リスペクト公式、と言いつつBL・GL妄想上等の色々無節操なのでカオス注意。
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44話で櫂くんを泣かせよう計画第三弾、短め。
49話「櫂の戦い」の前にやっちゃわないとタイミングを逃しそうなネタだから一気に書いたよ!でも内容的に、これでやっと44話の気が済んだような…(笑)
タイトルはリストのピアノ曲ですが、当然私にとってはスパイラル~推理の絆~ネタです\(^o^)/
そんなこと思いながら久々にスパイラル見たら歩くんがガチで櫂くんに見えた…(笑)

 あたり一面、真っ白な霧の中を歩いていた。
 本当に独りなら、多分とうに挫けてしまっていた気がする。
 けれどときおり、一緒に歩いてくれる少年がいたから、なんとか今も歩き続けているのだろう。
 それでも、今は独りだ。それは彼のせいではない。自分が彼に立ち入るなと言ったのだ。
 今この道を歩くのに、誰の手も借りたくなかった。

 借りるわけには、いかないのだ。


 霧の向こうに、人の気配がする。

 だんだんとはっきりとしてくる人影は、俯いたまま、隣にいる人物の服のすそを掴んでいる小学生くらいの少年と、それに戸惑いながら放っておけないらしい中学生くらいの少年の二人。
 近づいていくと、年上の少年がこちらに気づいた。
 小さく名前を呼ばれて、頷くように視線を返した。
 俯いた少年の前に立って、思いっきり上から目線で言い放つ。

「こんなところで何をしている」

 少年の目から、ずっと我慢していたらしい涙が一粒零れた。
 もうちょっと優しくしてあげても……と、隣の少年が苦笑いする。
 その意見は全く考慮せずに続ける。

「友達と喧嘩したぐらいで泣くな」
「お前に何が分かる」

 泣きべそをかきながら反撃してきた少年に、ため息をひとつついて、その頭を撫でた。

「分かるに決まってるだろう。……お前は俺だからな」

 その言葉に、少年は――小さな頃の櫂は、掴んでいた服の裾を手放して、今の櫂に抱きついた。
 仕方ない奴だと、泣いている少年の背を撫でる。
 泣きやむにつれて、少年の姿は櫂の中に溶けるようにして消えた。
 それを確かめてから、残された隣の少年に声をかける。

「クソガキの面倒を見させて悪かったな」

 クソガキだったかなぁと、少年はやはり苦笑したままのようだった。
 ああ、これは間違ったかと、櫂は言い方を変える。
 少年に向けられた櫂の顔には、誰も見たことのない微苦笑が浮かんでいた。

「……ありがとう、アイチ」

 名前を呼ばれて驚いたアイチが、はにかんだ笑みを浮かべ、空に溶けるように消えた。

 そしてまた、一人佇む。

 立ち込めていた霧はもう、ない。


 fin.



というわけで、44話で櫂くんを泣かせよう計画第三弾、櫂&アイチ編でした。
(第一弾はジュン様、第二弾は三和くん・笑)

追記:
そういえば、全然違う話になったからすっかり忘れてたんですが、この話を最初思いついたときは、櫂くんが湖に落ちたんだけど気がついたら湖畔に倒れてて、湖の巫女リアンかもしれない湖の精が出てきて、「あなたが落としたのは綺麗な雀ヶ森レンですか?それとも綺麗な先導アイチですか?」って言われて、「何も落とした覚えなどない」って言ったら「何を落としましたか?」って胸倉掴んで笑顔で脅迫されて、目ぇそらしながら「普通の櫂トシキなら落としたかもな」って言ったら「正直者には綺麗な雀ヶ森レンと綺麗な先導アイチと綺麗な櫂トシキを三人セットであげましょう」って三人並べられて(どうしろと!)っていう、要するに金の斧・銀の斧が原型のネタでした。
でも櫂くんが落としたのって普通の櫂くんなのか綺麗な櫂くんなのか…とか考えてたらこんな話になっていたという。飛躍がありすぎて自分で意味が分からない…(笑)
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