リスペクト公式、と言いつつBL・GL妄想上等の色々無節操なのでカオス注意。
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25話「記憶の先に」の裏話イメージで、三和くんがアイチとカムイの相談を受ける話。英語版見直したらこうなった\(^o^)/最初は櫂くん視点で櫂くんと三和くんの話にしようかと思ってたんだけど櫂くん手ごわかった(笑)

 両親を亡くした悲しい記憶を忘れられないミサキに、それを知らずにヴァンガードで辛い思いをさせてしまった。また一緒に戦ってもらうにはどうしたらいいだろう。
 そんな相談をしにきたアイチとカムイに、櫂は冷淡に言い放った。
「やめたい奴はやめればいい。過去なんて誰にでもある。それをいつまでも自分の弱さの理由にするのは、ただの甘えだ」
 苛立たしげにそう言って立ち去った櫂を、カムイが仲間の傷を思いやることもしない冷たい奴だと思ったのも、無理からぬことだった。

 人災情報―一部住民が自主的に避難しました。

 相談相手のあてを失って一度家に帰ったものの、ミサキのことが気になってもう一度公園で落ち合ったアイチとカムイは、櫂が寝ていたベンチの脇に、今度は違う人物を見つけた。
「おお、こんちは!今日櫂こっちにもいねーの?」
「三和くん!」
 三和も同じく櫂を探しに来たらしい。ちょうどよかったと、アイチは一通り事情を説明する。
「……っていうことがあって……。櫂くんの言う通り、そっとしておいてあげた方がいいのかなって、悩んじゃって……」
「何言ってるんですかお兄さん!あいつは単に百姓なだけですよ!」
 薄情かな?と苦笑いしつつ、強く否定することもできず「そんなことないと思うけど……」とアイチは弱腰で答える。
 事態を把握した三和が、はぁーとため息をついた。
「なーるほどねぇ……」
 どうすればいいと思う?と目顔で問うアイチに、三和はしばし考えてから、こう問いかけた。
「お前はどうしたいんだ?」
「え?ええと……どうしたいっていうか、どうしようっていうか……」
「そりゃどうしたいか分かんなきゃ分かんねーよ」
 戸惑うアイチを茶化すように笑う三和に、ごちゃごちゃとしていたアイチの思考が、少しずつ整理されてくる。
 しかしアイチが答えるより早く、カムイが意気込んで答えた。
「やっぱ、一緒に戦ってほしい!Q4ぜってー強くなるし!」
「うん、僕もそう思う。けど……」
「お兄さん……?」
 その気持ちは同じはずなのにストレートに同意できないアイチに、カムイが不安げに首を傾げる。
「ミサキさん、本当に辛そうだった。僕達のせいで、あんなに追い詰めちゃって……」
「……そうですね……」
 同じジレンマに沈む二人を、三和は黙って見守る。
 それでも、ああでもないこうでもないと迷っていたときより、アイチはずっと冷静だった。
「……僕は、ミサキさんと一緒に戦いたい。だから……傷つけちゃって、ごめんって。そう言いたいなって……言わなくちゃって、思う」
 その言葉に、三和はほっとしたような笑みを浮かべる。
「……そうですね。やっぱ仲間なら、ちゃんと謝んなきゃ駄目です!」
「あぁ、いんじゃね?それで」
 どうやら方針の決まったらしい二人に、三和も同意した、
「うん、ありがとう、三和くん」
「サンキューな!」
「どういたしまして」
 カードキャピタルに向かう二人を、三和はひらひらと手を振って見送ったのだった。

 * * *

 二人の姿が、見えなくなった後。
「……はぁぁぁぁ……」
 大きなため息をついて、三和がベンチにへたり込んだ。額を押さえた沈痛な面持ちは、とても相談事が片付いた人間の顔ではない。
「なんなんだよこれ……」
 まずアイチとカムイにミサキの事情を聞いた時点で、どっかで聞いたような話だなーと冷や汗をかいた。それを知らずにミサキを追い詰めたというだけでも、「ああああ……」とかなんとか内心頭を抱えた。極めつけそれを櫂に相談したと聞いたときには、三和の脳内は「うわぁ……」の一言だった。
「……アイチ、カムイ、気の毒だがお前らが踏んだ地雷はねーちゃんのだけじゃねーぞ……」
 アイチやカムイが知ってしまったミサキの境遇は、櫂に瓜二つだった。家族のことに――今は亡き両親に関わる話題に、櫂は触れたがらない。ましてこれだけ酷似した話を聞かされて、櫂がまともに相談など乗れるはずもない。
 カムイは櫂の反応を仲間なのに冷たいと思ったようだが、実際には櫂は、おそらくミサキのことまで頭は回っていないだろう。捨て台詞は半分以上、自分への言葉のように三和には思えた。

“過去なんて誰にでもある。それをいつまでも自分の弱さの理由にするのは、ただの甘えだ”

「……そんなこと考えてたんだな、お前」
 それは多分、櫂が三和には絶対言わないだろう本音のひとつだった。下手にその過去を知っている三和には、それが弱音にしかならないからだ。そんなものを素直に吐いて他人に寄りかかるには、櫂のプライドは高すぎる。
 再会したばかりの頃、櫂とヴァンガードをしている最中、三和はテンションが上がって不用意にも「なんか昔を思い出すなー」などと口走ってしまった。目の前の櫂が硬直したのを見て、言ってはいけなかったかと慌てて話題を逸らし、いっそ今日はやめておくかとも提案したのだが。
「何を言ってる?早くやるぞ」
 射抜かれそうな眼光でそう言われて逃げ出すこともできず、そのまま櫂の気が済むまで何度となくボコボコにされた。エターナルフレイムがシャレになってねぇ、などと思ったものだった。
 最近の櫂は、それでも少し落ち着いているように見えた。高校で他人とまともに会話しないのは変わっていないが、カードキャピタルでアイチ達と関わって、地区大会も曲りなりにチームで優勝して。
 しかし次から次へと、厄介事の種はなくならないものらしい。

“そっとしておいてあげたほうがいいのかな……”

「……櫂にはそっちが正解だろうな……多分」
 ミサキのように爆発してしまった後ならともかく、今の櫂は、まだ動揺を自分で押さえ込もうとしている。半端な手出しをしてしまえば、一気に決壊してしまいかねない。Q4がミサキで手一杯なうちは、櫂まで爆発させるのはできれば避けたいところだった。櫂の場合、とりあえず放っておけば、その心配は殆ど無いだろう。
「あいつが我慢強いのが、いいんだか悪いんだか……」
 これは暫く荒れるかもしれない。ちょっと近づくのはやめとこうかなと、天災を嗅ぎつけた探検家のように三和は考えた。


 fin.



そして櫂くんの緩衝剤が退避した結果、全国大会で事件は起こった…かもしれない。
なにげに一期は24~50話の間でミサキ→カムイ→アイチ→櫂とQ4メンバーが順番に爆発していたことに今気づいた(遅い)。そして絆を深めて最終戦5クール目でそれぞれの想いの決着へ…。やっぱ長期アニメっていいなぁ…。
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