう。
(俺はずっとお前に憧れて、……きっとお前になりたかった)
そんな櫂に隣を許されていることは、十二分に誇らしくて、気づきもしなかったけれど。
今度のショップ大会には、櫂に内緒で参加してみようか。櫂と同じかげろうを使って、できれば同じように、アイチと闘ってみたい。きっと櫂のようにはいかないけれど、それでいいから。
「俺、お前のこと好きだよ」
何度目かのその言葉は、どうしてだか、毎回意味が違う気がする。
「……俺も好きだ、だから」
続いた言葉に、三和はまたひとつ笑った。
お前は、お前でいろ。
fin.
+++
なんか、最後の話だけえらい渾身の力で書いてしまいました…。
ユベル言うところの「だってそれが君の愛だろう?」みたいな展開というか、友情を目指して恋が始まった気がしたけど結局友情に帰ってきた感じです。それでこれとか…ははは…。
でもまぁ、この話自体は完全にパラレル時空になってしまいましたが、ラストは本編につながるように軌道修正はできたかなと思ったり…。
もともと「フェアプレイ」の目的が三和くんに意地張らせて櫂くんに弱音(本音?)吐かせることで、「モードチェンジ」でそれやると櫂が辛くなるんだということが分かってきて、「アドバンス」で恋愛モード100%にすることでその辛さを回避してたんですが、「ガードキャンセル」喫茶店シーンでああこれ回避しきれねーわとなってこの話になりました。ただ「モードチェンジ」の時点で最後は三和くんから誘わせよう!とは思ってたので、それが達成できたのは満足です(笑)
まぁしかしなんだ、疲れた。友情を恋愛に曲解リライトするのは疲れる(笑)いやぁ、ここだけの話、私は36話でトドメ刺されたクチなんですよねー(乾いた笑い)
あれで櫂三和ファンが増えてるとか、私には皮肉すぎて困る…(笑)
そして何故か最後まで町中でイチャつくのを自重しないシリーズでした。お前ら絶対噂されてんぞ。
けれど次の日から、櫂はまたふっつりとカードキャピタルに現われなくなってしまった。気になって、いつか言われた文句も無視で尾行してみれば、櫂は普通のファイターでは飽き足らず、ガラの悪い裏ファイター達にヴァンガードファイトを仕掛けていた。
「俺の勝ちだ。約束通り、ジュンを呼んで来てもらおう」
「ふざけんな!裏ファイトのキングを気安く呼ぶんじゃねぇ!」
「――ちょっと待ったぁ!」
セカンドファイト
裏ファイター達を舌先三寸で言いくるめて、三和は櫂を連れて河川敷を歩いていた。
「……あんな無茶、するなよ」
呟くように言った言葉に、櫂は答えない。
振り向いて見れば、俯いたまま立ち止まる櫂の姿があった。
「なんでそんな焦ってんだよ。雀ヶ森レンがすげぇ強いってのは、俺だって分かるけど……」
「……焦りもするさ」
低い声で、櫂が呟いた。
「光定は強かった。その光定でも、レンには勝てなかったんだ」
その言葉に、三和は息を呑んだ。
櫂がほとんど全面的に他人を肯定する言葉を、覚えている限りで再会してから初めて聞いた。だからその発言の重さが、三和には分かってしまった。
櫂が焦りを覚えるだけの理由が、確かに存在していることが。
「櫂……」
光定を通じて、櫂はレンの力を改めて実感してしまった。
だからカードキャピタルの仲間では――いまだ彼らに届かない仲間の相手では、櫂にとっては、それこそ焦りを増幅させてしまうのだろう。
「……どうしても行くのか?」
ほとんど無駄と知りながら尋ねた問いに、櫂はまっすぐに三和を見据えながら答えた。
「ああ」
挑むようなその瞳に、三和はばりばりと頭をかいて、こう言った。
「俺も一緒に行く」
「断る」
嫌がる提案だろうとは思ったが、予想以上に速攻の拒絶だった。
鋭い視線が、三和を貫いている。
「これは俺の問題だ」
「分かってるさ!だけど俺は――」
「放っておきたくないんだろう!?」
「……っ」
苛立った声で言い当てられて、三和の息が詰まる。
「俺だって分かってるさ。分かってるから……!」
強引に肩を引き寄せられて、噛みつくように口づけられた。この間のキスとは違う、奪うようなそれに、じわじわと息が上がっていく。絡みつくような腕は、逃がさないとばかりにきつく抱きしめてくる。
(こわい)
抵抗しようにもタイミングが遅すぎて、既に力を入れにくくなった体では簡単には振りほどけなかった。解放されるのを待つしかないような状況に、気が遠くなりそうになる。
ようやく唇が離れたときには、息苦しさだけなのかどうか、三和の瞳はうっすらと涙に濡れていた。
「……いまの、何……」
「忘れたのか?俺がお前をそんな目で見ていたことぐらい、気づいていたはずだろう」
どこか自虐的に嗤う櫂に、いつか見た表情が重なる。
“気色悪かったか?”
あの時も櫂は、瞳の中に昏い炎を宿しながら、同じ様に笑っていた。
自分自身を貶めるように。
「……なんで」
繰り返している。いや、後回しにした問題に、もう一度出くわしただけ。
だからもう――後回しには、しない。
「なんで、お前がそんな顔するんだよ……!」
今度こそ本当に、涙があふれたのが分かった。
「……っ」
櫂が自分を抱きしめた。こういうときの櫂はいつもそうだ。見たくない顔から目をそむける代わりに、腕の中に閉じ込めてしまう。
「そんな風に俺を許すな……!」
痛いほど抱きしめられて、今更気づいた。
櫂が何より壊したくないもの。けれど何より壊したいもの。それが自分だった。
壊したくないのだ。許されたら壊してしまう。だから櫂は、自分で自分を許さない。
そんなことはもう、分かったけれど。
「許すしかねーじゃん!俺は、お前と一緒にいたいのに!!」
「馬鹿だ、お前は……!」
何を言われても構うものかと、三和は顔を上げて櫂へと口づけた。櫂が戸惑ったのは一瞬で、一方的なそれは互いに貪るような口づけに変わる。今の今まで、これだけの熱量を封印してきたのか。
守るために。
(変なとこ、真面目すぎんだろ)
三和の中で、ひとつの覚悟ができあがっていく。
長い口づけのあと、荒い息が落ち着くのを待って、三和は櫂に告げた。
「……裏ファイトはついてく。お前が駄目だっつってもついてくことくらい、分かってんだろ」
というよりも、わざわざ櫂に確認を取っていることのほうが、櫂には重いのだろう。
こんな関係でなければ、櫂も、自分も、もっと身軽に動けていたはずだった。
理解はしていても、もう引き返すことはできない。
「それで勝ったら、お前、俺んち来いよ。今日、俺以外いないから」
櫂が驚愕に目を見開く。その誘いがどういう意味かは、さすがに分かるだろう。
その櫂から目をそらさないままで、三和は告げた。
「……お前は俺を、傷つけていい」
「三和」
挑発という言葉の意味を、今初めて理解したような気がした。
「信じろ。それでも俺は壊れない。つーか、壊れてやらねぇ!」
これは挑戦状。櫂への、そして自分自身への。
「だからもう、自分のこと見下すの、やめろ」
それは俺が痛いから、とは三和は言わなかった。言わなくても櫂は、とっくに知っているのだろうから。
もたれかかるようにして、櫂が三和に抱きつく。
「……お前にはかなわない」
泣きだしてしまいそうな声のそれは、三和が初めて勝ち取った、櫂からの敗北宣言だった。
* * *
「……無理ならそう言えよ。でなきゃ、また後悔するハメになる」
「わーかってるって……っ、今の待て」
「……痛むか?」
「いや……大丈夫、だと思う……」
「頼りないな」
「悪かったな」
「別に」
二人してどう頑張っても、痛かったし、辛かった。それは櫂も同じだろう。
それでも最後に残ったのは、触れあえたことの確かな悦びだった。
* * *
エピローグ
「櫂、俺さ」
「……なんだ?」
「んー、やっぱなんでもねぇ」
むっとした櫂の顔にお構いなしで、三和は笑った。
隠し事だらけの櫂に、これぐらいの意趣返しはしたっていいだろう。
(俺はずっとお前に憧れて、……きっとお前になりたかった)
そんな櫂に隣を許されていることは、十二分に誇らしくて、気づきもしなかったけれど。
今度のショップ大会には、櫂に内緒で参加してみようか。櫂と同じかげろうを使って、できれば同じように、アイチと闘ってみたい。きっと櫂のようにはいかないけれど、それでいいから。
「俺、お前のこと好きだよ」
何度目かのその言葉は、どうしてだか、毎回意味が違う気がする。
「……俺も好きだ、だから」
続いた言葉に、三和はまたひとつ笑った。
お前は、お前でいろ。
fin.
+++
なんか、最後の話だけえらい渾身の力で書いてしまいました…。
ユベル言うところの「だってそれが君の愛だろう?」みたいな展開というか、友情を目指して恋が始まった気がしたけど結局友情に帰ってきた感じです。それでこれとか…ははは…。
でもまぁ、この話自体は完全にパラレル時空になってしまいましたが、ラストは本編につながるように軌道修正はできたかなと思ったり…。
もともと「フェアプレイ」の目的が三和くんに意地張らせて櫂くんに弱音(本音?)吐かせることで、「モードチェンジ」でそれやると櫂が辛くなるんだということが分かってきて、「アドバンス」で恋愛モード100%にすることでその辛さを回避してたんですが、「ガードキャンセル」喫茶店シーンでああこれ回避しきれねーわとなってこの話になりました。ただ「モードチェンジ」の時点で最後は三和くんから誘わせよう!とは思ってたので、それが達成できたのは満足です(笑)
まぁしかしなんだ、疲れた。友情を恋愛に
あれで櫂三和ファンが増えてるとか、私には皮肉すぎて困る…(笑)
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あと最近転載しているTwitterはpixivのプロフから飛べます。非公開中です。なんでそんなめんどくさいことしてるんだなんて聞かないであげてください。コミュニティごとに人格切り替えないとパニックになるタイプなんだよ!!(明らかに最初にpixivとHP切り離したのが敗因)
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