リスペクト公式、と言いつつBL・GL妄想上等の色々無節操なのでカオス注意。
59話で朝起きて一人で決勝見に来るまでの櫂くんイメージしてみた。
櫂くんのシャワーシーンはまだですか。
櫂くんのシャワーシーンはまだですか。
エピローグはまだ来ない
カーテンの向こうから眩しい光が差し込んでいるのに気づいて、櫂は目を覚ました。かすかに頭が重いのは、昨夜珍しく泣いてしまったせいだろう。暫くぼんやりとしてから、枕元の時計を見やる。告げられた時刻はカードキャピタルへの集合時間をとうに過ぎていたが、まぁ構うまい。もともと決勝トーナメントは補欠としてしか参加していないし、その主な目的はアイチのサポートだった。彼にレンへの敗北を晒した今となっては、サポートとして控える意味も無いように思えた。言い方を変えれば、櫂の決勝は昨日終わったのだ。場外での個人戦という形で。
起きて顔を洗おうとベッドを降りる。カッターシャツ姿の自分に気づいて、昨日は何もかも面倒でブレザーだけ脱いで寝てしまったことを思い出す。シャワーでも浴びたほうが良さそうだった。
* * *
温かい水を頭から浴びていると、気分までさっぱりとしてくる。水音が耳に心地良い。 集合時間は踏み倒してしまった。チームQ4としては参加できないけれど、決勝を見に行くのに間に合わないということはないだろう。ゆっくり食事をしている時間は無さそうだから、道中で適当に何かつまんだほうがいいかもしれない。
心は凪いでいた。ずっと求めていたものが得られないこと、それをつきつけられた結果のはずのその平穏が、単なる空虚と違うのかどうか、櫂には分からない。
櫂が二度挑戦して止められなかったレンは、今も勢いを増して走り続けている。かつて全国の頂点を目指していたレンは、その頂点にも満足することなく高みを目指している。数えきれない敗者の屍を踏んで。
そのレンと、アイチが今日戦う。冷静に考えればアイチの分はかなり悪いと言わざるを得ないが――それをひっくり返す可能性を、櫂は知っている。アイチの持っている底力を。
自分の決勝は終わった。けれど決勝戦は終わらない。見届けなければならないだろう。ファイターとして、大会参加者として。
チームQ4として、と言っていいのかは分からなかった。それはQ4の皆のせいではなくて、つい昨日まで櫂がまだレンに――かつてのチームフーファイターとしての自分にこだわっていたからだ。それを言ってしまったら、レンが取り戻せない気がした。例え言わなくても、櫂のいたチームフーファイターは取り戻せない、過去は過去のまま戻らない。それを思い知るのに、今の今までかかってしまった。
拠り所を失くしたような頼りなさ。それはどこか、両親を失ったときに感じた不安に似ていて、けれど全く違うような気もする。為す術もなく奪われたわけでも、永遠に失くしたわけでもない。やるだけやって駄目だった、それで歩む道が別れた、それだけのこと。
少なくとも、暗闇に幻を求めるような虚しさは、感じなくてもいいのだ。
(……“混沌なる静寂に叫びし絶望、幻すら見られぬ、闇より暗き闇の力”……。……そこまで絶望していたのか、レン)
結局のところ、彼の力をあそこまで育ててしまった一端は自分にあるのだ。レンから逃げないだけの強さがあったなら、PSYクオリアに目覚めたばかりのレンに、勝てるぐらいに強かったなら、違う未来があっただろうか。
否、どんな道をたどっても、多分レンとの道は分かたれてしまったのだろう。櫂と出会うよりも前から、テツと一緒に全国の頂点を――高みを目指していたレンが、PSYクオリアを手に入れてしまった以上は。それがファイトの決着が証した運命だ。
そう思ったから、櫂は彼に力を与えた存在を許せなかった。
“……何故だ”
“私たちには、彼の力が必要なの”
“その力がレンを変えてしまったとしてもか!”
“力の結果が、善か悪かを私たちは問わない。力のある者にしかできないことがあるのよ”
レンに力を与えた水色の髪の少女――スイコとの会話を反芻して、櫂は胸中で呟く。
(あんな力で、何をさせようと言うんだ)
櫂にはPSYクオリアが呪いの力にしか見えなかった。人を飽くなき欲望へと誘(いざな)う、地獄への水先案内。レンはそう感じていないようだけれど、スイコとてその力が良いものだとは――持ち主に幸せを約束するものだとは、決して言っていないのだ。
一瞬苦悩に顔を歪めて、櫂は固く目を閉じた。
(……やめよう)
レンは道を選んだ。自分はその選択を変えられなかった。ならばもう、大人しく見ているべきなのだろう。
そこまで考えて、櫂はシャワーの蛇口を捻った。悠長に時間を使いすぎたかも知れない。着替えて、出かけて、電車に乗って。
決勝戦を見に行こう。
fin.
+++
泣いたかどうかわからないのでぼかそうかと思ったけど泣いた設定で書いてるしぼかす意味ねーじゃんということで泣いたことにしました。ほんとは家帰ってきて玄関で閉めたドアにもたれて座り込んで泣く的なシーンから始めようとしたのですが、なんか「だから一人にしてくれって…orz」みたいな櫂くんが見えたのでやめました(笑)
スイコさんを「少女」と形容するのに一瞬ためらったのは秘密です。櫂はスイコさんの名前を認識しているのだろうか…コーリンはファイトしたから知ってそうだけど。
これ書いた感想:お前自由に生きてんな…。
どうでもいいけど、櫂くん含めて決勝戦を立ち見してるカエサルとかジュラシックアーミーとかが、ボンバーマンでサドンデスモードに入ってるように見える。フィールドに爆弾投げ込んで敗者復活できそう(笑)
カーテンの向こうから眩しい光が差し込んでいるのに気づいて、櫂は目を覚ました。かすかに頭が重いのは、昨夜珍しく泣いてしまったせいだろう。暫くぼんやりとしてから、枕元の時計を見やる。告げられた時刻はカードキャピタルへの集合時間をとうに過ぎていたが、まぁ構うまい。もともと決勝トーナメントは補欠としてしか参加していないし、その主な目的はアイチのサポートだった。彼にレンへの敗北を晒した今となっては、サポートとして控える意味も無いように思えた。言い方を変えれば、櫂の決勝は昨日終わったのだ。場外での個人戦という形で。
起きて顔を洗おうとベッドを降りる。カッターシャツ姿の自分に気づいて、昨日は何もかも面倒でブレザーだけ脱いで寝てしまったことを思い出す。シャワーでも浴びたほうが良さそうだった。
* * *
温かい水を頭から浴びていると、気分までさっぱりとしてくる。水音が耳に心地良い。 集合時間は踏み倒してしまった。チームQ4としては参加できないけれど、決勝を見に行くのに間に合わないということはないだろう。ゆっくり食事をしている時間は無さそうだから、道中で適当に何かつまんだほうがいいかもしれない。
心は凪いでいた。ずっと求めていたものが得られないこと、それをつきつけられた結果のはずのその平穏が、単なる空虚と違うのかどうか、櫂には分からない。
櫂が二度挑戦して止められなかったレンは、今も勢いを増して走り続けている。かつて全国の頂点を目指していたレンは、その頂点にも満足することなく高みを目指している。数えきれない敗者の屍を踏んで。
そのレンと、アイチが今日戦う。冷静に考えればアイチの分はかなり悪いと言わざるを得ないが――それをひっくり返す可能性を、櫂は知っている。アイチの持っている底力を。
自分の決勝は終わった。けれど決勝戦は終わらない。見届けなければならないだろう。ファイターとして、大会参加者として。
チームQ4として、と言っていいのかは分からなかった。それはQ4の皆のせいではなくて、つい昨日まで櫂がまだレンに――かつてのチームフーファイターとしての自分にこだわっていたからだ。それを言ってしまったら、レンが取り戻せない気がした。例え言わなくても、櫂のいたチームフーファイターは取り戻せない、過去は過去のまま戻らない。それを思い知るのに、今の今までかかってしまった。
拠り所を失くしたような頼りなさ。それはどこか、両親を失ったときに感じた不安に似ていて、けれど全く違うような気もする。為す術もなく奪われたわけでも、永遠に失くしたわけでもない。やるだけやって駄目だった、それで歩む道が別れた、それだけのこと。
少なくとも、暗闇に幻を求めるような虚しさは、感じなくてもいいのだ。
(……“混沌なる静寂に叫びし絶望、幻すら見られぬ、闇より暗き闇の力”……。……そこまで絶望していたのか、レン)
結局のところ、彼の力をあそこまで育ててしまった一端は自分にあるのだ。レンから逃げないだけの強さがあったなら、PSYクオリアに目覚めたばかりのレンに、勝てるぐらいに強かったなら、違う未来があっただろうか。
否、どんな道をたどっても、多分レンとの道は分かたれてしまったのだろう。櫂と出会うよりも前から、テツと一緒に全国の頂点を――高みを目指していたレンが、PSYクオリアを手に入れてしまった以上は。それがファイトの決着が証した運命だ。
そう思ったから、櫂は彼に力を与えた存在を許せなかった。
“……何故だ”
“私たちには、彼の力が必要なの”
“その力がレンを変えてしまったとしてもか!”
“力の結果が、善か悪かを私たちは問わない。力のある者にしかできないことがあるのよ”
レンに力を与えた水色の髪の少女――スイコとの会話を反芻して、櫂は胸中で呟く。
(あんな力で、何をさせようと言うんだ)
櫂にはPSYクオリアが呪いの力にしか見えなかった。人を飽くなき欲望へと誘(いざな)う、地獄への水先案内。レンはそう感じていないようだけれど、スイコとてその力が良いものだとは――持ち主に幸せを約束するものだとは、決して言っていないのだ。
一瞬苦悩に顔を歪めて、櫂は固く目を閉じた。
(……やめよう)
レンは道を選んだ。自分はその選択を変えられなかった。ならばもう、大人しく見ているべきなのだろう。
そこまで考えて、櫂はシャワーの蛇口を捻った。悠長に時間を使いすぎたかも知れない。着替えて、出かけて、電車に乗って。
決勝戦を見に行こう。
fin.
+++
泣いたかどうかわからないのでぼかそうかと思ったけど泣いた設定で書いてるしぼかす意味ねーじゃんということで泣いたことにしました。ほんとは家帰ってきて玄関で閉めたドアにもたれて座り込んで泣く的なシーンから始めようとしたのですが、なんか「だから一人にしてくれって…orz」みたいな櫂くんが見えたのでやめました(笑)
スイコさんを「少女」と形容するのに一瞬ためらったのは秘密です。櫂はスイコさんの名前を認識しているのだろうか…コーリンはファイトしたから知ってそうだけど。
これ書いた感想:お前自由に生きてんな…。
どうでもいいけど、櫂くん含めて決勝戦を立ち見してるカエサルとかジュラシックアーミーとかが、ボンバーマンでサドンデスモードに入ってるように見える。フィールドに爆弾投げ込んで敗者復活できそう(笑)
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