リスペクト公式、と言いつつBL・GL妄想上等の色々無節操なのでカオス注意。
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櫂VSレオンの補完は諦めたが2期補完が終わったとは言ってない(キリッ
†傷だらけの堕★天★使†アニメが好調で何よりです。もう最初から素直に「THE UNLIMITED 櫂トシキ」にしておけばよかったと思いつつ、方針変更により時間を巻き戻して櫂くんのNAL4招待編です。ちらっときいた話は「テツが誘った」だったんですけど、せっかくなので三人で誘ってもらいました。

RIDE77.5 招待状

 武者修行のために世界を回っていた櫂を、雀ヶ森レン、新城テツ、そして鳴海アサカが訪ねてきたのは、シンガポールステージが終わった頃だった。
「久しぶりですね、櫂」
「元気そうだな」
 レンの笑顔も、テツの落ち着きも、普段通りのはずだった。けれど、ほんの数週間前に全国大会で、そしてフーファイター本部でも見たはずの顔は、何故かやけに懐かしかった。
 かすかな違和感を櫂が疑問に思う暇もなく、レンが単刀直入に切り出す。
「櫂、チームNAL4(ニューエーエルフォー)に入りませんか?」
「NAL4?」
 聞き慣れないチーム名を、櫂は復唱する。彼らには、FFAL4(フーファイターアペックスリミテッドフォー)というチーム名があるはずだった。
「ヴァンガードファイトサーキットのことは知っているだろう?俺たちのところにも招待状が来ている。それに出場するために立ち上げた、新しいチームだ。世界は手ごわい。俺たちと一緒に、VFサーキットに出場してほしい」
「待て、何故それでチームを新しくする必要がある?」
「フーファイターは今、組織改革の途中だからな。俺たちは今回、フーファイターの代表としてではなく、独立したチームとして戦うつもりだ。……それにお前は、今のフーファイターは性に合わないだろう?」
 最後の付け足しを、こともなげに言ってのけたテツに、櫂は半ばあきれた顔で返す。
「……お膳立てしすぎなんじゃないか?」
「それだけ入ってほしいんですよ!」
 横から満面の笑顔でレンが口を挟む。
「櫂が世界を回っていたのも、VFサーキットに出場するためでしょう?僕たちと一緒に戦ってくれれば、最高の勝利を約束しますよ」
 レンの勢いに若干たじろぎつつ、櫂は思案する。
 断る理由はない。シンガポールステージ、自分と同じくVFサーキット優勝を目指すアイチは、既にチームQ4として参加している。結果は惜しくも準優勝だったと聞いているが、一歩を先んじているのはアイチのほうだ。
 そのサーキットへと誘っているのは、一度は共に戦うことを誓い、けれど叶わなかった仲間達。果たせなかった約束を果たすときなのかもしれない。これこそが自分の進むべき道ということかもしれない。櫂が頷こうとした矢先――
「……レン様!やっぱり、私は納得できません!」
 ――今まで黙っていた三人目のチームメンバーが、口を開いた。
「櫂トシキなんていなくたって、私たちは十分に優勝できる実力があるはずです!」
 そう言ってレンに詰め寄るアサカに、レンはにっこりと笑う。
「そうですねー」
 あくまで穏やかに、しかしレンは一歩も引かない。
「けど櫂が入ってくれれば、勝利はもっと完全なものになります。誘わない手はないでしょう?」
「それは……」
 アサカが言いよどむのは、本音が「なんでこんな奴にレン様が頭下げてまでチームに入ってもらわなきゃいけないのよ、レン様はこんな奴のどこがいいの?レン様は私のものよ」だからである。崇拝するレンが人一倍懐く櫂を、アサカはあまり快く思っていない。
 そしてそれを、知らないレンとテツではない。
「それじゃあこうしましょう。アサカは櫂と戦ってみてください。アサカが勝ったら、この話は無かったことにします。櫂が勝ったら、彼はNAL4の一員です」
 お決まりの落としどころに、アサカがきっ、と櫂を睨む。
「そういうことよ。かかってらっしゃい!」
 絶対に負けないんだから!と意気込むアサカに、櫂は不敵に笑った。
「いいだろう。それくらいでないと張り合いがない」

「「スタンドアップ!!」」
「ザ!」
「「ヴァンガード!!」」

 * * *

 生き生きとファイトする二人を観戦しながら、こっそりとレンがぼやく。
「やっぱり櫂は、一筋縄じゃいきませんね」
 それに同意してテツも言った。
「自分でハードルを上げるのが趣味のような奴だからな」
 アサカのひと押しがなくとも、櫂はこのチームに入ってはくれただろう。けれど流されるような状況で加入してしまうと、櫂の性格上、のちのちに響かないとも限らない。
(趣味と言うか……トラウマなのか?)
 無条件で手に入る居場所に、櫂はひどく戸惑う。彷徨うように生きている彼に手を差し伸べたがる人間は、きっと櫂が思う以上に多いのに、櫂にとっては条件を出されるくらいが“リアル”なのだ。――その感覚に無意識に同調してしまったレンの暴走と、自分なりの対価として強さを支払っていた櫂の反発が、かつてのすれ違いの全てだった。
「これでアサカが納得してくれるなら、願ったり叶ったりですけどね」
「そうだな」
 テツは頷いた。茶化すように言ったレンだが、この件に関しては相当気合を入れて根回しをしている。シンガポールステージに櫂が参加していないのを見て、このチームに誘おうと言いだしたのはレンのほうだった。
 アサカは基本的にレンに逆らうようなことはしないが、ことレンの独占権に限って言えば、決して物分かりがいいわけではない。櫂を勧誘する話を持ちだした時も、あまりいい顔はしていなかった。
 ともあれ、櫂もアサカも、これで当面の後腐れはなくなるだろう。このファイトは、二人の挨拶代わりの儀式のようなものだ。
 レンもひとまず安心したらしく、テツへと視線を向けてくる。
「……けど、本当にいいんですか?櫂が入ったら、テツは試合に出られないでしょう?」
 四人目のメンバーが入ったとして、試合で戦えるメンバーは三人。レンはチームの要だし、櫂は戦ってもらうためにこそ勧誘している。アサカがベンチで大人しくしているわけがないことは二人も承知だ。そしてレンは、彼女のファイトのファンでもある。
「ああ。俺はこのチームで優勝したい。それが全てだからな」
 そう言ったテツの笑顔に嘘がないことを確認して、レンは嬉しそうに笑う。
「チームフーファイター、再結成ですね」
「櫂に言ったら逃げられそうだな」
「逃がしませんよー。今度こそね」
 やけに楽しそうな幼馴染に、テツは苦笑した。
「ほどほどにな」

 * * *

 ファイトは櫂の勝利に終わった。
 そして櫂は、正式にチームNAL4のメンバーになった。

 * * *

 その日の帰り道、櫂がふとテツに言った。
「……そう言えばこの間、矢作キョウともファイトしたぞ」
 久しぶりに聞いた名前は、元フーファイターAL4のチームメイトだった。全国大会で櫂に敗れた彼に、フーファイター除名処分を下したのはテツだ。
 当時のフーファイターの掟のこともある。けれどそれ以上に、フーファイターは彼にとって決して良い環境とは言えなかった。慢心しやすい彼が強くなるためには、ステータスはマイナスにしかならない。
 それにその“ステータス”にも、既に陰りは見え始めていたのだ。櫂への憎しみに裏付けられたレンのフーファイターに、櫂との再会が、何の変化ももたらさないはずがなかった。
「そうか。元気にしていたか?」
「ああ。以前よりずっと強くなっていた」
 本当に良いファイトだったことが伺える言い方に、テツからも笑みがこぼれる。
「勝敗はどうだったんだ?」
「勝っていなければ、この話は受けていないな」
 それは多分、単純に実力のことを言ったのだろう。けれど、どこか居場所を探しているような櫂だから、“AL4”の四人目の席のことを言っているようにも聞こえた。
 どちらでも構いはしないけれど、このチームが彼の居場所になれるなら――レンと櫂が、一緒にいられるチームになるなら、かつて下した苦渋の選択の傷は癒えるのだろう。
 レンと櫂、どちらかを選ぶしかなかった運命を、繰り返させはしない。
「そうだな。頼りにしている」
「ああ」
 何に気兼ねすることもなく、笑って頷き合える。
 誰よりこのチームを作りたかったのは、テツだったのかもしれなかった。
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