リスペクト公式、と言いつつBL・GL妄想上等の色々無節操なのでカオス注意。
櫂VSヘルアイチ展開予想。アイチは「神を生贄にブルーアイズを召喚!」でPSYクオリアを克服したらいいんじゃないかという妄想。のはずだったけどあんまそういう感じじゃなくなった。
ぶっちゃけた話全力で書きすぎた感が否めないvvvvvv
ぶっちゃけた話全力で書きすぎた感が否めないvvvvvv
PSYクオリアさえあれば、アイチの勝利は揺るがないはずだった。けれど――
(敗北のイメージしか浮かばない……!?)
ファイト前に浮かんでいた勝利のイメージが、幻のように消え去っていく。
全力を尽くす櫂を前にして、アイチのデッキが怯えていた。
「……嘘だ……」
かたかたと震えだしたアイチに、櫂は容赦なく次の攻撃を加える。
「消え失せろ、全ての光よ。《アンバー・ドラゴン“蝕”(イクリプス)》で、《ファントム・ブラスター・ドラゴン》を攻撃!」
「が、ガード……!」
手札を全て使いきって、アイチがその攻撃を凌ごうとする。
「それでいいのか?」
冴えた視線がアイチを貫く。
「……っ!?」
「チェック・ザ・ドライブトリガー!一枚目……二枚目。ゲット、クリティカルトリガー!」
櫂の引いたトリガーは一枚。ヴァンガードにパワーを加算しても、アイチのガードを超えることはできない。
「なんだ……これなら、攻撃は通じない……」
「安心するのは早い。パワー、クリティカル、共に《ラーヴァアーム・ドラゴン》に!」
「しまっ……」
まだスタンドしているユニットに、クリティカルトリガーが上乗せされる。アイチのダメージゾーンには四枚のカード。この攻撃で敗北してもおかしくない。
「インターセプト!《ファントム・ブラスター・ドラゴン》の盾になれ!!」
インターセプトによって、アイチはかろうじてその攻撃をしのぐ。
「……ターンエンド」
今のターンで、櫂はアイチにダメージを与えられなかった。
しかしアイチのフィールドにはヴァンガードが一体残るだけ。手札さえ、残っていない。
デッキへと伸ばしたアイチの手は、カードに触れられずに震える。
(怖い)
失くしてしまった勝利へのイメージ。
能力などなくても分かる、自分の敗北のイメージ。
手を下ろしかけたアイチに、櫂の声が響いた。
「逃げるのか」
「……っ」
アイチの怯えた瞳を、相対した櫂の静かな瞳が捉える。
「だ、だって……こんな」
「PSYクオリア……カードの導きも万能じゃない。言っただろう、ファイトするのはお前だと」
「……!」
“忘れるな。ファイトするのはお前だ……!”
それはアイチが、PSYクオリアに目覚めた頃に櫂が言ったセリフだった。
けれどその声は、能力で自信を持ち始めていたアイチには届かなかった。
「分からないよ……だって、だって、PSYクオリアがなくちゃ、僕はこんなに弱いのに!!」
「それはまだ、決まってないだろう!?」
「!?」
叫んだ櫂は、今度こそ悲痛な表情をしていた。
(間違いだらけだ。俺も、お前も)
ずっと迷い、躊躇っていたのは櫂も同じだった。
アイチの強さ、アイチの弱さ。
自分の強さ、自分の弱さ。
「……お前とは、こんな形でファイトしたくなかった」
「櫂くん……?」
「俺を倒したお前と、いつか手加減なしで闘いたかった。……昔の俺を信じてくれたお前の方が、自分を信じられない今の俺にとっては、先導者(ヴァンガード)だったんだ」
告げられた言葉に、アイチが驚愕に目を見開く。
「……嘘……」
「嘘じゃない」
「嘘だ!だって、だって、僕なんか闘う価値が無いって、ずっと……!」
「逃げてたからな。ずっと。お前ともう一度闘って……負けて今の俺が無価値になるのも、勝って昔の俺が嘘になるのも、どっちも怖かったんだ。……けど、もう逃げない」
逃げた結果が今のアイチなら、自分はもう、強くならなければいけないのだろう。
「俺の真実は俺が決める。だからお前も、逃げるな!お前が俺と闘いたかったのは、俺に勝つためだったのか!?」
叩きつけられた声が、アイチの動きを止める。
痺れたような静寂が走る。
数秒の間の後、ゆるやかに、アイチがその口を開いた。
「……当然だよ」
静かなその声に、迷いは見当たらない。
その手がそっと、デッキのカードに触れる。
「だって、強くなる道しるべを示してくれたのは櫂くんなんだ。昔も……今も」
ゆっくりとドローしたカードを見て、アイチは微笑んだ。
表情を引き締めて、そのカードをコールする。
「立ち上がれ、僕の分身!漆黒の剣で薙ぎ払え!ブラスター・ダーク!」
奈落の竜の傍ら、ブラスター・ダークが姿を現す。
「君が教えてくれたんだ。強くなりたいと願うこと。今でも僕は、自分の強くなった姿なんてイメージできないけど……それでも君のためなら、もう少し頑張れる気がするから。――《ブラスター・ダーク》で、《アンバー・ドラゴン“蝕”》を攻撃!」
「ノーガード!」
櫂のダメージゾーンに、五枚目のカードが並んだ。
「《ファントム・ブラスター・ドラゴン》、敵ヴァンガードをアタック!」
「《槍の化身 ター》、《レッドジェム・カーバンクル》でガード!」
トリガー二枚でも超えられないガード。絶対に通さないという意志の表れだった。
「ツインドライブチェック!一枚目、《アビス・フリーザー》!カードを一枚ドロー、パワーは《ブラスター・ダーク》に!」
攻撃を終えてレストされたユニットに、ドロートリガーのパワーをプラスする。このままではトリガーの意味は無い。
(まだ終われない……来て!)
「二枚目……《ダークサイド・トランペッター》!《ブラスター・ダーク》をスタンド!パワープラス5000!」
スタンドトリガーによって、《ブラスター・ダーク》のパワーはこれで19000。パワー10000の《アンバー・ドラゴン“蝕”》を守り切るには、合計10000のシールドが必要になる。しかし櫂には、ガードに十分なカードがあるとは決して言えなかった。《ブラスター・ダーク》の攻撃を防いで、《ファントム・ブラスター・ドラゴン》の攻撃を受けていれば、ここまで苦しい手札にはならなかったはずだが――
(それじゃ駄目なんだ。このファイトは)
「……やっぱり、櫂くんは凄いね」
先に導く者。その言葉が誰より似合うのは櫂だと、アイチは思う。
「……そんなんじゃない」
苦みを感じている声で、櫂は答える。
「ううん、君がなんて言ったって……やっぱり、凄いよ。《ブラスター・ダーク》の攻撃!」
「ノーガードだ!」
その宣言を聞いても、アイチは気を緩めない。櫂が開くのは六点目のダメージトリガー。けれど櫂が諦めていないことを、アイチは知っている。
(僕が求めてたのはこれなんだ。君と初めて闘ったときにも感じた、緊張感と――同じだけの充実感。わくわくしたんだ。もう一度味わいたくて君を追いかけてた……それが本当はどんなに遠いか、知らないままで)
近づけば近づくほどはっきりしてくるその距離に焦って、自分が本当は何を願っていたのか、忘れてしまっていた。
今も遠いその距離に、痛みを覚えずにはいられないけど。
(その痛みは、きっと君も知ってる。だからまだ、闘えるよ)
「トリガーチェック。――《ドラゴンモンク ゲンジョウ》、ヒールトリガー!」
―――
―――――………
アイチのダメージゾーンに、六枚目のカードが並んだ。
何かの終止符のようなそれに、喉の奥から、嗚咽がこみ上げて来る。
「……っ」
何も知らなかった罪悪感と、太刀打ちできなかった悔しさと。
今も櫂に届かない、悲しさと。
ファイトテーブルの向うから、アイチの傍へと歩み寄ってきた櫂に、アイチは泣き笑いのまま言った。
「櫂くんの言うとおりだね。弱いままの僕に、闘う価値なんか、無いよね……っ」
自分で言ってしまった言葉にもまたショックを受けて、涙があふれてくる。
とめどない涙を拭っていると、不意に、温かい掌がアイチの頭を撫でた。
「……え……?」
滲んだ視界でも見間違えるはずがない。それは確かに、櫂の手のひらだった。
困ったような瞳が、アイチを見つめている。
「悪かった。それは取り消すから、忘れろ」
「でも」
櫂が言ったことは、嘘でも間違いでもない。
それはもう、アイチも分かっているのに。
「俺はライバルが欲しかった。お前は無茶なその頼みに、必死で応えようとしてくれた。だったら、俺だって、お前に応えるべきだろう」
無骨な櫂の言葉が、じわりじわりと、アイチの中に沁み込んでくる。
そんな言葉を自分でも噛み砕くように、櫂は続けた。
「……お前は、何が欲しかった?……俺にどうしてほしい」
言いながら、親指でアイチの涙を拭う。
信じられないような気持ちで、アイチは櫂に答えた。
「……友達が欲しかった。櫂くんと、友達になりたかったんだ、ずっと……!」
それはファイト中に感じていた想いの裏側、もう一つの答え。
櫂と一緒にいたかった。櫂と同じことをしたかった。
それを阻んだ埋められない年月を、櫂は飛び越えてくれるのか。
「分かった。だからもう、泣くな」
ぽんぽんと、あやすようにアイチの頭を撫でた手で、櫂はポケットから取り出したものをアイチへと差し出した。
「これ……?」
「預かり物だ」
それはアイチが以前使っていたデッキ。
櫂からもらったブラスター・ブレードの入った、ロイヤルパラディンデッキだった。
「これはもう、お前のデッキだろう?」
「うん……!」
櫂の差し出したデッキを、両手で包むようにしてアイチは受け取った。
すれ違ってしまった日々をやり直すように。
(僕、強くなるよ。だからまた、ファイトしようね)
(ああ。ただし、手加減はしないからな)
(もちろんだよ……!)
+++
書きだしてみたらいつも通り予定とまったく違う展開になった。
相変わらず、当然のようにファイトの内容を書かざるをえない展開になるので困る…(笑)
そして洗脳アイチ編と地味にカブったりな!でもやっぱ、ここぞと言う時の六点ヒールトリガーは外せないですよね?(笑)
アニメのアイチと櫂は、漫画版と比べても他の登場人物と比べても人一倍アスリートなイメージ。
追記:(44話視聴後)
ファイト後追加。
もうこれ完全に「(第1クールから演繹した)私の理想のヴァンガード」なんだけどvvvvvvv
え、エンゲージカード?マリッジデッキ?ははは御冗談を。
……そういう風にしか見えないよね←
↓生意気言ってる黒歴史反転。今はこうは思ってないです。削除しようかとも思ったのですが、戒めに残しておきます…(遠い目)
本編こうなる気はあんまりしないんだよな…。
これだとレン存在が希薄ってのもあるんですけど、櫂くんが弱音吐く余裕が無い感じなんですよね。あの亮でさえ、亮の辛さを知ろうとする吹雪の気持ちを理解してたり、隠した弱音を十代が見抜いてるって形で弱音吐いてたんですが、少なくとも今は櫂のそれを受け取れるキャラがいないという。
一番近いのは三和なんだけど、三和はストーリー上「外野」だっていうのが44話ではっきりしちゃったし。
しかし結果的に櫂が完全に吹っ切れたような描写になったのが気になるところ。この調子でアイチは気づくんだろうか…。気づいてほしいなぁ…。それかアイチは十分頑張った路線なのかな。十分頑張ったと思いますけど。(だから最後の描写足した)(といっても、ファイトの終盤の展開を会話に起こした、っていう感じですが)
しかしレンとかウルトラレアとかの存在もあってキャラ回すのに尺その他キャパが足りてないのと、せっかくの「ヴァンガードになって闘う」っていうファイト内容とストーリー絡め易い設定が、多分に販促の煽りくらってあまり活かされきってない感じなのがちょっぴり残念だったりする。
逆言えば、遊戯王の知名度に支えられてたGXがどれだけ好き勝手やってたかって話なんですが…(笑)
個人的に44話は「安いなー」って思ったんだけど(ごめんなさい)(ああいう分かりやすいセリフ回しは二次創作に任せてほしかった…・笑)、ネット上の反応見てるとやっぱりGXがやりすぎなんでしょうか。でも亮と十代の魂って、伝わってないようで伝わってるとも思うんですけどね。いやまずお前が亮や十代勘違いしてるよとか言われる可能性も否めないですけど(苦笑)
まぁでも好意は分かりやすく表現しないと叩かれる昨今ですしね……分かりやすい好意って、浅いと思うけどなぁ。なんか愚痴っぽくてすみません。
しかし男の子の男の子らしい決意は、やっぱ男性に脚本書いてほしいです、個人的には。自分でも書いてるからこそ思うけど、女じゃ届かない領域があるんだよ!!(爆)
やはり櫂くんはメインで回してる脚本さんでは砂山さんが…ダントツで好きだ…orz
追記:
うーん……他に考えられるのは、PSYクオリア無しのアイチもそんなに弱くない、という展開か…地区大会決勝を突破したのはPSYクオリアのお陰だけど、ジュラシックアーミーに店長的には渡り合える実力らしいから、アイチの実力って全国大会予選の下位レベルではあるはず……?
アイチの本来の実力が鍵かもしれないなぁ…。
(敗北のイメージしか浮かばない……!?)
ファイト前に浮かんでいた勝利のイメージが、幻のように消え去っていく。
全力を尽くす櫂を前にして、アイチのデッキが怯えていた。
「……嘘だ……」
かたかたと震えだしたアイチに、櫂は容赦なく次の攻撃を加える。
「消え失せろ、全ての光よ。《アンバー・ドラゴン“蝕”(イクリプス)》で、《ファントム・ブラスター・ドラゴン》を攻撃!」
「が、ガード……!」
手札を全て使いきって、アイチがその攻撃を凌ごうとする。
「それでいいのか?」
冴えた視線がアイチを貫く。
「……っ!?」
「チェック・ザ・ドライブトリガー!一枚目……二枚目。ゲット、クリティカルトリガー!」
櫂の引いたトリガーは一枚。ヴァンガードにパワーを加算しても、アイチのガードを超えることはできない。
「なんだ……これなら、攻撃は通じない……」
「安心するのは早い。パワー、クリティカル、共に《ラーヴァアーム・ドラゴン》に!」
「しまっ……」
まだスタンドしているユニットに、クリティカルトリガーが上乗せされる。アイチのダメージゾーンには四枚のカード。この攻撃で敗北してもおかしくない。
「インターセプト!《ファントム・ブラスター・ドラゴン》の盾になれ!!」
インターセプトによって、アイチはかろうじてその攻撃をしのぐ。
「……ターンエンド」
今のターンで、櫂はアイチにダメージを与えられなかった。
しかしアイチのフィールドにはヴァンガードが一体残るだけ。手札さえ、残っていない。
デッキへと伸ばしたアイチの手は、カードに触れられずに震える。
(怖い)
失くしてしまった勝利へのイメージ。
能力などなくても分かる、自分の敗北のイメージ。
手を下ろしかけたアイチに、櫂の声が響いた。
「逃げるのか」
「……っ」
アイチの怯えた瞳を、相対した櫂の静かな瞳が捉える。
「だ、だって……こんな」
「PSYクオリア……カードの導きも万能じゃない。言っただろう、ファイトするのはお前だと」
「……!」
“忘れるな。ファイトするのはお前だ……!”
それはアイチが、PSYクオリアに目覚めた頃に櫂が言ったセリフだった。
けれどその声は、能力で自信を持ち始めていたアイチには届かなかった。
「分からないよ……だって、だって、PSYクオリアがなくちゃ、僕はこんなに弱いのに!!」
「それはまだ、決まってないだろう!?」
「!?」
叫んだ櫂は、今度こそ悲痛な表情をしていた。
(間違いだらけだ。俺も、お前も)
ずっと迷い、躊躇っていたのは櫂も同じだった。
アイチの強さ、アイチの弱さ。
自分の強さ、自分の弱さ。
「……お前とは、こんな形でファイトしたくなかった」
「櫂くん……?」
「俺を倒したお前と、いつか手加減なしで闘いたかった。……昔の俺を信じてくれたお前の方が、自分を信じられない今の俺にとっては、先導者(ヴァンガード)だったんだ」
告げられた言葉に、アイチが驚愕に目を見開く。
「……嘘……」
「嘘じゃない」
「嘘だ!だって、だって、僕なんか闘う価値が無いって、ずっと……!」
「逃げてたからな。ずっと。お前ともう一度闘って……負けて今の俺が無価値になるのも、勝って昔の俺が嘘になるのも、どっちも怖かったんだ。……けど、もう逃げない」
逃げた結果が今のアイチなら、自分はもう、強くならなければいけないのだろう。
「俺の真実は俺が決める。だからお前も、逃げるな!お前が俺と闘いたかったのは、俺に勝つためだったのか!?」
叩きつけられた声が、アイチの動きを止める。
痺れたような静寂が走る。
数秒の間の後、ゆるやかに、アイチがその口を開いた。
「……当然だよ」
静かなその声に、迷いは見当たらない。
その手がそっと、デッキのカードに触れる。
「だって、強くなる道しるべを示してくれたのは櫂くんなんだ。昔も……今も」
ゆっくりとドローしたカードを見て、アイチは微笑んだ。
表情を引き締めて、そのカードをコールする。
「立ち上がれ、僕の分身!漆黒の剣で薙ぎ払え!ブラスター・ダーク!」
奈落の竜の傍ら、ブラスター・ダークが姿を現す。
「君が教えてくれたんだ。強くなりたいと願うこと。今でも僕は、自分の強くなった姿なんてイメージできないけど……それでも君のためなら、もう少し頑張れる気がするから。――《ブラスター・ダーク》で、《アンバー・ドラゴン“蝕”》を攻撃!」
「ノーガード!」
櫂のダメージゾーンに、五枚目のカードが並んだ。
「《ファントム・ブラスター・ドラゴン》、敵ヴァンガードをアタック!」
「《槍の化身 ター》、《レッドジェム・カーバンクル》でガード!」
トリガー二枚でも超えられないガード。絶対に通さないという意志の表れだった。
「ツインドライブチェック!一枚目、《アビス・フリーザー》!カードを一枚ドロー、パワーは《ブラスター・ダーク》に!」
攻撃を終えてレストされたユニットに、ドロートリガーのパワーをプラスする。このままではトリガーの意味は無い。
(まだ終われない……来て!)
「二枚目……《ダークサイド・トランペッター》!《ブラスター・ダーク》をスタンド!パワープラス5000!」
スタンドトリガーによって、《ブラスター・ダーク》のパワーはこれで19000。パワー10000の《アンバー・ドラゴン“蝕”》を守り切るには、合計10000のシールドが必要になる。しかし櫂には、ガードに十分なカードがあるとは決して言えなかった。《ブラスター・ダーク》の攻撃を防いで、《ファントム・ブラスター・ドラゴン》の攻撃を受けていれば、ここまで苦しい手札にはならなかったはずだが――
(それじゃ駄目なんだ。このファイトは)
「……やっぱり、櫂くんは凄いね」
先に導く者。その言葉が誰より似合うのは櫂だと、アイチは思う。
「……そんなんじゃない」
苦みを感じている声で、櫂は答える。
「ううん、君がなんて言ったって……やっぱり、凄いよ。《ブラスター・ダーク》の攻撃!」
「ノーガードだ!」
その宣言を聞いても、アイチは気を緩めない。櫂が開くのは六点目のダメージトリガー。けれど櫂が諦めていないことを、アイチは知っている。
(僕が求めてたのはこれなんだ。君と初めて闘ったときにも感じた、緊張感と――同じだけの充実感。わくわくしたんだ。もう一度味わいたくて君を追いかけてた……それが本当はどんなに遠いか、知らないままで)
近づけば近づくほどはっきりしてくるその距離に焦って、自分が本当は何を願っていたのか、忘れてしまっていた。
今も遠いその距離に、痛みを覚えずにはいられないけど。
(その痛みは、きっと君も知ってる。だからまだ、闘えるよ)
「トリガーチェック。――《ドラゴンモンク ゲンジョウ》、ヒールトリガー!」
―――
―――――………
アイチのダメージゾーンに、六枚目のカードが並んだ。
何かの終止符のようなそれに、喉の奥から、嗚咽がこみ上げて来る。
「……っ」
何も知らなかった罪悪感と、太刀打ちできなかった悔しさと。
今も櫂に届かない、悲しさと。
ファイトテーブルの向うから、アイチの傍へと歩み寄ってきた櫂に、アイチは泣き笑いのまま言った。
「櫂くんの言うとおりだね。弱いままの僕に、闘う価値なんか、無いよね……っ」
自分で言ってしまった言葉にもまたショックを受けて、涙があふれてくる。
とめどない涙を拭っていると、不意に、温かい掌がアイチの頭を撫でた。
「……え……?」
滲んだ視界でも見間違えるはずがない。それは確かに、櫂の手のひらだった。
困ったような瞳が、アイチを見つめている。
「悪かった。それは取り消すから、忘れろ」
「でも」
櫂が言ったことは、嘘でも間違いでもない。
それはもう、アイチも分かっているのに。
「俺はライバルが欲しかった。お前は無茶なその頼みに、必死で応えようとしてくれた。だったら、俺だって、お前に応えるべきだろう」
無骨な櫂の言葉が、じわりじわりと、アイチの中に沁み込んでくる。
そんな言葉を自分でも噛み砕くように、櫂は続けた。
「……お前は、何が欲しかった?……俺にどうしてほしい」
言いながら、親指でアイチの涙を拭う。
信じられないような気持ちで、アイチは櫂に答えた。
「……友達が欲しかった。櫂くんと、友達になりたかったんだ、ずっと……!」
それはファイト中に感じていた想いの裏側、もう一つの答え。
櫂と一緒にいたかった。櫂と同じことをしたかった。
それを阻んだ埋められない年月を、櫂は飛び越えてくれるのか。
「分かった。だからもう、泣くな」
ぽんぽんと、あやすようにアイチの頭を撫でた手で、櫂はポケットから取り出したものをアイチへと差し出した。
「これ……?」
「預かり物だ」
それはアイチが以前使っていたデッキ。
櫂からもらったブラスター・ブレードの入った、ロイヤルパラディンデッキだった。
「これはもう、お前のデッキだろう?」
「うん……!」
櫂の差し出したデッキを、両手で包むようにしてアイチは受け取った。
すれ違ってしまった日々をやり直すように。
(僕、強くなるよ。だからまた、ファイトしようね)
(ああ。ただし、手加減はしないからな)
(もちろんだよ……!)
+++
書きだしてみたらいつも通り予定とまったく違う展開になった。
相変わらず、当然のようにファイトの内容を書かざるをえない展開になるので困る…(笑)
そして洗脳アイチ編と地味にカブったりな!でもやっぱ、ここぞと言う時の六点ヒールトリガーは外せないですよね?(笑)
アニメのアイチと櫂は、漫画版と比べても他の登場人物と比べても人一倍アスリートなイメージ。
追記:(44話視聴後)
ファイト後追加。
もうこれ完全に「(第1クールから演繹した)私の理想のヴァンガード」なんだけどvvvvvvv
え、エンゲージカード?マリッジデッキ?ははは御冗談を。
……そういう風にしか見えないよね←
↓生意気言ってる黒歴史反転。今はこうは思ってないです。削除しようかとも思ったのですが、戒めに残しておきます…(遠い目)
本編こうなる気はあんまりしないんだよな…。
これだとレン存在が希薄ってのもあるんですけど、櫂くんが弱音吐く余裕が無い感じなんですよね。あの亮でさえ、亮の辛さを知ろうとする吹雪の気持ちを理解してたり、隠した弱音を十代が見抜いてるって形で弱音吐いてたんですが、少なくとも今は櫂のそれを受け取れるキャラがいないという。
一番近いのは三和なんだけど、三和はストーリー上「外野」だっていうのが44話ではっきりしちゃったし。
しかし結果的に櫂が完全に吹っ切れたような描写になったのが気になるところ。この調子でアイチは気づくんだろうか…。気づいてほしいなぁ…。それかアイチは十分頑張った路線なのかな。十分頑張ったと思いますけど。(だから最後の描写足した)(といっても、ファイトの終盤の展開を会話に起こした、っていう感じですが)
しかしレンとかウルトラレアとかの存在もあってキャラ回すのに尺その他キャパが足りてないのと、せっかくの「ヴァンガードになって闘う」っていうファイト内容とストーリー絡め易い設定が、多分に販促の煽りくらってあまり活かされきってない感じなのがちょっぴり残念だったりする。
逆言えば、遊戯王の知名度に支えられてたGXがどれだけ好き勝手やってたかって話なんですが…(笑)
個人的に44話は「安いなー」って思ったんだけど(ごめんなさい)(ああいう分かりやすいセリフ回しは二次創作に任せてほしかった…・笑)、ネット上の反応見てるとやっぱりGXがやりすぎなんでしょうか。でも亮と十代の魂って、伝わってないようで伝わってるとも思うんですけどね。いやまずお前が亮や十代勘違いしてるよとか言われる可能性も否めないですけど(苦笑)
まぁでも好意は分かりやすく表現しないと叩かれる昨今ですしね……分かりやすい好意って、浅いと思うけどなぁ。なんか愚痴っぽくてすみません。
しかし男の子の男の子らしい決意は、やっぱ男性に脚本書いてほしいです、個人的には。自分でも書いてるからこそ思うけど、女じゃ届かない領域があるんだよ!!(爆)
やはり櫂くんはメインで回してる脚本さんでは砂山さんが…ダントツで好きだ…orz
追記:
うーん……他に考えられるのは、PSYクオリア無しのアイチもそんなに弱くない、という展開か…地区大会決勝を突破したのはPSYクオリアのお陰だけど、ジュラシックアーミーに店長的には渡り合える実力らしいから、アイチの実力って全国大会予選の下位レベルではあるはず……?
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