リスペクト公式、と言いつつBL・GL妄想上等の色々無節操なのでカオス注意。
今更ですがキャラ崩壊注意\(^o^)/タクトさん達に本格始動される前に完結したいのでちょっと無理やり書きました。まぁそれがなかったら永久に書かないかもしれないくらい苦手な展開の部分ですorz
4.エスケープ
移動と言うよりは散歩のような道すがら、櫂が自分からは何も話さないせいで、二人の道中は必然的にスイコが話しかけることになる。
「意外ね、CDショップなんて行かないかと思ってたわ」
「店くらいは知っている。入ったことはない」
その答えに、スイコは楽しそうに笑う。
「やっぱりヴァンガードなのね」
「そういう言い方はやめろ……」
一段飛ばしで納得されてしまうと傷つくのがプライドというやつだった。ヴァンガードにしか興味が無いと思っていた、というニュアンスの言葉に、ヴァンガードのためにカードショップを巡っていたから地理にも詳しくなっただけ、と暗に言っているようなものとはいえ、わざわざ見透かしてくれなくともいいのに。
憮然とした櫂の顔を見ても、スイコは変わらず微笑むばかりだ。
「いいじゃない、あなたらしいと思っただけよ」
「………」
それが素直な感嘆なのだと、わからないほど鈍いつもりはなかった。だから返す言葉は見つからずに、櫂は沈黙してしまう。
スイコは無言も苦ではないようで、二人はただただ歩道を歩く。
* * *
「いらっしゃいませ」
ガラスの自動ドアを抜けると、若い男の店員の声が響いた。ちらりとこちらを見やった彼が、あれ、と引っかかったような顔をしたことに、二人は気づかない。
「……あ、あった」
きょろきょろと店内を見渡して、目星をつけた棚に向かったスイコが、櫂を手招きする。
誘われるまま櫂がそこへ行くと、スイコはディスプレイされたCDを一枚、PRキャンペーンよろしく両手で示してみせる。営業紛いのスマイルで言った。
「ウルトラレア最新シングル、『ミラクルトリガー~きっと明日はウルトラレア!~』よろしくね」
真顔で見つめたまま、いっこうに反応を示さない櫂に、スイコはとりあえずその笑顔をキャンセルする。
「……こういうのは、興味ない?」
寂しそうだったかもしれないし、そうでもないかもしれない。やや考えるような間の後で、櫂は溜息をつくようにスイコが手にしたCDを片手で取り上げる。ジャケットに映る、スイコを含めた三者三様の笑顔を見つめて、ぽつりと問いかけた。
「これも“仕事”か?」
あくまで淡々とした、半分独り言のような質問だった。それは不思議と、内側から問いかけられたように響く。
「……どうなのかしらね」
ヴァンガードの大会イベントを彩るアイドルユニット“ウルトラレア”は、PSYクオリア能力者を見つけ出すために必要だから始めた仕事。いつその妨げになるか分からない以上、そこに私情を差し挟むつもりは無い、けれど。
まっすぐに答えることができずに、スイコは櫂の隣に並ぶと、何とは無しに棚のCDに視線を移した。
「……二十四時間あなたでいるのは、疲れない?」
反芻するような時間の後、ゆっくりとした口調で櫂が答える。
「どう言ったところで俺は俺だろう。お前こそ、自分が何人もいて疲れないのか」
「その全てが、私の存在意義だもの」
言葉は平行線のまま、会話はそこで終わってしまう。その結末に大した意味はあるかもしれないし、無いのかもしれない。
ただ途切れた言葉の次に響いたのは、闖入者のうわずった声だった。
「あのっ、ウルトラレアのスイコさんですよね?」
スイコが驚いて振り向くと、興奮した様子でそこに立っていたのは、さっきまでカウンターにいたはずの店員だった。横目で一瞥した櫂の視線に冷たいものが宿る。当のスイコはと言えば、突然の乱入に虚を突かれた顔を一瞬で立て直し、人差し指を唇に当ててウインクしてみせた。
「内緒よ?プライベートなの」
櫂のこめかみがぴくりと動いた。
「は、はいっ!」
大人しく返事をしたものの、じゃあ握手だけでも……などと言い出した男の手を遮るように、櫂の手がスイコの手を握った。
「もういいだろう、行くぞ」
「え?」
答えも待たずに櫂は強引にスイコを引っ張って店を出てしまう。ドアが閉まるのと同時に、櫂はスイコの手を離した。
スイコが店内を振り返ると、あっという間の出来事に取り残されて呆然としていた店員が、我に返って職務に戻るのが見えた。
「……CD、プレゼントしたかったんだけど」
「要れば自分で買う」
不機嫌な声に、スイコがきょとんとした顔で櫂を見やる。
「それはどっちの――」
「ねぇ、あれって……」
尋ねようとしたスイコの声と同時に、ひそひそとした声が櫂の耳に届く。ちらりと聞こえたウルトラレアの単語から、スイコを見ての噂話と知れる。
「……お前の仕事を忘れるべきじゃなかったな」
吐き捨てると、その視線の隙をついて櫂はもう一度スイコの手を引いて駆け出した。
「……っ、どこへ行くの?」
「さぁな」
ここは空気が悪い。走りながら内心で毒づいて、言われるまま何も聞かずついてくるスイコに安堵する。暮れ始めた空を認めて、太陽などさっさと沈めばいいと、柄にもなく櫂は思った。
+++ BACK / NEXT 5.プロミス +++
カムイ「CD買うのか?」
櫂「聞くな」
本当は人だかりができてどうしましょーってなった感じでやりたかったんですが人だかりができる状況をイメージできなかったので地味な感じになりました。お陰で櫂くんの心理状態がだだ漏れです\(^o^)/
本当はおまけ会話こうしたかったんだよ……↓
カムイ「女性を守るのは男の役目だよな!」
櫂「俺はそんなフェミニストじゃない」
カムイ「?……じゃあなんで逃げたんだ?」
櫂「………」
ここに来るまで全く気付かれなかったのおかしいんじゃないかとかも思ってはいるんですが、ウルトラレアって知名度どれくらいなんだろう。
移動と言うよりは散歩のような道すがら、櫂が自分からは何も話さないせいで、二人の道中は必然的にスイコが話しかけることになる。
「意外ね、CDショップなんて行かないかと思ってたわ」
「店くらいは知っている。入ったことはない」
その答えに、スイコは楽しそうに笑う。
「やっぱりヴァンガードなのね」
「そういう言い方はやめろ……」
一段飛ばしで納得されてしまうと傷つくのがプライドというやつだった。ヴァンガードにしか興味が無いと思っていた、というニュアンスの言葉に、ヴァンガードのためにカードショップを巡っていたから地理にも詳しくなっただけ、と暗に言っているようなものとはいえ、わざわざ見透かしてくれなくともいいのに。
憮然とした櫂の顔を見ても、スイコは変わらず微笑むばかりだ。
「いいじゃない、あなたらしいと思っただけよ」
「………」
それが素直な感嘆なのだと、わからないほど鈍いつもりはなかった。だから返す言葉は見つからずに、櫂は沈黙してしまう。
スイコは無言も苦ではないようで、二人はただただ歩道を歩く。
* * *
「いらっしゃいませ」
ガラスの自動ドアを抜けると、若い男の店員の声が響いた。ちらりとこちらを見やった彼が、あれ、と引っかかったような顔をしたことに、二人は気づかない。
「……あ、あった」
きょろきょろと店内を見渡して、目星をつけた棚に向かったスイコが、櫂を手招きする。
誘われるまま櫂がそこへ行くと、スイコはディスプレイされたCDを一枚、PRキャンペーンよろしく両手で示してみせる。営業紛いのスマイルで言った。
「ウルトラレア最新シングル、『ミラクルトリガー~きっと明日はウルトラレア!~』よろしくね」
真顔で見つめたまま、いっこうに反応を示さない櫂に、スイコはとりあえずその笑顔をキャンセルする。
「……こういうのは、興味ない?」
寂しそうだったかもしれないし、そうでもないかもしれない。やや考えるような間の後で、櫂は溜息をつくようにスイコが手にしたCDを片手で取り上げる。ジャケットに映る、スイコを含めた三者三様の笑顔を見つめて、ぽつりと問いかけた。
「これも“仕事”か?」
あくまで淡々とした、半分独り言のような質問だった。それは不思議と、内側から問いかけられたように響く。
「……どうなのかしらね」
ヴァンガードの大会イベントを彩るアイドルユニット“ウルトラレア”は、PSYクオリア能力者を見つけ出すために必要だから始めた仕事。いつその妨げになるか分からない以上、そこに私情を差し挟むつもりは無い、けれど。
まっすぐに答えることができずに、スイコは櫂の隣に並ぶと、何とは無しに棚のCDに視線を移した。
「……二十四時間あなたでいるのは、疲れない?」
反芻するような時間の後、ゆっくりとした口調で櫂が答える。
「どう言ったところで俺は俺だろう。お前こそ、自分が何人もいて疲れないのか」
「その全てが、私の存在意義だもの」
言葉は平行線のまま、会話はそこで終わってしまう。その結末に大した意味はあるかもしれないし、無いのかもしれない。
ただ途切れた言葉の次に響いたのは、闖入者のうわずった声だった。
「あのっ、ウルトラレアのスイコさんですよね?」
スイコが驚いて振り向くと、興奮した様子でそこに立っていたのは、さっきまでカウンターにいたはずの店員だった。横目で一瞥した櫂の視線に冷たいものが宿る。当のスイコはと言えば、突然の乱入に虚を突かれた顔を一瞬で立て直し、人差し指を唇に当ててウインクしてみせた。
「内緒よ?プライベートなの」
櫂のこめかみがぴくりと動いた。
「は、はいっ!」
大人しく返事をしたものの、じゃあ握手だけでも……などと言い出した男の手を遮るように、櫂の手がスイコの手を握った。
「もういいだろう、行くぞ」
「え?」
答えも待たずに櫂は強引にスイコを引っ張って店を出てしまう。ドアが閉まるのと同時に、櫂はスイコの手を離した。
スイコが店内を振り返ると、あっという間の出来事に取り残されて呆然としていた店員が、我に返って職務に戻るのが見えた。
「……CD、プレゼントしたかったんだけど」
「要れば自分で買う」
不機嫌な声に、スイコがきょとんとした顔で櫂を見やる。
「それはどっちの――」
「ねぇ、あれって……」
尋ねようとしたスイコの声と同時に、ひそひそとした声が櫂の耳に届く。ちらりと聞こえたウルトラレアの単語から、スイコを見ての噂話と知れる。
「……お前の仕事を忘れるべきじゃなかったな」
吐き捨てると、その視線の隙をついて櫂はもう一度スイコの手を引いて駆け出した。
「……っ、どこへ行くの?」
「さぁな」
ここは空気が悪い。走りながら内心で毒づいて、言われるまま何も聞かずついてくるスイコに安堵する。暮れ始めた空を認めて、太陽などさっさと沈めばいいと、柄にもなく櫂は思った。
+++ BACK / NEXT 5.プロミス +++
カムイ「CD買うのか?」
櫂「聞くな」
本当は人だかりができてどうしましょーってなった感じでやりたかったんですが人だかりができる状況をイメージできなかったので地味な感じになりました。お陰で櫂くんの心理状態がだだ漏れです\(^o^)/
本当はおまけ会話こうしたかったんだよ……↓
カムイ「女性を守るのは男の役目だよな!」
櫂「俺はそんなフェミニストじゃない」
カムイ「?……じゃあなんで逃げたんだ?」
櫂「………」
ここに来るまで全く気付かれなかったのおかしいんじゃないかとかも思ってはいるんですが、ウルトラレアって知名度どれくらいなんだろう。
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pixivからこのサイトにはリンク等を貼っていません。あんな大手SNSからこんなコアなサイトに直接飛べるようにする勇気無いです\(^o^)/
あと最近転載しているTwitterはpixivのプロフから飛べます。非公開中です。なんでそんなめんどくさいことしてるんだなんて聞かないであげてください。コミュニティごとに人格切り替えないとパニックになるタイプなんだよ!!(明らかに最初にpixivとHP切り離したのが敗因)
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