リスペクト公式、と言いつつBL・GL妄想上等の色々無節操なのでカオス注意。
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櫂くんに超成長されてしまったお陰で完結できる日を待ってたら出しにくくなりそうなのでダイジェストで完結させることにした!(爆)
純情コンプレックス・前編・」の続きなのはもちろんなのですが、考えた結果エミナギの百合「GLトライアングル」ともリンクさせることになりました。そしてその結果、櫂の元恋人にレンが登場します(爆)
なんでそんなカオスなことになったのかなんて聞くな!!(笑)

 ナギサが、櫂と付き合い始めたことをカムイとエミにカミングアウトして以来、カードキャピタル――ここがカムイや櫂、アイチ達のホームベースなのは変わっていない――に櫂が来るときには、必ずと言っていいほどナギサが一緒にいた。
 当然、ときにはカムイと鉢合わせすることにもなるわけだが。
「おい櫂、俺とファイトしろ!」
「何故?」
 喧嘩を吹っ掛けたカムイに、櫂はいつものクールさで聞き返す。
「べっ……別に理由なんかいいだろ!」
「断る。お前とはいつでもできる」
 何年か前にタイムスリップしたようなやりとりだった。カムイが櫂をライバル――というか、目の上のたんこぶ視しているのは実に小学生以来のことだが、何度かチームを組んで全国大会へと出場した経験もあって、特にカムイがエミへの想いを成就させた頃からは、そんな衝突はめっきり減っていたのだ。
 ちなみにそう言って、櫂が誰とファイトをするかというと。
「ナギサ、やるぞ」
「あ、うん」
 櫂に呼ばれて、いそいそとナギサがテーブルにつき、ファーストヴァンガードを伏せる。
(そっちこそいつでもできんだろ!!)
 心の中で叫んでも、口には出せない。それこそエミが聞けば怒り心頭だろうが、今のカムイにはそれを気にする余裕はまるで無かった。
 二人が先攻後攻を決めて、ファイトを開始する。
「スタンドアップ、ザ・ヴァンガード!《リザードランナー コンロー》!」
「スタンドアップ、ヴァンガード!《リザードランナー アンドゥー》!」
 ナギサの使うデッキは、以前使っていたカムイと同じノヴァグラップラーではなく、櫂と同じかげろうになっている。ナギサが櫂と付き合っていることを露骨に主張するような変化だった。
(ムカつく……っ、なんか分かんないけどスゲームカつく……!)
 苛立ちを隠し切れないカムイを、ちらりと盗み見たナギサが複雑な瞳をしていたことに、カムイは気付けなかった。

 * * *

 そんなことが続き、エミのストレスは頂点に達していた。
 涙をためた瞳でカムイを平手打ちするエミ。
 泣きながら走り去るエミを、カムイは呆然と見つめる。
 そしてもう一人、泣いている少女がカムイを叱咤する。

「カムイちゃんはエミさんとつきあってるんでしょ!?」

 ナギサの口から初めて聞いたエミの名前。
 カムイは反論することが出来なかった。

「俺、櫂の奴に、一度も勝ったことないんだ……」

 悩んだ挙句、雨に打たれながら櫂のもとを訪れるカムイ。
 俯いたままで、いつもと同じセリフを櫂に告げる。

「櫂、俺と勝負しろ」

 けれどそんなカムイに、櫂はこう答える。

「決着をつける相手が違うと思うがな」

 櫂は決して、カムイを軽んじて勝負を受けなかったわけではなかった。

「お前は、お前の好きな女と、お前を好きな女、どちらか片方でも、本気で理解しようと思ったことがあるのか?」

 * * *

 回想。
 櫂がナギサと付き合い始める日のこと。
 中学三年生のナギサは、進路希望用紙に、第一志望の高校名を書けずにいた。
 そんなナギサに、櫂は尋ねる。

「今でも、あいつと付き合いたいと思うか?」
「……もう、よく、分かんない」

 ぽつりと呟いたナギサに、櫂は持ちかける。

「俺とつきあってみないか?」
「え……」
「お前が俺を好きじゃなくてもいい。……お前があいつと決着をつけたいなら、俺はお前の力になる」
「そんな……そんなこと、できないよ」
「俺を気にする必要は無い。……よく言うだろう、惚れた方が負けだってな」

 既にナギサの疲労は限界に達していた。
 そのまま泣き出したナギサは、櫂の提案に乗った。

 ――それは本当は、もう一年近く前の話だった。

 * * *

 一方、さらに迷走しているカムイ。

「エミさん、俺を振って下さい」

 そう言ったカムイに、エミは即答する。

「嫌よ」
「えっ」
「別れたくなんかないもの。カムイくんのこと好きだもん!!」

 そのとき初めて、カムイはエミが本当に自分のことを好きでいてくれていることを知った。
 今の自分に、その気持ちを受け止める資格が無いことも。

「エミさん……すみません!!」

 * * *

 そしてカムイは、ナギサとの決着へと赴く。
 櫂の自室を借りて、ナギサとファイトするカムイ。

「なんで……なんで、私じゃ駄目なの!?」

 涙ながらの抗議に、けれどカムイも必死で答える。

「ナギサじゃ駄目な理由なんか知らねーよ!!だけど俺は――エミさんが好きなんだ!!」

 カムイの引いたトリガーで勝敗が決まる。
 カムイは初めて、ナギサから勝利を勝ち取った。
 そしてナギサは、六年の恋に終止符を打った。

 泣いているナギサを櫂が抱きしめる。

「さて、これで晴れてナギサはお前のものではなくなったわけだが……」

 振り向いた櫂の、昔見た鬼のように残酷な表情がカムイを捕えていた。
 思わず震え上がるカムイ。

「覚悟は出来ているんだろうな?」

 やはりどうしても、カムイは櫂に勝てなかった。

 fin.

 後日談。

「ってことはナギサちゃん、まだお前のこと好きってわけでもねーんだろ?お前それでいいの?」
「俺には、手ごわいくらいがちょうどいい」

 * * *

RISK OF HAPPINESS

「……大文字?」
 耳に入ったはずの声に、ナギサはすぐには反応できなかった。頭の中はついさっき起きた出来事へのショックで一杯で、外界への感覚はすっかり閉ざされていたのだ。
 だからその声が、自分の真正面から聞こえたことにも気付かなかった。
「大文字……っ!?」
「……えっ?」
 衝撃にワンテンポ遅れて我に返ると、ナギサは尻もちをついた青年に受け止められるようにして倒れ込んでいた。気づいたところから数瞬前の状況が、ようやくナギサの中で意味をなしてくる。なんのことはない、呆然自失のまま歩き続けて、目の前の青年に気づかずぶつかったのだ。青年のほうも、まさか直進されるとは思わなかったのだろう。
「えっ、あ、ご、ごめんなさい!」
「いや、大丈夫だったか?」
「大丈夫っ」
 慌ててて飛び退くと、青年は気分を害した様子もなく立ちあがって地べたについた部分をはたいている。
 見覚えのあるその青年の名前をすぐには思いだせずに、ナギサは記憶をたぐる。
「……えと……櫂さん?」
「ああ。大文字の……ナギサだったか」
「はい」
 お互いヴァンガードでは同じ地区大会の常連であり、顔も名前も知ってはいるが、そう深く話したことがあるわけでもない。少なくとも日常的な人となりよりは、ヴァンガードのファイトスタイルのほうが先に立つぐらいのものだ。
 普通なら、挨拶だけしてすれ違ってしまっていたかもしれない。
「……どうかしたのか?」
 しかし櫂は、ナギサにそう尋ねていた。
「え……と……」
 さすがに知人以上の間柄の人間が何も言わずに放っておける状態ではなかった自覚はあって、ナギサは答えに窮する。話せないくらいなら、はぐらかしたほうがいいのかもしれない。けれど、気にしないでと言えるほどの余裕も無かった。
 何も言えないでいると、櫂はクールな表情を変えないままこう言った。
「……ケーキぐらいならおごるぞ」
「えっ」
 今まで持っていた印象からは全く想像できない一言だった。
「嫌いか?」
「そんなことないけど」
「そうか。なら行くぞ」
 頷く以外の選択肢が見当たらずに、ナギサは櫂に連れられるまま喫茶店でケーキセットをおごられることになった。
 
 * * *
 
 向かい合わせで席についたはいいものの、ナギサには一体何をどうすればいいのかさっぱり分からない。櫂が注文を告げたウェイトレスが去ってしまうと、一気に所在なさが襲ってくる。
 心配してくれたのだろうとは思う。けれど聞きだされても、まともに話せる気がしない。
 どうしようかと悩んでいると、それを察したように櫂が言った。
「……とりあえず、食べることだけ考えてろ」
 無理に聞こうとはしないから。多分、そういう意味なのだろうが。
 あまりに突拍子がなさすぎて、突っ込まずにいられなくなる。
「結構難しいと思うけど」
「そうだな」
 そのまま会話が終わってしまう。
 お世辞にも会話がうまい人というイメージは無かった。だからこちらのほうがむしろイメージ通りで、ナギサは思わず吹き出してしまう。
「無理しなくていいよ?」
 櫂がふっと、苦笑と微笑みの中間のような顔で笑った。
(あ……)
 ナギサにとっては初めて見た、櫂の優しい表情だった。
 ファイト中の不敵な笑みくらいしか櫂の笑顔など見た事はなかったし、それは多分、彼のチームメイトも似たようなものなのではないかと思う。
 その表情はすぐにかき消えてしまったけれど、雰囲気自体は、さっきよりも砕けている気がした。
「……悪い。三和あたりなら、もう少しうまくやるんだろうが」
「三和さん……?」
 馴染みの無い名前にナギサが鸚鵡返しで尋ねると、櫂がうっかりしていたという気配で答えた。
「ああ、俺の同級生だ。いつも応援で会場には来てるんだが、お前は知らないか?」
「顔を見た事はあるかもしれないけど……」
 チームQ4のメンバーにはよく会っているし名前を見る機会も多いが、応援に来ているメンバーとなるとまた話は違ってくる。全国大会に出たQ4を応援に行った時に、一緒になったりはしたかもしれない。その記憶をたぐってみると、櫂と同世代の応援メンバーは一人しかいなかった。
「……あの、金髪の人?」
「ああ、多分そうだろう」
「仲良いの?」
「……多分」
 仲が良いと言われて否定しないのも、曖昧なセリフも似合わないような気がした。けれど櫂とは正反対の三和の印象を思い出して、なんとなく納得する。これはこれで櫂なりの譲歩なのかもしれない。あの櫂が譲歩するくらいには、仲が良いのだろう。
 なるほどと降りた沈黙に、トーンのずれた明るい声が響いた。
「お待たせしました、苺のショートケーキとセットのオレンジジュース、コーヒーになります。以上でご注文はおそろいですか?」
 慣れた様子で櫂が頷いた。営業スマイルのウェイトレスは、それを確認して踵を返す。
 テーブルの上に並んだ皿を、ナギサは暫く手を付けられないままで見つめた。
「遠慮せずに食べたらいい」
「……頂きます」
 黙々とケーキを食べるナギサの前で、櫂もやはり黙々とコーヒーを飲んでいる。
 かなり異様な光景の気がしなくもなかったが、櫂はまったく意に介した様子は無かった。堂々としたその態度に、少しだけ肩の力が抜ける。
 と同時に、櫂と出会う前の出来事が、改めて思い返されてしまう。
 突然のエミの豹変。カムイへの恋心に土足で踏み込まれて、そのあげく彼女の魅力に翻弄されて。とても怖かったこと。
「……っ」
 そうなってしまえば、もう甘いケーキも喉を通らなかった。
 力なく手を降ろして、フォークを置いた。
「………」
 それに気付いた櫂が、同じ様にカップを置いた。
「……大丈夫か?」
 頷くことはできなかった。ほとんど行きずりの櫂を相手に、これ以上甘えていいのか分からなかった。
 俯いたまま答えられずにいると、櫂が続けた。
「……辛いなら、泣いてもいいんだぞ?」
「……」
 その声音はあくまでも淡々としていたけれど、やっぱりイメージに不似合いなくらいに優しかった。
 だからもう、強がることはできなかった。

 * * *

 ナギサからあらましを聞いた櫂は、ひとまずナギサにこう告げる。

「……一つだけ言わせてもらうなら。トチ狂ってる奴の言動を100%真に受ける必要は無い」
「……トチ狂ってるの?」
「まともな状態で人を傷つけたりする奴か?あいつは」

 その言葉にやや落ち着きを取り戻すナギサ。
 櫂と連絡先を交換して、無事に帰宅した。

 * * *

 一方櫂はカムイへと連絡を取る。

『葛木か』
『櫂?何の用だよ』
『単刀直入に聞く。先導エミに告白したか?』
『なっ…なんでテメーにそんなこと教えなきゃなんねーんだよ』
『いいから答えろ』
『……したけど、返事はもらってねーよ』
『そうか』
『なんだってんだよ』
『悪いが黙秘する。じゃあな』
『え、おい!』

 電話を切った櫂がひとり呟く。
 
「……誰も自らの罪を知らずに、幸せになんてなれませんよ、か……」

 * * *

「ああ、それは完全に幸せになるのが怖い症候群でしょうね」
「お前もそう思うか」
「ええ。大方その子の猛アタックをずっと見ていたんでしょう?無自覚な頃からそれでは、罪悪感を覚えても仕方ありませんね。何のリスクもなく幸福が転がりこんでくることが怖くて、それを自らぶち壊してしまう。面倒な生き物ですね、人間って」

 そして一瞬口をつぐんだ櫂が、言いにくそうに彼の名前を呼ぶ。

「……レン」

 何かを察するようにレンは微笑んだ。

「なんでしょう?」

 なおも続きを口にできない櫂に、レンはひとつため息をつく。

「……偽りの関係はここまで、ってところですか」
「……すまない」
「謝らないでください。……そうですね、上手く行き過ぎて、こんな日が来るんじゃないかとは思っていましたよ。付け込んだのはこちらの方ですから、自業自得ってやつですね」
「お前だけのせいじゃないだろう」
「そういうの、悪い癖ですよ?櫂。キミの優しさは、ときに残酷だ」
「………」
 
 何を言うこともできず櫂は沈黙する。

「いじめるのもこれくらいにしましょうか」
「……レン、俺はお前を――」
「そこから先は言わないでください。……僕も好きですよ。君が本当に想う人と幸せになれるように、応援しています」

 綺麗に微笑むレンの内心を、櫂に読むことはできなかった。

 fin.


なんでこれこんな無駄に壮大(?)な話になったんだろうか…(笑)
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