リスペクト公式、と言いつつBL・GL妄想上等の色々無節操なのでカオス注意。
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LJ編クリアしたアイチくんがAC編の最初に櫂くんと道が分かれる前に戻ったらどうするのかイメージしてみた話。AC編二周目もどきとも言う。LM編某ネタバレが出てますが、ガイヤールはアイチ信者なので、ガイヤールによる某アイチ回想は美化されてると判断して八割で見てます\(^o^)/
いや…だって代理人戦の櫂くんのものとおぼしきレン様イメージお前ほんとに地区大会決勝見てたのかと思うほどかわいかったし(見てたんだろうけど)、アイチイメージ最高に凛々しかったし、かと思ったらLM編ED1で落ち込んだ櫂くんを奮い立たせたアイチくん無闇やたらと慈愛に満ちてたし。ヴァンガードはそういうところ余計なほどリアルにフィルターかけてくるアニメだと思ってる(ゲンドウポーズ)
作画揺れと判断しかねるところでは、櫂アイチ初ファイトの三和くんによる櫂くん悪い顔回想が第一話(二話?)より心なしか凶悪さ増してたけど、あれ明るかった櫂とその後の不幸を知ってる三和くんと、明るかったことしか知らないで憧れてたアイチの印象の違いも入ってる気がするし、チーム男前所属のカムイくんが眉太かったのはアイチと出会わなかったらカムイ二割増し男前だったよってことな気がするし…。
ともあれ、そんなわけでLJ編とLM編の間のアイチの話です。
どうでもいいですが、アイチと櫂くんの性格については、この占い(ジョギング中。「も、もうムリ……!」と思ったときに取る行動は?)のふたご座(アイチ)とおとめ座(櫂)が特に好きです。分かる(笑)

 Go ahead


「――道は自分で作るだけだ」
「えっ?」
 唐突な話だが、アイチの目の前には櫂がいた。瞬間的に飛び込んで来た光景は、後江町の公園のステージ上、ファイトテーブルを挟んで向かい側に立つ櫂。そしてさっき聞こえた声は、いつか聞いた言葉。アイチは思い出す。今この状況は、タクトにデッキを入れ替えられ、慣れないデッキで初めてファイトした後そのものだった。
 身をひるがえして去ろうとする櫂に、咄嗟にアイチは手を伸ばす。
「待って!」
「っ、アイチ?」
 一歩踏み出してその左手の裾を掴むと、驚いたように櫂が振り向いた。
 反射神経に意識が追いついていく。この後櫂は海外を回って修行して、チームNAL4に入って。

“力になれず、悪かったな”

(レオンくんに負ける……ううん、そうじゃなくて)

 アイチはゴールドパラディンと共に戦い、ブラスター・ブレードとロイヤルパラディン、櫂の導きを手放すことを決意する。そして宮地学園に進んで、櫂とは違うチームを作って、アイチの知らないところで、櫂は――

“俺はお前達を傷つけるだけの存在なのだ。俺は消える。お前達の前から。――永遠にな”

(……Я、するんだ)

「……君を一人で、行かせたくない」
 恐怖に縛られて、目を伏せたまま低い声でアイチはそう絞り出した。
「なんだと……?」
 訝しげに、更に言えば不快げに櫂が問い返す。
「それが君の選んだ道なのは知ってる。君はその道を選んだことを後悔しなかった。だけど、でも……傷ついたんだ」
(間違っていく自分を、たった一人で見つめ続けて……)
「…………」
 櫂は推し量るように、無言でアイチを見つめている。
「……僕が間違ったときは、カードキャピタルの皆がいてくれた。カムイくんとミサキさんが戦ってくれた。君が止めてくれた」
 意を決して、アイチは顔を上げた。
「だから、今度は僕が、君の傍にいたいんだ! 行かないで櫂くん。チームQ4で、一緒に戦ってほしい」
 冷静な――真摯な瞳がアイチを見つめている。
「……悪いが、それはできない」
 その声からは、不快さはもう消えていた。けれど答えは変わらない。その決意の強さは、むしろ増しているようにさえ思えた。
「櫂くん……」
「お前が何を知っているのかは知らないが、おそらく未来のことだろう。それを嘘だとは思わない。だが、それを知って選択を変えることは、俺はしたくない」
「あ……」
 その瞳の強さは、PSYクオリアの力に溺れたアイチを止めた、あのときの櫂と同じ強さだった。その目に見つめられて、櫂が止めてくれたあの後、PSYクオリアを通じて手を貸そうとするカード達に、自分の力で戦いたいと告げた時の思いが、アイチの中に蘇ってくる。
「だけど……」
 その先にあるものが違いすぎて、アイチは食い下がる。
 そんなアイチに応じるように、櫂は呼びかけた。
「アイチ。俺は、傷つくことは怖くない」
「え?」
「お前が心配しているのはそこだろう。だが生憎と、俺は傷ついてもいいんだ。俺はそれよりも、俺の意志が濁ることのほうが……俺が俺を信じられなくなることのほうが怖い」
「……!」
 雷のような衝撃がアイチを走った。それは櫂の言葉とは裏腹に、傷つくのが全く怖くないという意味でも、ましてや恐怖が全くないという意味でもなかった。アイチはまだまだ、櫂のことを知らなかったのかもしれない。
 しかしその閃きは、アイチを躊躇わせるどころか、アイチの中にあるさらなる衝動を呼び覚ました。
「――怖がってよ!」
「っ!」
 今度こそ櫂はたじろいだ。その勢いは衰えることなく、アイチは櫂にまくしたてる。
「君がそんな風に強いから、僕も、皆も、君だってすっごく大変だったんだよ!?」
「おい待て、アイチ」
 何故泣く。櫂の心が聞こえた気がした。怒っているはずのアイチの目からは、涙がとめどなく溢れている。
(なんだろ、これ)
 妙に冷静な意識が頭の後ろで自分を見ていた。確かに自分は泣いているけれど、どう考えてもそれは悲しいからではなかった。痛みへの恐怖を誤差と切り捨てる櫂の強さは無謀とも言えるくらいで、けれど清々しいほどに潔くてシンプルだ。櫂のこの強さがあの悲劇を導くと知っているはずなのに、けれどその記憶は、今目の前にある眩しさに傷一つつけられなくて。
 それがどうしようもなく、アイチは嬉しかった。
「……僕は怖いよ。君が傷つくのも、皆が傷つくのも……僕が傷つくのも」
 情けないと言われるかもしれないなんて不安は、今のアイチには一切浮かんでこなかった。自分の気持ちが、ただまっすぐに溢れてくる。それは櫂とファイトするときにいつも感じる、抑えきれない胸の高鳴り。
「そんなことを怖がってたら戦えないだろう。進めなくなる」
「戦えるよ。だって、誰にも傷ついてほしくないんだ。怖いなら、守りたいなら、戦うしかないんだ。……それが、君がくれた勇気だよ」
 涙をぬぐいながらそう言ったアイチの脳裏によぎったのは、ガードの貫通を賭けたトリガーが引けなかったあの瞬間だった。
 そんなアイチに櫂は一瞬きょとんとして、そして不敵に笑った。
「……だったらなおさら、俺はこの選択を変えられないな」
「うん。……僕の負けだね」
 あのファイトで答えは全て出ていたんだと、今更ながらにアイチは思う。ここで別れた道の先、光も闇も切り裂いて、聖も邪も超えた強さを手にした櫂と戦ったファイトを、アイチだって後悔しなかった。
 後悔できなかった。自分と櫂が信じて進んだ道の果て、二人で勝ち取った確信を。
「アイチ、ひとつだけ聞く。今のお前のデッキはゴールドパラディンか?」
「うん。でも、ブラスター・ブレードも一緒だよ」
 アイチがそう答えると、櫂は満足そうに笑う。
「使いこなせるようになったんだな」
 本当に嬉しそうに櫂が言うから、アイチはもう「君がいてくれたからだよ」とは言えなかった。

“いいか、イメージしろ。そのカードの剣士のように、強くなった自分を!”

 今も昔も、櫂は知っている。過去は変えられないし、変える必要は無い。求めるべきは、未来を創る力だけ。
 手にしていた解放者のデッキを見つめて、アイチに笑顔が浮かぶ。
(僕にとっては、このデッキがその力だったんだ)
 代わりに、アイチはあのとき告げた別の言葉を櫂に告げる。
「櫂くん。忘れないでね。君が間違ったときは僕が止める」
 それにもう一つ、櫂からもらった言葉を付け加えた。
「だから……君は君の道を行って」
 櫂からもらったそれが「挫けるな」という叱咤なら、アイチのそれは「安心して」という激励だった。
「ああ」
 言われずとも、そんな笑顔で櫂は頷いた。
 遠ざかる背中と呼応して、アイチの視界が白に染まる――

 * * *

「――……」
 窓から差し込む太陽の光に瞳を刺されて、アイチは目を開けた。枕元の時計に目をやって――
「――うわぁ!?」
 慌てて飛び起きる。既にアラームは鳴り終えて、遅刻ギリギリの時間だった。制服に着替えてばたばたと階段を駆け下りると、シズカがトーストとお弁当を手にダイニングから顔を出す。
「おはようアイチ、時間がなくてもちゃんと食べないと駄目よ」
「ありがとう! 行ってきます!」
 トーストを咀嚼もそこそこに牛乳で流し込んで、渡されたお弁当も忘れず持ってアイチは玄関を飛び出した。
 学校へと急ぎながら、脳裏には今朝見た夢が蘇ってくる。改めて知った櫂の強さ、櫂の笑顔。
「――っ」
 その瞬間、不意に走った胸の痛みに、アイチは顔をしかめた。痛みの走った場所を押さえて、アイチの表情が少しだけ険しくなる。
(……あんまり時間、ないかな)
 それはリンクジョーカーに取りつかれた立凪タクトを倒したとき、アイチの中に埋め込まれたリンクジョーカーの種。この脅威から守りたいものを守るためには、全てを懸けなければならないと、あの時悟った。けれど――
(怖いけど、やってみせる。櫂くんとファイトしたあの時だって、僕は全部懸けて戦ってたんだ。ただ……)

“使いこなせるようになったんだな”

 夢の中の櫂の笑顔に、別の意味でアイチの胸が痛んだ。櫂はきっと、自分がこれからやろうとしていることに賛同したりしない。決して。この世界から自分という過去を奪うことも、自分の存在を封印することも、リンクジョーカーの力を利用することも。
(ごめん、櫂くん)
 きっとそんな言葉も、彼は必要としてはいないのだろう。櫂はどこまでも強くて、自分の意志で道を選んだアイチを、本当の意味で否定したりしない。
(僕は僕の道を行くよ。だって、もし僕が本当に間違えたとしても、その時は君が止めてくれると信じてるから……だから)


 君は君のままでいて。どんな時も前を向いて進み続ける、そのままで――


 fin.


I may make a mistake. You may make a mistake, too. But I think that the future to make it together will not be so bad.
(一人一人が失敗しても、みんなで作る未来なら、きっとそんなに悪くない)
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