リスペクト公式、と言いつつBL・GL妄想上等の色々無節操なのでカオス注意。
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58話後のテツとレン。櫂至上の私がまさかのレン様サイドですよ。
追いかけてほしい気持ちを我慢してアイチのためにアイチを止めたアイチ戦と違って、自分の気持ちに真っ正直にレン様に向かって玉砕したレン戦は、GX95話な展開になるんだろうなーと思っていたせいもあって、私の中で後腐れが無かった…(笑)
というわけで、めぐりあわせに切なさを感じつつポジティブなテツの話。テツは結局何歳なんだろう。漫画版は高3だけど、アニメ版下手したら櫂レンと同じ高1だよね。見えない。

 PSYクオリアを手に入れたことで傲慢になったレンから昔のレンを取り戻すため、フーファイター本部へとやってきた櫂とレンのファイトが終わった。
 結果は櫂の負けだ。レンはもう変わってしまった。その事実は、レンの元から去って以来ひたすらに強さを求め続けた櫂の力をもってしても、覆ることはなかった。
(……当然か)
 無念に膝をついた櫂を置き去りにしたレンに遅れて部屋を出たテツは、レンの自室へ向かいながら感慨にふける。

“終わりなき探求の果て、たどり着きし最終進化。荒ぶる魂を昇華させ、今こそ真の姿を現せ!クロスライド!ドラゴニック・オーバーロード・ジ・エンド!!”

 櫂の強さは本物だった。PSYクオリアを自在に使いこなすレンを相手に、能力なしにあそこまで肉薄できるのは、おそらく櫂ぐらいのものだろう。けれど――

“混沌なる静寂に叫びし絶望。幻すら見られぬ闇より暗き闇の力を我に!クロスライド!ファントム・ブラスター・オーバーロード!!”

 ――レンの強さもまた、もう偽物ではないのだ。それはテツが一番よく知っている。そして櫂も、このファイトで思い知ってしまったはずだ。

 かつてPSYクオリアで櫂を圧倒したレンは、自分を置いていった櫂を憎んだ。その憎しみの根底には、櫂と自分と、三人でファイトしていた頃の思い出が眠っている。櫂がレンを元に戻せると考えたのも、無理からぬ話だろう。
 けれど櫂には、ひとつだけ見誤っていたことがある。PSYクオリアに半ば振り回されていた頃のレンはもういない。皮肉な話だ、PSYクオリアでチームの役に立ちたいという想いを認めなかった櫂への憎しみが、レンの意志にPSYクオリアに負けないだけの強さを与えた。櫂が否定した力の正しさを証明するため、レンはますます力を磨くことに没頭した。今のレンは、自らの意志でPSYクオリアを使いこなしている。
 櫂が強くなった分だけ、レンも強くなった。櫂に勝てるはずはない。例えファイトに勝ったとしても、レンは元には戻らない。櫂にできるのは、逃げてしまったあの日のファイトを、やり直すぐらいのこと。

 * * *

「レン様、お茶をお持ちしました」
 レンの部屋の前、そんなセリフで入室許可を求めると、「どうぞ」というレンの返事が聞こえる。テツがドアを開けると、既にレンはコートを脱いでくつろいでいた。テーブルに二人分の湯飲みを置いて、テツも無言で席につく。いつも通りで別段咎められるわけもなく、レンが口を開いた。
「意外につまらなかったですね。櫂ならもっと楽しませてくれるかと思ったんですが」
「そうか?最近では楽しんでいたほうだと思ったがな」
 テツがそう言うと、レンはきょとんとした顔で聞き返してくる。
「……楽しんでました?」
 その無防備な表情に、テツはかすかな胸の痛みを覚える。
「……ああ」
 まるであの頃のように、とはテツには言えなかった。変わってしまったレンに元に戻ってほしいのはテツも同じだ。けれど同時に、レンはテツにとって、どこか抜けている放っておけない幼なじみのままだった。そしてテツは櫂のように、レンに勝って止めることを願えるほどの器でもなかった。だからレンと離れずにいられる、それもまた皮肉な話だ。
 そうだったろうかと物思いにふけっていたレンが、不意に納得したような顔で呟く。
「まぁ、櫂に言いたかったこと、全部言えましたからね」
 結果的に、櫂はそのために強くなったようなものだった。今日の櫂とレンのファイトには、あの頃と同じ空気が確かにあった。マイペースに飛んだことを言いだすレンと、互いの心を触れ合わせるように、ひたむきに相手に向かう櫂と。
 ファイトが進めば進むだけ、今のレンを知れば知るほど、櫂の心が傷ついて守りに入っていくのが分かった。そういう意味でも、櫂には分が悪すぎたかもしれない。櫂への憎しみと絶望に染まった今のレンに、櫂のために傷つく余地はもう無い。そのレンを相手にあの戦い方で挑むのは、レンが感じてきたのと同じだけの痛みを、一方的に受け取るようなもの。
 レンの抱く絶望までも、櫂は受け取ってしまったのだろう。
 櫂を憎むレンがそれを気に病むはずもなく、レンは無機質に笑う。
「でもそれだけです。僕のPSYクオリアの前に、櫂は手も足も出なかった」
「明日の腕ならしにはちょうど良かっただろう。あのチームに、実力で櫂に勝るファイターはいない」
「そうですね。これではっきりしちゃいましたね、明日勝つのは僕達AL4です」
 言い切ったレンに、テツは幾分躊躇ってから問い返す。
「……先導アイチは?」
「PSYクオリアを使わないアイチくんなんて敵ではありませんし……例え使ったとしても、僕に勝てるはずはありません。そうでしょう?」
 にっこりと微笑むレンに、テツはすぐには答えられなかった。普通に考えればレンの言う通りだ。先導アイチに勝利の目は無い、チームQ4の勝つ見込みはゼロ。
「彼にPSYクオリアを使わないように唆した櫂の強さは僕が否定しました。これからアイチくんはどうするのか……明日が楽しみですね」
「……そうだな」
 レンに端的に同意して、テツはお茶の残りを飲み干した。この時間が休息になったかは疑問だが、いよいよ夜は更けてきている。
「俺はもう寝る。お前ももう休め、レン」
「そうします。明日はよろしくお願いしますね」
 それは五百人を越えるフーファイターの頂点に立つAL4の一員としてなのか――それとも、昔から変わらず一緒にいる、友としてか。
「ああ」
 テツはそのどちらでも構わなかった。レンがどんな形でもいいからチームの役に立ちたかったように、テツはどんな形だろうとレンを支えると誓った。
 そして櫂は、これから答えを出すのだろう。三人でいたあの頃の想いを、守り続けるために。
「おやすみ」
「おやすみなさい、テツ」

 * * *

 櫂の力を持ってしても、レンは元には戻らなかった。それでも、あの日つけられなかった決着をつけた意味はあるのだろう。櫂が絶望して終わるとは、テツには思えない。
 三人の頃に戻れないのは、全て失くしてしまったからではない。傷ついた絆でも、離れ離れになっていても、何かがまだ続いているからだ。傷ついた絆は癒されることを求めて新しい絆につながる。今のフーファイターも、チームQ4も、そうやって広がっていった世界のように思える。
 互いを想うが故にすれ違ってしまった櫂とレンが、アイチに抱く興味も。

(時は進む。人は変わる。たとえ元には戻れなくとも――まだ誰も、歩き続けることをやめてはいない)

 櫂の新しいチームメイト、“不思議といい奴ばかりを気に入る”レンがこだわる、先導アイチ。レンと同じように荒れただろう櫂を変えたのは、おそらく彼なのだろう。同じ能力を持つ者という以上に、レンが意識しないではいられないファイター。
 彼なら何かやってくれそうな気がする。そんな夢見がちな気分を戒めきれずに、テツは少しだけ苦く笑った。


 fin.





湯呑みでお茶は最初カップでコーヒーだったんですが、寝る前にコーヒーはない、という個人的な思いからお茶になりました。そして最初はアサカが用意していたのですが、漫画版設定でレンの衣食住はアサカが衣を面倒見て食住がテツらしいので普通にテツが持参することになりました。
今月号のアニメージュでレンは櫂が他のチーム入って楽しそうに(?)してるの見ていらっとしてアイチにちょっかい出したって読んで吹いた。櫂は櫂でわりとレンに縛られまくってアイチともぎくしゃくしてたと思うんですが、レン的には「なんだよ他のやつと仲良くしやがって」だったって…櫂くん不憫vvvv

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