リスペクト公式、と言いつつBL・GL妄想上等の色々無節操なのでカオス注意。
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RIDE193「破滅の剣」にて思わぬところから燃料投下されてカッとなってやった。もしも二人がカトルナイツになったら。櫂レンのつもりでしたがレン櫂のような気もします。とりあえずレン様片思いです。櫂くんアイチくんに負けてもいいのよ(待て)


 周囲には闇が佇む広間を、月明かりに似た青白い光が照らしている。
「《撃退者 ファントム・ブラスター “Abyss”》にライド、アタック」
「ノーガード」
 静謐さの支配する空間に、声が響いては溶けていく。鍔迫り合いのような緊張感はなく、ただ淡々と、日常会話のように落ち着いたリズム。それを生み出しているのは、櫂とレンの二人だ。
  ごくありふれたテーブルファイト。レンとこんなファイトをするのはいつぶりだろうかと思い出そうとして、そうではなく初めてなのだと櫂は思い至る。中学時 代、同じ学校、同じ教室で、彼と日常を過ごしていたことはあった。けれど、櫂がレンと出会った頃には、もう櫂にとって生きることは戦いであり、ヴァンガー ドで求めているのは生き抜く強さでしかなかった。
 それがいつしかレンを戦いへと誘(いざな)って、レンと櫂が過ごした日常は思い出に変わり、今この瞬間に共有するものは、ヴァンガードファイトだけになった。
「君とこんなファイトをする日が来るなんて、夢にも思いませんでした」
 櫂と似たようなことを思っていたらしいレンが、そう言って苦笑した。
「そうだな」
 リズムを崩すことなく櫂が答える。櫂もまた、レンとは意地を張り合い続けるのだと思っていた。支えあう友人でもなく、高めあうライバルでもなく、信条を違える宿敵として。いや――
「……巻き込んですまない」
  ――それでも結局のところは、旧友として認めあっていた。アイチ探しを阻むカトルナイツの存在を知った後、彼らと共通点のあるレンを再度頼ったのも、レン に自分達を絶望させることが目的のカトルナイツとは違う何かを感じていたからだ。そしてファイトを越えて、レンは中立の立場を逸脱して力を貸してくれた。
「いいんですよ。僕もアイチくんを放っておきたくはありませんでしたし……最初にカトルナイツを断ったのだって」
 ぴた、と、カードを操っていたレンの手が止まった。櫂が盤面を見つめていた視線をあげると、さっきまでの空気には似つかわしくない、ファイターとしてのレンの表情がある。
「……アタック」
 不自然に切れた言葉の続きをかき消すように、レンがファイトを続ける。櫂はあえて追求することなく、残る攻撃を受け切る。
「ターンエンド」
「俺のターン」
 櫂は全てのユニットをスタンドさせて、カードを一枚ドローする。《煉獄皇竜 ドラゴニック・オーバーロード・ザ・グレート》にライドして、シーク・ザ・メイト、レギオン。リアガードをレストして、対象ユニットを指定してアタック。
「何を言いかけたんだ?」
「ガード」
「……レギオンアタック」
「ノーガード」
 いっそ言葉さえなくとも続けられるファイトと、言葉の代わりに繰り出されるカード。そうやって二人、いつかは埋められないように思えた溝を、地続きの空白に変えてきた。
「ターンエンド」
「僕のターン」
 さっきの櫂と同じように、レンは無言でユニットをスタンドさせていく。ドロー、シーク・ザ・メイト。
 山札からレギオンメイトを探し当てたレンが、カードをレギオンさせて言った。
「……参りましたね。ここにいると、過去にしたはずの思いが蘇ってくるような気がします」
 レギオンしたヴァンガードを、レンがレストする。
「ノーガード」
 レンのツインドライブチェック、櫂のダメージチェック。
「未来に進めない場所だからな」
 チェックしたカードをダメージゾーンに置きながら、絶望にも似た事実を、けれど櫂は淡々と口にする。
「そうですね」
 頷いたレンも同じ調子だった。全てを受け入れたからこそ、二人はカトルナイツとしてここにいる。
 リンクジョーカーを抱いたアイチが眠る月の宮。櫂とレンは、ナオキ、レオン達と共に、その封印を守っている。櫂が解放することのできなかったアイチは、今も世界から忘れられたまま。櫂はそんなアイチと一緒に、過去を封じて未来を手放した。
 けれど、レンは櫂とは事情が違う。アイチを封印したとしても、彼の過去も未来も、地球にまだ残っているはずだった。新城テツ、鳴海アサカ、福原高校。
「ターンエンド」
「俺のターン」
 櫂がユニットをスタンドさせる。
「……俺はずっと、お前の肝心なところが分からないでいる」
  一枚ドローして、レギオンアタック。その対象は、ヴァンガードファイター雀ヶ森レン――正体の掴めないフーファイター。櫂に分かるのは、その気まぐれで繊 細な感性と、芯の強さだけ。カードを介して伝わるイメージなら知り尽くしている。その中心にひとつ、「謎」としてしか伝わってこないものがある。不可解と しか言いようのない、レンの闇。
「それでも、お前がそれを望んでいるなら、俺はそれで構わないと思っていた」
「ノーガード」
 六枚目になるダメージトリガーは、《ブラスター・ダーク・撃退者 “Abyss”》
「……僕の負けですね」
「レン」
 どこか逃げるような気配を感じて、櫂は名前を呼んだ。
「本当に永遠にここにいる。そう思いきれたら、言ってもいいのかもしれないけど……駄目ですね。僕はどこかで疑っているんです。誰かがこの聖域の扉を開けて、アイチくんを解放しにくるんじゃないかって」
「……アイチが解放されることを、望んでいないのか?」
 非難ではなく訝しむように、櫂はそう言った。レンがアイチを大切に思っていることは、今更疑う理由も無かったからだ。
「そういうわけじゃありませんけど」
 君はほんとに鈍いですね。苦笑するレンの内心は、やはり櫂に読めるはずもない。
 それでも、この聖域でファイトし続ければ、暴かれるのも時間の問題かもしれない。
(君にとってのアイチくんが、僕にとっての君だったって……そうと知ってしまったら、君はどんな顔をするんでしょうね、櫂)
 櫂がアイチと本当の意味で出会ったのは、櫂がレンの元を去った後。アイチと共に封印された時間のせいで、解き放たれてしまった過去がここにあるなら。
 やり直せてしまうかもしれない。
(リンクジョーカー、今の僕なら使えちゃうかもしれませんね)
 櫂と二人、ここに永遠に閉じ込められてしまいたい。そんな甘い誘惑にいつまで抵抗できるのか、レンは正直自信が無かった。


 fin.



(勝敗はヴァンガードファイターにとって何より神聖なものなので内心はどうあれ約束は絶対に守る煉獄竜櫂くんと、櫂くんと永遠に一緒に居たい私欲全開のLJレン様なんてことになったら勝てる気がしない。)
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あと最近転載しているTwitterはpixivのプロフから飛べます。非公開中です。なんでそんなめんどくさいことしてるんだなんて聞かないであげてください。コミュニティごとに人格切り替えないとパニックになるタイプなんだよ!!(明らかに最初にpixivとHP切り離したのが敗因)

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