退廃の戯れ（Я櫂×櫂）

※もしかしたらR-15※
128話見てやるしかないと思ったけど挫折したЯ櫂櫂。そもそもあいつら融合できないからあーなったわけなんだけどそこはそれЯ櫂も櫂の残骸ならそこをなんとか！色即是空空即是色的にはイメージは虚無だし虚無はイメージなわけで…（お前はいったい何を言っているんだ）
超短い雰囲気SS。立凪邸～FFビルの間。タイトルは遙か2アクラムのキャラソンです。Я櫂のお蔭で櫂くんに絶望とか残骸とか退廃とか使っても変じゃなくなったのが最高にゾクゾクする（※あぶない人です）

カチャリと音を立てて、ドアの鍵が開く。暗がりにも殺風景な部屋に、彼は明かりも点けずに入っていく。どん、どん、聞こえないはずの音が彼には聞こえていた。ベランダの向こうに広がる星空を背景に背負って、この部屋の主が――櫂が、ガラスを叩いている。
「……まだいたのか」
　ぱくぱくと何かを訴えている声は、音にはなっていなかった。不意に、その背後から夜が広がる。世界の全てを覆うように。どこでもない暗闇の中で、同じ顔をした二人が向き合う。
「俺の体を返せ！」
「これは俺の体だ」
「ふざけるな！お前はただ、俺を――」
　言いかけた櫂にのしかかるようにして、櫂をつき倒す。見上げる櫂の位置からは、彼の表情は読めない。もっとも、最初からそんなものはないのかもしれなかった。
「――殺しただけが不満なら、食いつくしてやろうか？」
「何……っ！」
　素肌に舌を這わされても、櫂に抵抗の手段など無い。虚空は彼の独壇場だった。
「やめろ……お前は、お前の力は……っ」
「……俺は勝つ。誰にも負けない」
「俺は、俺が欲しかった強さは……」
「どこにもない。お前自身の……お前だけの強さなど」
　――だからお前の強さは、虚無だ。
　溶けるように世界が壊れていく。赤黒い呪縛の光が、抗うようにたゆたっているけれど。
「……呪縛（ロック）したのは俺じゃない。……俺じゃないんだ」
　それもまた耐えきることはできずに、闇へと溶け消える。彼が手を触れたガラス越しに映る景色は、虚ろな夜に染まっていた。


　fin.