リスペクト公式、と言いつつBL・GL妄想上等の色々無節操なのでカオス注意。
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リバースしてからも学校に一応顔出したらしい櫂くんとキャプション詐欺(笑)だったレンVSЯスイコさんを観戦している櫂くんとタクトの話を強引な感じに合体させたらなんか大暴走してくれました。どうしてこうなった。130話見る前はあわよくば櫂スイと思ってたんですが無理ぽかったので潔く諦めました。
櫂くんと三和くんは(この話では)2年次同クラス設定です。ついでに二人とも文系設定…?
地味にオリキャラ注意です。後江高校の先生と櫂くんの叔父さん(たぶんこの設定)がちらっと出てきます。うちの叔父さんは叔父さんというより従兄のにーちゃんです\(^o^)/

彼方のHigh School Days

 薄曇りの空は不安を掻き立てる。このところパッとしない天気が続いていて、さしもの三和もややげんなりとしていた。ここ数日学校でもそれ以外でも幼馴染の姿を見かけなくて、そういうことは初めてではないにせよ、どうしているのかと気がかりだった。
 気がかりだったのだ。
「……なんだあれ」
「?」
 朝の授業が始まる前の教室、クラスメイトの呟きにつられて三和が視線を入り口に向けると、教室中から怪訝な目を向けられながら櫂が入ってくるところだった。
「!?」
 怪訝な目の理由は一目で分かった。首元の大きく開いたドレープカットソー、シンプルなジャケット――櫂は私服だったのだ。そのことを気にもしない風で櫂が席につくのと、反射的に立ち上がった三和が櫂の席にたどりつくのは同時だった。
「お前、制服どうしたんだよ!?」
「着たくなかった」
 あまりに迷いなくばっさりと言われて、三和が絶句する。
「……だ、だからって私服はねーだろ?」
「来ないよりマシだろ」
「確かにそうかもしんねえけどさ……」
 気がかりは一気に吹っ飛び、今度は代わりに頭痛がする。もともと一年の時の櫂はノータイ派だったし、自分だって進級したのをいいことにパーカーを着こんだりして、似たような連中といっしょくたに「これだから二年はたるんどる」なんて言われてはいる。しかしさすがに私服で来る度胸は無いしつもりもない。第一、櫂のほうはこの春からネクタイまでしていたくらいなのに。
 お説教できる立場でもないし、そんなことがしたいわけでもない。教師に見つかるか告げ口されるのは時間の問題でも、できるだけ目立たないようにと、三和は声をひそめる。幸いというべきか、三和が反応したことで、クラスメイトは櫂の奇行については我関せずを決め込んでいるようだった。
「……何があったんだよ」
「別に」
「そんなわけねーだろ」
「答える必要はない」
「またそういう……」
 何もないわけがなくても、櫂が答えないのはいつものことだ。いつものことだけれど――やっぱりまだ駄目なのかと、歯がゆさが三和を襲う。部活にも普通に顔を出すようになって、少しは変わったのかと思ったのに。
 押し問答をしている間にも、一時限目の始業時刻は刻一刻と迫ってくる。
「櫂、とりあえずそれ脱げ」
 言いながら三和はブレザーの上着を脱いで、それを櫂に押し付ける。
「いらん、こんなもの」
「カムフラージュぐらいしろって!上着だけでも――」
「三和、櫂、何をしてる」
「げっ」
 三和の必死の努力もむなしく、思いっきり私服の櫂――とついでにパーカー姿の三和――が教師の目に留まる。年配の男性教師は、一瞬驚いたようだったけれど、あくまで日常会話のトーンで言った。
「櫂、制服はどうした」
「着てきませんでした」
「おま、せめて忘れたとか間違えたとか」
「忘れたわけでも間違えたわけでもない」
 言い訳くらいあるだろうと口を挟んだ三和を、櫂は切り捨てる。どうしてこう無防備なのかと、三和は気が気ではない。自分だけなら、適当に切り抜ける自信はあるのに。
「……保健室に予備の制服があるから、職員室で先生に言って、それに着替えてきなさい」
「わかりました」
 ガタッと立ち上がって、櫂が教室を出ていく。
「――っ、待てって!」
 反射的に櫂を追いかけようとした三和を、教師の声が制した。
「三和、席に着きなさい」
「けど! アイツ多分このまま家に帰っちまう……っ」
「……そうだったとしても、追いかけるのはお前の仕事じゃないんだ。いいから席に着きなさい」
 淡々と諭す声の向こうで、始業のチャイムが鳴る。ここからはもう授業の時間だった。
「……はい……」
 三和が席に着いている間に、備え付けのインターフォンで、教師は職員室の教員と連絡を取っていた。

 * * *

 いつもの公園に人気(ひとけ)はなく、今が普通の人間は会社だの学校だのに行って出歩かない時間なのだと櫂は実感する。ヴヴ、と、振動した携帯電話をポケットから取り出すと、ディスプレイの表示を確認して通話ボタンを押した。
「もしもし」
『トシキか。学校私服で行って早退したって?』
「普通にサボったって言えばいいだろ。……ああ。それで?」
『電話じゃ詳しいこと聞けないから、昼メシでも一緒に――』
「いい。あんただって仕事あるんだろ」
『普段ほったらかしなんだから、たまには保護者させろって。家で待ってろ、十二時半くらいに迎えに行くから』
「……分かった」
 短く答えて、櫂は電話を切る。口では詳しい話を聞くという名目だったけれど、あの叔父は根ほり葉ほり聞いてくるタイプでもない。だからこそ、中学の三年間を同居していられたのだろう。
(……ネクタイしようとしたら自分の首絞めたくなったから、とりあえず全部脱いだ)
 連絡手段である携帯を見つめたまま、櫂はひとりごちる。
「……言えねーだろ、そんなこと……」
 何が良くて何が悪いかくらい知っている。
 知っているのだ。

 * * *

「おかえりなさい。お疲れ様でした」
 そう言って櫂を迎えた少年に、櫂はひとこと「ああ」と答えた。別にここ立凪家は自分の家ではない――ついでに言えば、今は立凪タクト本人ではない代理人(エージェント)にとっても厳密には違う――はずなのに、不思議と違和感は感じなかった。
「新城テツ、なかなかのファイターですね。福原高校はほとんど支配下です」
 言われて、代理人が見ているスクリーンのようなものを見上げる。たった今、櫂がリバースさせてきたテツが倒したのか、福原のVF部員たちが大量にЯファイターと化していた。しかし彼らをリバースさせたのは、どうやらテツだけではないらしい。櫂が行ったときには外出していた雀ヶ森レンが、並み居るЯファイター達を蹴散らしている。矢作キョウのアシストを受けて、彼は颯爽と立凪スイコの前に立った。
『気味の悪い、随分と穏やかではないデッキのようですね』
『察しがよくて嬉しいわ。このクランの名は――リンクジョーカー!』
『リンクジョーカー……』
「……リンクジョーカー?」
 画面の中のレンにワンテンポ遅れて呟いた櫂に、代理人はくすくすと笑う。
「お気に召しませんか? あなたとは違いますが、スイコも特別です。彼女は僕のしもべですから」
『前の主はあなたを監視し、今の主はあなたの力を欲している』
 なるほどスイコもそう申告している。彼女にとって、器がタクトであればその中身が誰であろうと関係ないのだろうか。
(……愚問だな)
 かげろうとなるかみを捨て、リンクジョーカーを選んだ自分に言えた筋ではなかった。けれどどうしてか、櫂は微かな胸騒ぎを抑えきれない。
 二人が見守る中で、ファイトは終結を迎える。リンクジョーカーを使ったスイコも、レンのシャドウパラディンの前には敵わなかった。
「雀ヶ森レン、想像以上に強かったですねぇ……」
 さして動揺した風もなく、代理人はひとりごちる。
「レンの強さを見誤ったな」
「おや? 思ったより動揺しないんですね。雀ヶ森レンに、リンクジョーカーが敗れたんですよ?」
 いっそスッキリしたとは櫂は言わなかった。結局櫂もキョウと意見は一致しているのだ。自分以外に倒されてもらっては困る。代わりに櫂は、嫌味には嫌味で応酬する。
「それはこっちのセリフだ。お前の計画とやらがうまくいかなくなるんじゃないのか」
「まだまだ、本番はこれからですよ。……そうでしょう?」
 からかうように問いかける代理人に、櫂は答えない。自分が彼にとってどう役に立つとしても、それはどうでもいいことだったし――何より、彼と話していると、本気ではない彼に辟易して、会話に意味を感じなくなるのだ。
 目を覚ましたスイコは、リバースしていたときの記憶を覚えていなかった。そんなスイコを、レンはそれまでもこれからも変わらない仲間として受け入れる。
「スイコは彼らにつきましたか」
 その光景に、何故か櫂の脳裏によぎったのは、この立凪家で――自分の家でまで制服を着ていたスイコの笑顔だった。 
“この格好、気に入ってるの”
 翻って我が身を見れば、彼女とは全く対照的で――だからこそ、ある意味ではよく似ていた。片や自宅で制服を着ていたスイコ。片や学校に私服で乗り込んだ自分。彼女と自分が同じリンクジョーカーを手にしたのも、偶然ではないのかもしれない。
(……バカバカしい)
 そう思おうとするのに、イメージが止まらない。
“カムフラージュぐらいしろって!上着だけでも――”
「……何の意味があるんだ、そんなこと」
 今朝三和といたときには思いもしなかった言葉が口をついて、櫂は不覚にも動揺する。あのときはただ、漠然と自分の意志を通しただけだったけれど。
(……隠しても、何も変わらないだろう。本当のことは、何も)
 そう思いながらも、櫂は何かを押し隠すように口元に手をやっていた。
 何か、触れてはいけないものに触れている気がする。
 それは今の櫂にとって、リンクジョーカーよりもよほど不気味なものに思えた。

 fin.
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