リスペクト公式、と言いつつBL・GL妄想上等の色々無節操なのでカオス注意。
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未完。
中学時代のレンのクオリア発症の経緯を詳しく考えようとして挫折した\(^o^)/レンが強くならなくちゃって思いつめるほど追い込まれたのはなんでなんだろうな?というお話。の予定だった。
あとテツが「公私は分ける。組織の中では上下をはっきりさせる」っていうスタンスを決意する話にもなる予定だったんですが、そんなハードボイルドな話は私にはちょっと荷が重かった…orz

 それは、季節が秋に差し掛かろうとしていた頃だった。
 なんでもない平日の放課後、部室代わりの体育用具室のドアを開けたレンが、浮かない顔で言った。
「今日も櫂、来ないそうです」
「そうか」
 三人しかいないヴァンガード同好会の活動日は不定だった。この部室でファイトすることもあれば、放課後の教室でファイトすることもある。三人でカードショップに行くこともある。日常との境界がひどく曖昧な同好会がそれでも成り立つ理由など、レンは興味もなかったし、テツも深くこだわっているわけではなかった――このときは、まだ。
「……やっぱり、僕が悪いんでしょうか」
 レンがぽつりと呟く。
 部活として考えれば、櫂の行動はサボリなのだろう。けれどレンには、それを責めることができなかった。櫂が部活を休みがちになったのは、先日のショップ大会で、チームフーファイターが負けてからだった。
 櫂は勝ったのだ。けれどテツとレンは勝てなかった。櫂が強いことも、テツとレンがまだ決して強くはないことも、三人とも承知していた。だから負けたことは三人にとって不思議ではなかった、けれど。
「……そんな顔すんなって、次がんばろーぜ?」
 足を引っ張ってしまったと落ち込むレンに、櫂は苦笑してそう言った。
 そんな櫂に違和感を覚えたのは、それを見ていたテツの方だった。
 いつもの櫂なら、一言くらい余計なことを言うところなのだ。またおかしな理由でライン作っただろうとかなんとか。俺は面白いから好きだけど、という雰囲気を言外に漂わせながら。それにレンがそんな言い方酷いですとかなんとか口をとがらせて、適当に笑えば丸く収まる。櫂が現実に言った言葉通り、次に向かっていける。
 なのにそうはならなかった。それが今まで、尾を引いてしまっている。
「考えすぎだ。そうならそうと、あいつは口で言う奴だろう」
 諭すような口調のテツに、レンは戸惑いがちに頷く。
「そう、ですよね」
 第一、負けたという意味では俺もお前と一緒なんだぞ――という言葉を、テツは言えなかった。
 テツは知っているのだ。
 レンは悪くない。
 けれど櫂が来ないのは、確かにレンが原因だろうと。

 * * *

「お前が来ないから、レンが落ち込んでるぞ」
 カードショップで偶然出くわした櫂に、テツはそう言った。
「……悪い」
 どことなく沈んだ調子で、俯きがちに櫂は答えた。
 クラスメイトでもあるレンの前で、こんな風に悩むそぶりは多分見せていないのだろう。見せていれば、レンが責任を感じて悩むようなことにはならないはずだ。
 レンがぐるぐると悩むのは、今の櫂にどうアプローチすればいいのか分からないからだ。
 櫂がレンを拒絶している、それが事実だから。
「何を考えてる?」
 単刀直入に切り込んだテツに、櫂は決して嫌な顔はしなかった。
「……言えない」
 けれど、その刃で櫂の心の深くまでを開いて見ることはテツにはできなかった。
 ひとつ確認がとれただけ上出来と思いながら、テツはため息をつく。
「……それを、そのままレンに伝えても――」
「レンには言うな!!」
 他人の言葉を遮ってまで櫂がものを言うところを、テツはこのとき初めて見た。
「……頼むから」
 震える直前で踏みとどまるような声だった。
 懇願されて、それでも否と言う理由もテツには見つけられなかった。
「……今度は……一緒に大会で勝とう、って……」
「……ああ、分かった」
 伝言なのか独り言なのか、それを聞くことはテツはしなかった。
 聞いても櫂には答えられないだろう。その言葉を絞り出すだけで精一杯なのだと、そう思えてならなかった。

 * * *

(なんで、あんなこと言ったんだ……)
 櫂の脳裏を去来するのは、そんな後悔だった。

“……そんな顔すんなって、次がんばろーぜ?”

 負けて悔しいのは当然なのに。次のことを考えるなんて、もっと後でよかったはずなのに。
 落ち込むレンの顔が、見ていられなかった。
 確かにファイターとして決して強くはないけれど、カードが好きで、ユニット同士の関係や背景にまでイメージをふくらませて楽しむレンのファイトが櫂は好きだった。
 だから怖かった。レンが落ち込むのが、レンがファイトを「楽しくない」と思ってしまうのが。
 レンに落ち込んでほしくなくて――ただそれだけの理由で、別に負けたっていいじゃないかと、そう思った自分が許せなかった。
 それは櫂のポリシーに反することでもあり、ヴァンガードチャンピオンシップを目指して結成されたチームフーファイターの理念に反するものでもあった。

「……強くなって、一緒に……」

 一緒に大会で勝つ。それだけでいいはずなのに、何も迷うことなどないはずなのに、櫂は動けなかった。
 大会で勝つことよりも、ずっと強く願っていることがあることに、気づいてしまったから。

 ただずっと、このままの時間が続けばいい。

 それを本気で願い続けるには、櫂の心はあまりにも炎に似すぎていた。


+++

季節的には春に出会ってチーム結成、夏の終わりに大会出て今が秋、ここから先の冬でビル上ファイトな感じです。
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