Sealed Prayer（三和タイシ）

三和くんリバースのときの独白。若干やっつけなので修正しそう。
レン様のSealed Messageの三和くん版かもしれない。
お前これでもまだ櫂アイじゃないとか言う気かというくらい櫂アイですが私悪くない。絶対悪くないもん！

　櫂を止めたかった。世界を滅ぼす片棒をかつぐなんて、アイツが本気でやりたいわけないと知ってたから。
　だけど――そうだな、それでもそれを選ぶなら、その意志が今更ここでくじけるはずもないよな。
「ったく、リバースしても、強情なままだな……。たった一人で、険しい道を、歩いてゆこうと、しやがって……！」
　リバースしていく俺から、櫂は目をそらさない。俺にはそれが、櫂がこれを自分の罪として背負おうとしているようにしか見えなかった。
（そんな目で見るなよ。俺は、こうなるかもしれないって分かっててここへ来たんだ）
「けど……それを黙ってほっといたんじゃあ……俺も、ダチとは言えないからな……っ」
　俺を蝕んでいく黒輪の力。この力を選んだと言った櫂だって、同じ苦しみを味わったはずなのだ。
（俺も、俺も行くから、だから――）

　――ひとりにならないで――

　
　Sealed Prayer


　櫂、お前が友達と話したくてヴァンガードファイトしてることを俺は知ってる。癒えきらない傷を抱えたお前には、きっと言葉は重すぎて、言えない思いをカードに託してること。
　お前らのファイトレベル高すぎて、お前があいつらに追いつけないっていうの、俺にはよく分かんねぇけど。
　お前がそう言うんなら、きっとそれは間違いじゃないんだろう。
　それはお前にとって、あいつらに思いを伝えられなくなるってことなんだよな。

　だから分かるよ。お前にはこの力でよかったんだ。今のお前は――絶望してるんだから。


（俺じゃお前に届かない）

（俺じゃお前を救えない）

（俺じゃ駄目なんだ）


　行けよ。俺が勝手にお膳立てはしとくから。
　お前の気持ち、全部ぶつけてきたらいい。
　心をかき乱された怒りも、真っ白な希望を託した愛も、絶望の封印を解かれた憎しみも、遠く羽ばたく憧れも。
　全部ぐちゃぐちゃになって破裂するくらい、あいつのこと好きだってさ。


　*　*　*



　世界が終わった。
　どうしようもなく、閉ざされていたお前の世界が。
　それが良いことなのか悪いことなのか、俺にはまだ分からない。

　お前の気持ちはあいつに届くかな。
　あいつはなんて言うんだろう。
　見てるしかできないってのも歯がゆいもんだぜ。

　……ああ、そうじゃないか。だってお前、俺のことリバースさせたもんな？
　強くなりたいだけなら、俺なんか適当にかわしてほっとけばよかったのに。

　そういうのも全部全部、ほんとの姿に戻ればいい。
　これはお前が蘇るための最後の試練。

　閉ざされた世界を脱出したお前が、どうか新しい世界と結ばれますように。


　fin.