僕達は戦使だった（櫂×スイコ）

カッとなってやった。
超やっつけ。悪魔の翼を持つ自由の使者櫂くんと天使の翼を持つ運命の使者スイコさんの最終決戦パラレル。期待してはいけない。スレイヤーズからワンフレーズ丸々拝借してます。呪文詠唱はロマン。もとは呪文じゃないけど。金色の覇王（オーバーロード・オブ・ナイトメア）櫂トシキ的な。よく見たら赤の龍神スィーフィードと赤眼の魔王シャブラニグドゥがまんま櫂とレンぽいですね。
なんかもういろいろ間違ってる。タイトルは「僕達は天使だった」＋「戦使達の翼」。天使だったじゃ困るんだよなぁと思ったらちょうどいい当て字があったので。

「私の運命に従いなさい、櫂トシキ」

　スイコの背から純白の翼が生える。羽ばたきと共に、鳥の羽毛のように光が散乱した。

　誘うように空へと舞い上がるスイコに、櫂は不敵な笑みで応える。

「正体を現したか。生憎だが――御免こうむる！」

　骨と皮だけでできた漆黒の羽を広げて、追って櫂も飛び立つ。

　人の住む世界の彼方、遥かなる天上へと。

　*　*　*

「我が意志こそ我が力、全ては永久（とわ）の黙示録！焼き尽くせ！エターナル・アポカリプス！！」

　炎が膨れ上がる。

　眩しすぎる光の奔流に視界を奪われ、避ける暇もなく炎がスイコを直撃する。

　けれどその熱がスイコを焼くことは無く、急に宙を掴んだ手に、手にした剣（つるぎ）が溶け消えたことを知る。

　通り過ぎた熱にゆっくりと瞳を開けると、視界には誰も見当たらない。

「え……？」

　慌ててあたりを見渡すと、視界の下方に落下していく櫂の姿を捉えた。

「櫂！！」

　さっきの術の代償なのか、櫂の背の翼は霧散していた。

　重力に引かれて速度を増していく櫂に、普通のやり方では追いつけない。

　スイコは迷わなかった。

「……我は祝福されし者。運命よ、この手を導け！」

　音速と光速を超えて、スイコの姿がかき消える。

　その場に舞い散る羽毛の量は、翼そのものがそこに置き去りにされたことを物語る。

　一瞬のタイムラグ。

　もう一度世界に出現したスイコが、落ちてゆく櫂の手を掴んだ。

「――っ！」

　反動でブレーキはかかったけれど、それも気休めになるかならないかだ。翼を失ったスイコは、櫂と共に落ちていくしかない。

「何故……来た！」

「あなたこそ、勝負をつけずに終わるつもりなの？」

　怒った顔をする櫂に、スイコははぐらかすような平穏さで尋ねた。

　挑発するように櫂は笑う。

「術の発動に失敗した。俺の負けだろう」

「勝手に決めないで。私も翼を失ったわ、条件は同じでしょう？私はまだ勝っていないわ」

「お前のはただの自殺行為だ」

「そうかもしれない。私は運命に歯向かってしまった。だから翼を失ったのよ。……あなたは？」

　穏やかなまま、けれど徹底して追求をやめないスイコに、櫂の顔から笑みが消える。

　その瞳にはただ、真剣にも似た光が宿っていた。

「……悪い冗談だ」

　ぽつりと呟いたそれは、今度こそ正真正銘の敗北宣言だった。

「さっきの術、失敗したんじゃないんでしょう？」

「ああ。失敗しようがない。……意志こそ力、結果が全ての答えだ」

「私と一緒に生きようとは、思ってくれなかったのね」

「お前こそ、俺を殺してでも運命を全うしようとは思わなかったんだな」

「……いいえ」

　首を振って、スイコは微笑んだ。

「あなたの手を取るのが運命だったから、私はそれに従っただけよ」

　屁理屈だと、そう言っても良かったけれど、櫂は到底そんな気分にはなれなかった。

「…………自殺行為は、俺だけか」

　櫂が手を引いて、スイコを引き寄せる。

　あらん限りの力を振り絞って、櫂がスイコを抱きしめた。

　スイコだけに聞かせるように、囁く。

「……お前の翼は、散らせるには忍びなかったんだがな」

「翼の無い私は嫌い？」

「……いや」

　そう答えて、櫂はスイコの額に口づけた。

「……お前の運命はなんて言ってる？」

「あなたの意志に聞いてちょうだい」

「……全くだ」

　そう答えて、櫂はスイコの唇を奪った。

　燃え尽きる、その瞬間まで。

　この腕の中から、逃がさない。

　*　*　*

　目的地への道のりがやけに長く感じられる、否、長くあってほしいと思う。
　いつも通りの歩調を出すのに、いつもとはケタ違いの精神力を消費している。

　行き交う生徒たちに不審がられないように、つとめて体の動きが止まらないようにと神経を張っていたら、ドアの開け方が若干乱暴になった気がするが、まぁ許容範囲だろう。

「こんにちは」

「………」

　後江高校カードファイト部の部室。そこには、櫂が無駄に精神力を使うことになった原因の少女だけが、謀ったかのように他の部員達を――櫂を待っていた。

　挨拶には答えずに、櫂は隣の席についてデッキケースを取り出す。普段もろくな返事はしていないのだ、構いはしまい。だが隣に座るのは不自然だ。知ったことか。

「なんだか、いつも以上にしかめっ面ね？ご機嫌斜めかしら」

　くすくすと笑いながら言われても、櫂には答えられない。

　さらなる無反応に、きょとんとした目で見つめられたけれど、それも無視して櫂は黙々とカードをチェックする。

（…………どうすれば、いいんだ）

　夢の中の自分は答えを知っていたはずなのに、現実の櫂にはそれがまだ受け入れられない。

　しかしそれも時間の問題なのかもしれない。

「……トシキくん？」

　様子がおかしいのが気になるのか、やけに可愛らしい声でスイコが呼びかける。

　視界の片隅、カードの向こうに、こちらを覗きこむ瞳が見える。

　櫂の理性が完全に焼き切れるまで、あと――

＋＋＋

夢オチからの学園パラレル！

このあと櫂くんが好きだって言って十秒でごめんなさいって言われて灰になったところに他の部員が入ってきて元気の無い櫂くんが不思議がられつつもなにごともなく部活して後で話を聞いた三和くんが笑いながら赤飯炊いて慰めてくれると思う。

スイコさんが断った理由？驚いたからじゃないかな？

たわむれに影響受けてそうな作品思いつくだけ列挙。セリフはうろ覚え。

ラノベ「スレイヤーズ」　力ある言葉と書いてカオス・ワーズと読む

ラノベ「魔術士オーフェン」　しかし術のシステムイメージはこれの音声魔術

アニメ「スクライド」　ほぼ生身で成層圏で喧嘩

ゲーム「遙かなる時空の中で３　十六夜記」（知盛イベント）　死ぬなんて許さない、生きてよ！

児童文学「風神秘抄」　もう力の無いただの女の子なのよ

漫画「キスよりも早く」　３コマで振るなよ…

シミュラークル、か…（※『動物化するポストモダン』を読んだようです）