リスペクト公式、と言いつつBL・GL妄想上等の色々無節操なのでカオス注意。
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GW実家に帰ってて黒バスを読み返したんですが、その勢いで書いた紫氷。一回この二人の話を書いてみたかったんですがびっくりするぐらい口調分かりませんでした\(^o^)/
しかし書いておいてなんですが、体育会系はやっぱり専門外だなと思いましt(ry
どうでもいいんですが「黒バス」って略称は何も知らない人が聞くとブラックバスのことだと思うそうです。なるほどすぎて爆笑しました。ところでブラックバスがレジャー釣り用の魚だという知識は普通の人はどこで仕入れるのでしょうか。私はグランダー武蔵でした。(多分)


 氷室辰也、陽泉高校二年、バスケットボール部所属、帰国子女。
(性格は――真面目。普段は温厚、キレると怖い。頑固で結構執念深くて)
「アツシ、練習始めるぞ」
 ベンチに仰向けになったまま、まだ半分寝ぼけたような頭で、紫原は氷室の顔を眺めた。
(泣くほどバスケが好き……)
 どうかしたかと、綺麗な目がきょとんと問いかけてきていた。


 君がため


「紫原は最近熱心だな。お前の喝が効いたか」
 誠凛との試合以来、紫原の纏う空気は見違えるようだった。コートで汗を流す紫原の目には、もう前のような退屈そうな濁りは見えない。それが氷室との衝突の結果なのは、誰の目にも明らかだった。
 しかしさすがに持ち上げすぎだと、氷室は羞恥に染まった頬を手で覆う。
「勘弁してください」
 監督は喝だと言ったけれど、あれはただの八つ当たりだと氷室は思う。紫原の逸脱行為にかこつけて、火神へのコンプレックスまで爆発させてしまった。氷室としては、あれは赤っ恥の記憶なのだ。
「間違ったことは言ってなかったぞ? 謙遜することはない」
「そういうの言い訳って言うんですよ……」
「まあ、紫原があそこまで氷室に懐いているとは思わなかったな」
 親密さを表す言葉に不意を打たれて、氷室の鼓動がどきりと跳ねる。最初に言われた言葉よりも、よほど説得力があった。
「……前から練習自体はちゃんとしてましたよ」
「誤魔化そうとするのはいいが、お前が奴に甘いことを露呈しているだけだな」
 何をどう言っても勝てそうにないと、氷室はため息ひとつで口をつぐんだ。視線の先では、紫原がダンクを決めるところだった。


「監督が褒めてたよ、熱心になったって」
「ふーん」
 気のない返事ひとつをもらって、氷室はいたたまれなさに襲われる。紫原を褒められて自分が嬉しかったということに、今さら気づかされてしまったからだ。
「また泣かれたくないし」
「……え?」
 お蔭で、それが紫原のワンテンポ遅れた返事だと気づくのにも時間がかかった。紫原はなんでもないような顔をしているけれど、不自然すぎる空白が、なんだかやたらとくすぐったい。
「……アツシ、殴っていいかな」
「やだよ、室ちんのマジで痛いもん」
「じゃあ忘れろ!全部!」
「なんで」
「お前に同情されるなんて冗談じゃな――」
「同情じゃないよ」
 静かな声が氷室の動揺を遮る。紫原がとっくに心を決めていることに、氷室はやっと気づいた。かすかに怒気すら孕んだ瞳が氷室を見つめている。その怒りには覚えがあった。自分ばかり真剣な気がして、それを侮辱するような仲間の逃避が許せないときの怒り。
「……同情じゃない」
 じゃあなんなんだ。そう問い返したら、負ける。それが分かるから聞けなかった。
 膠着状態のままタイムアウトして、その日はそれ以上一言も喋れなかった。


 広い体育館に、ボールをつく音とバッシュが床にこすれる音だけが反響する。プレイする紫原とそれを見守る氷室の二人以外いない空間では、いつもより余計に大きく聞こえた。
“この間のことだけど”
 ゴール下に走り込んだ紫原がシュートフォームに入る。
“何を言おうとしたんだ?”
 躊躇いのない動作は練習の賜物だった。強引なダンクのほうが得意なくせに、紫原がシュートの練習も欠かさない理由は、シンプルに「負けたくないから」だ。
“……室ちんて、結構負けず嫌いだよね”
 ボールがゴールネットをくぐる。落ちたボールが、ひときわ高い音を立てて跳び跳ねると、てんてんと床に転がっていく。ボールの軌跡を一部始終見届けて、紫原は氷室へと振り返った。
“俺にバスケ教えてよ。あんたが泣いちゃうくらい好きなスポーツ”
「……俺が教えることなんか無さそうだな」
 氷室がボールの方を見つめたままなのは、視線をそらすためなのかどうか。
「あるよ?たっくさん。あんた居なかったら、俺こんなに頑張らないし」
 ゆっくりと近づいてきた紫原に、観念したように氷室が顔を向けた。年の差とは反対に、氷室は紫原を見上げる。それ以上言葉にする気はないらしい紫原に、氷室も黙って目を閉じた。


 * * *


 さすがに泣かれるとは思わなかった。自分に関係ないことで泣かれるなんて鬱陶しくて仕方ないのに、不思議とやる気にはなった。泣くなよ、まだ負けてないだろ。あんたは負けない。俺が負けさせない。俺は負けない。

(……負けたけど)

 あのときは絶対やめてやると思ったのに、結局まだ続けている。やっぱりただの弱音だったと言われるのは不本意だが、それに反論できないのは当たっているからじゃない。

(感動したとか言えないし)

 バスケは前よりつまらなくなくなった。練習は前より面倒じゃなくなった。チームは前より鬱陶しくなくなった。

 氷室のことが、好きになっていた。


 fin.



+++

氷室はともかく氷室に惚れてる紫原はびっくりするぐらい簡単にイメージできてしまうのは何故なんだぜ。氷室の性格は「温厚(笑)」とかちょっと思ってますが、まぁ紫原の感覚なら温厚って表現でもいいのかなぁということで温厚と書きました。温厚(笑)
追記:修正しました(笑)

↓からは「君がため」より先に書いたプロトタイプ。ちなみにセリフはうろ覚えです(この期に及んで!)
追記:確認して修正しました。

+++



 負けず嫌い


 初めて会ったときから厄介なタイプだと思ってたんだよねー。秀才肌っていうの?才能の無さを努力でカバーしてるタイプ。自分は普通のことしてるだけですって顔で綺麗に笑って、どろっどろのコンプレックス隠してる。
 黒ちんと似てるとも思ったけど、黒ちんのほうがもーちょっと爽やかだったなー。正面から喧嘩売ってくるし。
 黒ちんとはいつも一触即発。室ちんとは……なんていうんだろ。


 初めて会ったときから、まずいタイプだとは思っていた。一目瞭然の恵まれた体躯と、退屈そうな目。タイガと違いすぎるその目を見る度に、抑えてきたものが暴れ出しそうな気がした。
 タイガはただただ純粋で無邪気で、そんなタイガに嫉妬すればするほど自分が汚れていく気がした。けどアツシは違った。人並みにスレた目をして、ふて腐れて俯いていた。まるでいじけた自分のように。
 アツシには関係ないタイガへの嫉妬まで、一緒くたにしてぶつけてしまいそうな予感があった。


 チームでナメた態度取ってる俺を窘めるふりして、周りの反感を宥めてくれるのは室ちんだった。室ちんは俺を本気で責めたりしない。格が違うと思ってるから。
 そーだよ格が違うんだよ、あんたいつまでそんな無駄な努力する気?……そう言ったらどうなるのか、正直できれば知りたくなかったなー。あの時の室ちん、超こわかったし。


“変わってるなホント敦は”
“はあ?”
“いつも文句ばかり言いながら、練習は人一倍熱心だ”
“……嫌いだよ練習なんて。ただ負けるのはもっと嫌いなの”


 自分の後輩に甘んじるアツシにすがっていた。

 練習さえしてれば文句言わない室ちんに甘えてた。



 あんな危ういバランスは、壊れて当然だったのだ。



「室ちんてほんと根暗だよねー」
 ポテトチップスをぱりぱりと頬張る紫原の隣で、氷室のこめかみがひきつる。
「なんのことかな?」
「そーいうとこだよ?根暗って言われるの嫌なら否定すればいいじゃん」
 自分でも自覚があるのに否定するのは惨めすぎる。人の気も知らないでと、氷室の中で怒りのボルテージがふつふつと上がっていく。
 それを知ってか知らずか、紫原は続けた。
「才能無いとか思ってるみたいだけど、結局いじけてるだけじゃん」
「……っ、お前がそれを言うのか!?」
 言うにことかいてと氷室が激昂する。才能が違うとつきつけたのは、他でもない紫原のはずだった。掴みかかられた紫原は、ふて腐れた表情で氷室から目をそらした。
「……あんなこと言いたくなかったし。室ちんのそんな顔見たくない」
 捨てられた犬のような風情に動揺する程度に、氷室はお人好しだった。
 戸惑っている氷室に、甘えた動作で紫原が抱きついてくる。
「そんな卑屈な目しないでよ。いじめたくなるから。無駄な努力だと思ってるのは室ちんのほうじゃん。だったらやめればいいのに、やめないのも室ちんでさ」
「……人のせいにばかりするなよ」
「やだ」
 完全に駄々っ子モードだ。けれど怒る気になれないこの感じには覚えがあった。練習だけは欠かさない紫原。
「……アツシは、今でもバスケ楽しくないか?」
「……今それ聞くの、ズルくない?」
「楽しいのか?」
 氷室が畳み掛けると紫原はため息をついて氷室から離れた。居たたまれないように、一歩、二歩。そっぽを向いたまま、紫原が答える。
「……室ちんが一緒のバスケは、ちょっと楽しい……」
「………」
 返ってきた言葉は思ったよりも数十倍恥ずかしくて、人の目を見て話せとか、そういうことはとても言えそうになかった。こういうところ可愛いよなあと思うから、甘えた子どもを甘やかすのがやめられないのだ。
(……確かに、卑屈になってる場合じゃないな)
 心の声が聞こえたかのように、紫原がこちらを振り向いた。
「練習、始めるぞ」
「えー、どうしよっかなー」
 これは面倒がっているのではなく照れ隠しだ。そうと分かるから、氷室は軽くいなす。
「四の五の言わない」
 同じように恥ずかしいセリフは、心の中にしまったままで。
(俺もアツシが一緒なら、もっとやれる気がするよ)
 個人で負けてもチームでなら負けない、それだけじゃなくて、胸を張って歩ける気がする。それは紫原を腐らせる“くだらないバスケ”を、氷室こそが否定しているからだ。バスケが誰よりも好きな氷室がいれば、紫原は迷わずバスケに向かっていける。


 一人では、お互い歪なプレイヤー。だけどバスケは一人でするものじゃないから、きっとそれこそ仮の姿だ。本当の二人は――


 fin.


+++

本当にくだらないと思うことを続けられるほど人は強くないと思うというか、紫原が身体的なアドバンテージの差を見せつけるような真似をするのはある種の自虐だと思うし、それには同調しても反発しても紫原が傷ついて腐っていくよーな救いようのない何かだったんだけど、氷室の涙っていうのは紫原の中にあった「バスケはくだらない」っていう思いを打ち砕いたわけで、それは紫原にとって救いだったと思うのです。
氷室は目に見えない才能っていうフィールドで負けてて、というか負けてると思ってて、それはやっぱり自虐的で救いようがないし、そういう意味で紫原と氷室は似たようなところにいたと思うわけで。
その救いようがないところで一人戦い続けていた氷室が、同じく救いようがないところにいる紫原の一種のSOSに気付かないわけはなかったんだと思います。SOSには気づいてる。だけど救いようがないことを、救われようがないことを氷室も分かってる。だから紫原を許容する。でも、紫原はふてくされてて、氷室は足掻いてる。で、とうとうキレるわけです。お前もちったぁ頑張れよと。
そこで紫原に「ふざけんな!」って言うのは、ここまでの氷室と紫原が単なるチームメイト以上のものじゃなくて、しかも氷室も純粋に陽泉として戦ってない(誠凛VS陽泉じゃなくて火神VS自分だと思ってる)以上ある意味身勝手なんだけど、その身勝手さ、身勝手にならざるを得ない惨めさ、を自覚するからこその涙っていうのが、それが紫原の心にまっすぐ届いたってーのが、やっぱりたまらない。
氷室が紫原のSOSに気付いてたように、紫原も氷室の鬱屈に気付いてた。それでキレられたからキレ返すんだけど、悔しいんだって泣かれたから、勝ちたいって泣かれたから、俺も勝ちたいって立ち上がる。氷室のためじゃなくて、勝ちたいから。それだけでいいって言われたから。
氷室の涙に紫原が関係なかったように、紫原のやる気に氷室はまったく関係ないんだけど、やっぱり紫原の原動力は「俺もそう思う」だったんだと思う。そして紫原が動いてくれたから、救われないと思ってた紫原が救われたから、氷室は救いを見つける。個人ではもう負けでいい、だけどチームじゃ負けない。「チームで勝てばいい」って発想は、やっぱり紫原が動いてくれたからこそだと思うんですよね。自分がずーっとずーっと目をかけて甘やかして保護してた紫原が(笑)
紫原はなんだかんだ氷室にべったりなんだけど、その氷室べったりの紫原がいないとダメな氷室っていうのもなかなかどうしてダメだと思います(褒め言葉)いや、実際にそんなべたべたしてるかっていうとそうでもないんだろうけど。
それでも、氷室がいなかったら紫原はバスケが好きだって思えなかったし、紫原がいなかったら氷室は自分と火神の資質の差を吹っ切れなかっただろうなっていうのがたまらないですはい。
赤司くんは紫原のメンタルの弱さを重々承知して甘やかしまくってたんだろうなというのが想像つきすぎて困ります。懐くはずだぜ。無敵のキセキチームは紫原にとってどうしようもなく揺りかご。でもバスケくだらねーってなったのも無敵のキセキチームのせいな気もするけど、そこんとこ黒子が刺激になってちょっとは腐敗を遅らせていたのではないだろーか。赤ちんが別々の高校行けって言ったのは…なんでなんでしょうね。
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