リスペクト公式、と言いつつBL・GL妄想上等の色々無節操なのでカオス注意。
冒頭鬱展開注意、捏造満載。風島一日目の夜。
星の美しい夜に彷徨い出る敗者の霊みたいな櫂くんを宥めるシンさんと、その後何故か現れるセラさんVSシンさ んの論戦。シンさんもさることながらセラさんが櫂くんのことやたら知ってますが、実際のカトルナイツは「櫂トシキ?誰それおいしい?」っぷり半端ない\ (^o^)/エージェントとは何だったのか(←この疑問本当に深淵っぽいから困る)
メインは(今までのこと全部知ってるという捏造設定の)セラVSシンです。鬱い櫂くんは添えるだけ。CP表記は気持ちだけ。
星の美しい夜に彷徨い出る敗者の霊みたいな櫂くんを宥めるシンさんと、その後何故か現れるセラさんVSシンさ んの論戦。シンさんもさることながらセラさんが櫂くんのことやたら知ってますが、実際のカトルナイツは「櫂トシキ?誰それおいしい?」っぷり半端ない\ (^o^)/エージェントとは何だったのか(←この疑問本当に深淵っぽいから困る)
メインは(今までのこと全部知ってるという捏造設定の)セラVSシンです。鬱い櫂くんは添えるだけ。CP表記は気持ちだけ。
いつか全てに忘れられていた島に、夜風が舞い込む。そびえ立つ古城の中、キッチン兼ダイニングになっている一室で、ランプの明かりのもとカードのストックを確認していたのは、新田シンだった。
不意に戸口に差した影に、シンが顔を上げる。ふわりと、優しく微笑みかけた。
「どうしたんですか、こんな時間に」
俯いたまま佇む少年――櫂トシキは、沈んだ表情のまま無言でそれを受け止める。
夢から抜け出たような現実感の無さだと、そう思った矢先に、櫂から同じ言葉が漏れた。
「……夢を見た」
ぽつりと。重く落ちる声は、それが悪夢だということを物語る。
「アイチが、俺に謝り続ける夢だ。ごめん、ごめんと」
思い浮かんだのは、中学生の頃の気弱げなアイチだった。ごめん、ごめんね櫂くん。実際に櫂が見た夢がどんな光景だったのかは、シンには分からない。
「……それを聞いてると俺は、自分で自分を絞め殺したくなる」
ひどく静かに、櫂はそう告げた。シンは立ち上がると、櫂をそっと抱き寄せる。己の弱さを拒絶するはずの櫂が、今だけはそれを拒まなかった。
「……ただの夢ですよ。明日になれば、全部忘れられます」
閉じ込められた腕の中で、櫂は自嘲気味に笑う。
「それもまた、怖い話だな……」
囁いた声は、微かに震えているように聞こえた。
宥めるように抱きしめて、彼を眠りへと送り返した。
* * *
「哀れなものですね」
不意に背後から聞こえた声に、シンは振り向かないままで答えた。
「……あなたに、それを言う資格がありますか」
「私はあると思っていますよ? 互いに哀れな者同士、大いにね」
いきなり罠に嵌ったことにシンは気づく。彼は誰を指して「哀れ」と言っていたのだろう。
振り向いた先にいたのは、フォーマルな印象のある白いコートに身を包んだ紳士――ラウル・セラ。今、櫂達が戦っているカトルナイツの一人だった。
そして、今起きている現象の全てを、世界の真相を知っている者の一人でもある。
それを隠したままカードキャピタルを守っているシンと、同じように。
「彼の心は揺らいでいる。絶望と希望の狭間で」
「迷いは誰にだってあります。けれど彼は、もう希望を選んだんです」
「選ばされたの間違いではなく?」
「そんなに弱い子ではありませんよ」
「なるほど? その強さで壊れた過去は、認めないというわけですか」
「……っ!」
誘導尋問紛いのロジックに急所を突かれて、シンは言葉に詰まる。
アイチの存在が失われ、変わってしまった世界。改変された歴史の中には、櫂自身の精神崩壊が含まれている。
「絶望は一度彼を殺した」
ポーカーフェイスの微笑でセラは謳う。
レンのPSYクオリアが櫂に叩き込もうとした恐怖という名の絶望、アイチによって打たれた、勇気という希望の楔。その楔があればこそ、櫂は絶望から逃げる ことをやめ、立ち向かうことを選び――その果てに倒れた。雀ヶ森レン、蒼龍レオン、そして、彼らを倒した先導アイチの姿(イメージ)。蓄積された敗北感は 遅行性の毒のように、誰も知らない場所で彼を殺した。
「……それでも、希望は彼を再生したんです。新しい命へ」
「希望へ身を投げたの間違いではなく?」
完全に皮肉ってセラは言った。絶望すると人は死ぬ、それが彼の持論。
「あなたは……!」
どっちの味方なんですか、そう言おうとして言えなかった。シンはその答えを聞かずとも知っている。誰の味方でもない傍観者の立場で、状況をかき回して楽しんでいる。
それが分かるのは、シン自身もどこかで傍観者だからだ。櫂の、アイチの、未来を巡る戦いに、自ら身を投じることはできない。シンは知っている。絶望に打ち ひしがれた時、人が何に希望を見出すのか。カードキャピタルと姪のミサキ、兄夫婦が遺した思い出のよすがは、今ではシン自身の城であり、宝だった。
「……あなたは、何故アイチくんの依頼を受けたんですか」
シンはもう答えを出している。セラの言葉がどう心をかき乱そうと、それが変わることはない。
変えるわけには行かない。悪戦苦闘する少年たちを、支えていくためにも。
答える義理も必要もないはずの問いに、案外にあっさりとセラは口を割った。
「己の目的のために孤独を選ぶ意志、己の願いのために仲間を求める心。先導アイチは櫂トシキから意志を学び、櫂トシキは先導アイチから心を学んだ。その結果がリンクジョーカー……面白いでしょう? 人を殺す絶望は、希望の顔で訪れる」
本当に心底面白がっていそうなセラに、シンは得も言われぬ吐き気を覚える。
「……逆ですよ」
その思いはシンと根を同じくしている。表裏一体の彼に感じるのは、同族嫌悪。
「人は絶望の中でしか、希望を手にすることはできません。希望が真の姿を現すのは、絶望の中でだけです」
「それは絶望と言いませんか?」
「私は希望だと思っていますよ」
どこまでも平行線。
セラの目が思案するようにシンを見つめる。どう読み取られているのかは、シンには分からない。
「……いいでしょう、別にここで決着をつけようとは思っていません」
そもそも決着をつける気自体無いだろうと、その言葉を口にはできなかった。カトルナイツの彼と、ショップ店長の自分は、本来なら一戦交えるような位置関係にいない。
「なら、お早目にお引き取り願いますよ。そろそろ私も寝る時間なので」
「これは失礼。よい夢を」
皮肉ですか。浮かんだツッコミと同時にセラは姿を消した。単なる社交辞令のような気もするから、これは相当翻弄されているらしい。シンはげんなりと独りごちる。
(場外乱闘なんですよねえ。櫂くんの得意な……)
カトルナイツの面々――VFサーキットに出場するようなファイターのデータはだいたい頭に入っている――を思い浮かべながら、シンはこっそりとひとりごち る。プライドが高く背伸びしがちなオリビエ・ガイヤール、根っからのファイト好きなフィリップ・ネーヴ、対外的な肩書には興味の無いラティ・カーティ、仲 間の目的とは裏腹に自らの思惑で動くラウル・セラ。アイチを守るファイター達は、誰もかれも櫂に似ている。
似ていないはずがない。誰よりもヴァンガードを愛する櫂に、似ていないファイターなどいるはずがない。
(……つまるところそれが、私たちの絶望で希望ですかね)
櫂が選んだ希望。アイチは、全てのファイターにとっての希望でもあった。だからこそアイチは姿を消し、櫂は探さなくてはいけなくなった。アイチに見た希望が何だったのか、櫂自身が選んだ答えの意味を。櫂自身のために、全てのファイター達のために。
アイチはアイチの答えで動いている。櫂が見つけるべきは櫂の答えだ。アイチの拒絶は、その現実を櫂につきつけている。
(でもね、きっともうすぐ見つかりますよ)
他人の答えに頼ることを、誰よりも嫌っているのが櫂なのだ。今も昔も、それは変わらない。アイチはアイチで、櫂は櫂。それが櫂の出す答え。
その強さが、二人の絆を傷つけてきたのだとしても。櫂とアイチ、二人を成長させてきたのもまた、その強さだった。
櫂の強さが断ち切る絆は、アイチの憧れが結び直す。何度でも。強さと憧れが揃って初めて、勇気は生まれる。櫂がアイチに見た憧れの強さ、アイチが櫂に見た強さへの憧れ、それに身を投じる勇気こそが二人の絆。
それは今も、決して失われてはいない。
わくわくしてきた自分に気付いて、シンは少し気を引き締める。
(……だからね、あの二人の決意と情熱を、穢させるわけにはいかないんですよ。穢すわけには行かないんですよ)
この引率が終わったら、また自分はカードキャピタルをしっかり守ろう。アイチと櫂、ナオキ、カムイ、三和、そして誰よりミサキが、自分の戦いに集中できるように。
身内贔屓上等だと思いながら、ストレージの蓋を閉める。また明日、特訓しているミサキ達のために、彼らはきっと活躍してくれるだろう。
(このカード達が、彼らの力になりますように)
それは確かに、シンの純粋な願いだった。
fin.
+++
最初思いついてた会話はもっと危ないメタネタが入ってたんですが、さすがに普通に書いてそうはなりませんでした(というかどういうの思いついてたかほぼ忘れた\(^o^)/)。この場合、シンさんとセラさんは決着つかないくらいがちょうどいいと思っている。
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