リスペクト公式、と言いつつBL・GL妄想上等の色々無節操なのでカオス注意。
「Break the wall」の続編。
152話Я三和VSミサキ観戦からの153・154話Я櫂VSアイチ観戦。ラストは見た目若干後味悪いかもしれないんですが、Я櫂VS櫂来いよ!!!という気持ちで書きました\(^o^)/
Я櫂VS櫂来いよ!!!
152話Я三和VSミサキ観戦からの153・154話Я櫂VSアイチ観戦。ラストは見た目若干後味悪いかもしれないんですが、Я櫂VS櫂来いよ!!!という気持ちで書きました\(^o^)/
Я櫂VS櫂来いよ!!!
「ほんとに全部壁なんだな」
壁沿いに手をついて一周した三和がそんなことを言った。自分でそれを確かめてからどれくらい経ったのか、櫂にはよく分からない。
ここで眺めたファイトが何回だったか、二桁に乗ったあたりで櫂は数えるのをやめた。飛行機で世界中を飛び回っていたもう一人の自分は、時差をいいことに一 日二十四時間を無視したタイムスケジュールでファイトしていたようで、あれから何日経過したのか、櫂には見当もつかない。そう長くもないのだろうが、短い ということもないだろう。不眠不休で自分の体は大丈夫なのか、櫂は無意識に考えないことにしている。
前触れなく、光と音が広がる。
「あ」
壁の向こうに映し出されたのは、広場を挟んで遠巻きにこちらを見るアイチ達、宮地学園カードファイト部のメンバーだ。
「どこだ、ここ?」
「立凪の本社ビルだ。アイチ達が乗り込んできたらしいな」
「リバースファイターの本拠地、ってわけね」
普段通りの口調とは裏腹に、決して気を抜いてはいない目で、二人は映しだされた光景を見つめる。
『リバースしてたなんて信じられなかったけど……本当だったんだね。櫂くん』
確かめるように問いかけたアイチに、櫂は答えない。
それに代わるかのように、アイチの決意を測るためにとファイトを申し込んだ三和だったが、それはミサキに阻まれてしまう。
『勝負よ、三和』
『悪いが戸倉、お前には興味がない』
『またあたしに負けるのが怖いの?』
VF甲子園地区大会のファイトを引き合いに出して挑発したミサキに、三和が頭をかいた。
『言ってくれるぜ。……いいだろう戸倉。ファイトだ』
神妙な面持ちでことのなりゆきを見守っていた三和が、冷や汗を浮かべながら口を開いた。
「どうもお前が屋根の上にいることには突っ込まないでおこうと思うんだが」
「突っ込んでるだろ」
「……ねーちゃんのこと戸倉って呼ぶのって、俺じゃなくてお前だよな?」
横目で櫂を伺うと、櫂もまた冷や汗を浮かべたまま、映像から目を離せずにいる。
三和の疑問に答えるだけの仮説が櫂にはあった。エージェントに言わせれば、呪縛によってリンクジョーカーとつながった者には、共通する魂のイメージがある。しかも櫂はリバースファイター達の「始祖」だ。そこから導き出される推理は――
「……混ざっているようだな」
俺がお前に。言わずと知れるその言葉を、櫂は口にできない。
無言の二人は、皮肉にも同じことを考えていた。
((こええ))
* * *
三和とミサキのファイトはほぼ互角で進行していた。
けれど、ブレイクライドとドーントレスЯのスキル、勝負をかけた三和の猛攻を、ミサキは防ぎきる。
「ファイナルターンか」
「まだ終わってないだろ!?」
いたって冷静に分析した櫂に、この薄情者と三和が突っ込む。観戦している向こうの櫂も同じことを思っているだろうと思うと、非常にいたたまれなかった。
『仲間を思う気持ちは変わっていない、そう言ったよね』
『ああ』
『違う』
『っ!』
『今のあんたは、リバース化のせいで仲間に囚われている』
「よく分かってるな、あいつ」
「さっきから冷たくねえ?」
三和の敗北がほぼ確定してからというもの、櫂のコメントはやけにのんきだ。
「囚われてるだろ? ここに」
ぱちくりと、三和が目をしばたたかせた。自分から首を突っ込んだつもりの三和には、一瞬なんのことだか分からなかった。
けれど言われてみれば確かに、櫂を一人にしたくない一心で出口のないこの空間にいるのだから、ミサキの言い回しは的を射ている。
「お前がここを出られるなら、それに越したことはない」
さっきから櫂が落ち着いているのは、正真正銘安堵したからなのだと気づいて、三和は焦る。
「けど、それじゃお前また一人になっちまうじゃねえか」
「そうでもない」
櫂は動じなかった。横顔のまま、櫂は静かな声で三和に問いかける。
「どうせ一人でここを出ても、俺が出られるまでお前は安心なんてしないんだろ」
「……櫂」
自暴自棄になっているわけではない、ただ状況がそう変わらないと理解しているだけだ。三和がここに来る前と後とで、櫂が確かに変わっていることに、三和はようやく気づいた。
「だったら似たようなものだ。お前の心はここにある。俺がここを出るまで」
見えない何かを掴むように、櫂は右手を拳の形に握った。
「それにお前がここを出られるなら、俺にとっても希望のはずだろう?」
そう言って、櫂は三和に笑いかける。
三和がここから出られるなら、それはここからの脱出が不可能じゃない証拠だから。そう告げるように自分に笑いかけた櫂に、三和は表情を引き締める。
「待ってるから、絶対出て来いよ?」
「ああ」
頷いた櫂に偽りがないのを確かめて、三和はすっと拳を持ち上げた。その意図を汲んで、櫂が己の拳を合わせる。終わりか始まりか、成就か誓いか、あるいは、 別の何かか。こつんとぶつけると、それを合図に三和の姿が光となってきらきらと消えていく。その輝きに、櫂は目を細めた。
再び訪れた虚空を確かめて拳を解(ほど)くと、開いた手のひらを見つめてひとりごちる。
(……ありがとう、か)
それを言うにはまだ早いなと、櫂は三和のそれと入れ替わるように開いていく光景を睨みつける。もうひとりの自分と、アイチとのファイトが始まるのだろう。
『スタンドアップ』
『ザ』
『ヴァンガード!』
その結果がどちらに転ぶのか、櫂には正直予想がつかなかった。アイチは強い。それでも、勝つことだけに狙いを定めたもうひとりの自分が――アイチから最も異質なものとなり果てた自分が、アイチに負けるとも櫂には思えない。
『このターンで決める。櫂くんをその闇から解き放つ!』
『不可能だ』
あらゆる言葉をにべもなく打ち捨てられて、アイチがたじろぐ。
『お前の攻撃は通らない。どうやら俺は、お前を超えたようだ……』
(あいつは、アイチに勝つために全てを捨てた。アイチとの絆も。いや――)
『――ファイナルターン』
『……っ!』
『そしてこれがお前との、ファイナルファイト』
――アイチとの絆をこそ、断ち切りたいのか?
どくんと、櫂の心臓が痛いほどに強く鼓動を打つ。
『アイチ、お前は俺に永遠に呪縛(ロック)される』
櫂に緊張が走る。急速に世界が回り始める。あの日聞いた悪魔の囁き。勝利への確信。アイチへと放ったリンクジョーカーの力。自分を貫いた剣(つるぎ)のイメージ――それは紛れも無く、櫂自身が囚われた絶望のイメージ。
櫂が目を見開く。
(駄目だアイチ、倒れるな。倒れるんじゃない!俺のイメージに呑み込まれるな!!)
――そこに立って勝つべきなのは、お前じゃなくて俺なんだ――!
『もはや、このデッキも必要ない。リンクジョーカーの力は俺のものになった』
――そう言って嗤う櫂の声を、聞く者はない。
始まったリバース化に、アイチが苦悶の声を上げる。
それを見る櫂の眼差しは、氷のように冷たく凍てつくばかりだ。
『俺が囚われていたのはお前だ。だがそれも終わる。お前のリバースと共に』
その言葉を最後に、すべては溶け消える。
光も、闇も、静寂さえない虚無の中。
そこにはもう、誰もいない。
+++
たぶん完結?
Я櫂くんのインフィニットゼロのライド口上「異世界より来たりし戦の獣~」聞いて「エージェントの受け売りじゃなくて新しいの聞きたいなー」と思って最初 スルーしてたんですが、よく考えなくてもあれってЯ櫂VSアイチが「エージェントが見せた幻」の具現化というか完成形だってことだよなって気づいて(そう いうことだよね?)戦慄しました。櫂くんをリバースさせた幻をЯ櫂くんが完成させたわけですが、その先に進むЯ櫂くん…やっぱり本体櫂くんが倒すしかなく ない!?というわけで最後はそんなイメージです。
倒すべき絶望の姿が確定したんだから、あとは倒すだけじゃん!みたいな。
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