リスペクト公式、と言いつつBL・GL妄想上等の色々無節操なのでカオス注意。
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序章はこちら→覚醒 智勇の神器
相変わらず櫂くんとアイチくん密着注意報発令中。月はイメージ万能空間だと信じてる。
CC組もミサキ先導者っていうか三和先導者みたいになってんぞ!!って感じな上ファイト見切り発車\(^o^)/なんのカード使うか以外何も考えてないです。このパートを書きだしてから「…はっ!?そういえばこのカムイくんひょっとして櫂くん知らない!?」って気が付いて相変わらず予定とだいぶ違う展開になりました\(^q^)/

1.約束

「――月の宮が……」
 あたりに鳴り始めた地響きに、レンが呟いた。既にほぼ崩壊していた月の宮が、足元から崩れようとしている。
「聖域を支えていたアイチ殿の意思が崩れかけているんだ。このままでは宮が……」
「でも、今のアイチくんにまた作ってなんて……」
 ネーヴ達の声が聞こえたのか、櫂の腕の中でアイチが言った。
「……ごめん、櫂くん」
「アイチ?」
「お願い、聖域をイメージして。僕一人じゃ無理だけど……君に手伝ってもらえば、多分、できるから……」
「分かった」
 櫂は頷いて目を閉じると、今まで攻略してきた聖域をイメージする。
 浮上していた大地が、ゆっくりと下降し始める。ずず、と、噛み合うような音がして、宮が月面へと根付いた。折れた柱が、落ちた天井が、浮き上がってかつての姿を再構成していく。侵入者を阻む迷宮、騎士達の間、そして――封印の祭壇。
「……どうしようかな」
 苦笑交じりの困惑した声がした。
「……?」
 変化が止んだのを感じた櫂が、顔を上げてあたりを見渡す。そこにはもう、以前とほとんど変わらない光景が広がっていて――ただひとつ、残っていたはずの石の玉座が、忽然と姿を消していた。
 アイチが身じろぐ気配がして、櫂が身を離す。まだ少し泣きはらした目をしていたけれど、落ち着いてはいるようだった。広がった櫂の視界に、黒のブレザーから覗く白いカッターシャツと、赤いネクタイが映る。
「……制服?」
 アイチが着ていた格式ばった衣装が、宮地学園の制服になっていた。
「……やっぱり、ちょっと背伸びしすぎだったかなって……」
 頬を掻いて笑うアイチに痛々しさしか感じられずに、櫂は言った。
「背伸びが必要な時もあるだろう。成長するためには」
「うん。でも、それでみんなを振り回して、こんなことになって……」
「お互い様だ。俺がどれだけお前達を振り回したと思ってる」
 アイチは静かに首を振った。淋しさを纏ったまま、俯きがちに微笑む。
「振り回されたなんて思ってないよ。だって、君はいつも自由だから。我がまま言って引き止めるのは、いつも僕で……」
「だから、そういうマイナス思考をやめろと言ってる」
「ごめん……」
「謝るな」
 また泣きそうになっているアイチを、櫂は宥めるように抱き寄せる。アイチのそんな顔は見たくなかった。それをさせているのが自分かと思えば、自分自身に腹が立つ。
「……その自由とやらで世界滅亡の片棒を担ぐような奴に、お前が謝る必要はない。……お前が世界を、……仲間を守ろうと必死だったことを、分からない奴はここにはいない」
「でも……っ」
「お前が背負っているものは、一人で背負うには重すぎる。耐え切れないお前を責めるような奴がいたら、俺が焼き尽くしてやる」
 拗ねたような口調で嘯く櫂に、アイチが慌てる。
「そんなの駄目だよ」
 その言葉に、櫂の口許がふっと緩んだ。
「お前ならそう言うんだろうな」
 やっとポジティブになったアイチの制止に、上等だと櫂は笑う。櫂の内に芽生える八つ当たり紛いの義憤も、その裏にある自己嫌悪も、アイチが浄化してくれる。友を思うから生まれる力が、自分ごと全てを傷つける絶望じゃなく、全てを守れる希望になるように。
 今度こそアイチの顔を見て、櫂は真摯に言った。
「俺にできることならなんでもする。だからもう、一人で泣くな」
「……うん」
 悩ましげなまま、それでもアイチは、確かに頷いた。

2.うつせみ(空蝉、写身、移身、現身)

「ライド! 《煉獄竜 ドラゴニック・ネオフレイム》!」
 どこからか託された櫂のデッキで戦いながら、三和は違和感を感じていた。
(なんだこれ。確かに櫂だと思うのに、俺の知ってる櫂じゃない。俺が知ってる櫂の強さは、辛いときも苦しいときも、そう感じる弱い自分を殺して進んでいくような強さだ。そのままいつか消えちまわないかって心配で、ほっとけなくて。だけどこれは違う。諦めないで進むのは変わらねえけど、もっとなんか……弱さじゃなくて、どこにも行けない悲しみを焼き尽くすような――)
 三和のヴァンガードサークルに立つドラゴンに向かいながら、ミサキは不思議な懐かしさを感じる。
(なんだろう。すごくドキドキする。初めてヴァンガードをしたときみたいな……?)
 どこで覚えた感覚なのか思い出そうとしても、うまくいかない。
(ううん、違う、これはあたしの気持ちじゃない。こんな風にファイトする誰かを見てた。ヴァンガードのことはあたしのほうが知ってたけど、先に初めてのファイトをしたのはあたしじゃなくて――)
「ネオフレイムで、ヴァンガードにアタック!」
「《鏡の神器 アクリス》で、ガード!」
 鏡の反射でイメージが交錯する。三和の違和感とミサキの既視感、パラレルな感覚がひとつの像を結ぶことに、二人はまだ気づいていない。三和が見たはずの櫂の軌跡、ミサキが見た「初めてのファイト」。ネオフレイムが生み出す真実のかげろう。二人の記憶から、確かに何かが欠落している。
「ドライブチェック。ゲット、ドロートリガー! カードを一枚ドロー」
「あたしのターン。スタンド・アンド・ドロー。ライド! 《真昼の神器 ヘメラ》!」
 炎を鏡に映し取って、ミサキはライドを重ねる。ネオフレイムと同じ、レギオンリーダーがシークするレギオンメイトユニット。誰かに呼ばれた櫂に、誰かに呼ばれたミサキが重なる。櫂と戦っていた誰かを絆にして。
(俺は知ってる、あいつをそんな風に変えたやつ)
(あたしは知ってる、塞いでたあたしにきっかけをくれた、ヴァンガードでできた初めての仲間)
 向かい合うミサキと三和の視線がぶつかる。
(あいつの隣には)
(あたしの隣には)
 交わすべき言葉は声じゃない。そんな思いが二人を繋いで、二人は無言で頷き合う。
「三和、行くよ。《真昼の神器 ヘメラ》で、ヴァンガードにアタック!」
「ノーガード!」
「ドライブチェック。ゲット、クリティカルトリガー! 効果はすべてヘメラに!」
「ダメージトリガー、チェック。ゲット、ヒールトリガー! ネオフレイムにパワープラス5000、ダメージを一枚回復!」
 不思議な緊張感に満ちた二人を見守るしかないカムイも、ファイトに既視感を感じていた。
(なんだ? 大事なものが懸かってるのに、ヤバイファイトのはずなのに、すげえワクワクするこの感じ。そんなに昔のことじゃない。もっと近くで見たいと思ったんだ、あのとき……立凪ビルで、世界の危機が去ったはずのあのとき!)
「櫂と戦ってたのは、誰だった!?」
「っ!?」
 思わず叫んだカムイに、弾かれるように三和が振り向いた。
「な、なんだ?」
 流れを切ってしまったことに戸惑うカムイに、三和が真剣な表情で尋ねる。
「お前、櫂のこと知ってたか?」
「え? だって櫂は、櫂は俺達の……あれ……?」
 自分自身が信じられないように、カムイが記憶を反芻する。カムイの記憶の中に、櫂は噂話で名を聞いた孤高のファイターとしてしか存在していない。三和が正面を振り向けば、ミサキも動揺のあまりにテーブルに手をついていた。
「あたしは知ってる、知ってるけど……店の客? ううん、違う、あいつは……」
 顔を上げたミサキは、泣きそうな顔で叫んだ。
「櫂はもっと、あたし達と近かった!」
 そんなミサキを落ち着かせるように、三和は一拍おいて冷静に答える。
「……ああ、そのはずだぜねーちゃん。なんでそうだったのかは、俺も思い出せねーけど……このファイト、続行でいいな?」
 その声に宥められて、ミサキは手にしたカードを両手で握りしめると、気丈に頷く。その様子に、カムイも気を取り直した。
「俺もいます、ミサキさん!」
「ありがと、カムイ」
「へっ、頼もしいな」
 軽口でひとつ笑って、三和は表情を引き締める。
「行くぜ! 俺のターン、スタンド・アンド・ドロー!」
 三和の手札にグレード3のカードが舞い込む。初めて使うカードなのに、どう言えばいいのか三和には分かった。今ここにいない櫂の思いが、このカードに宿っている。
(櫂の病気が移ったかな? わけわかんねー状況だってのに熱くなっちまう。この逆境を超えてみせる!)
「煉獄の灼熱に焼かれ、幾度も甦る帝国の竜王よ! 炎の中で奮い立て、俺の分身! ライド!《煉獄皇竜 ドラゴニック・オーバーロード・ザ・グレート》!」
 ヴァンガードとして立ち上がるのは、ただ真っ直ぐに、何に惑わされることもなく、何に囚われることもなく、強大な力へと辿り着いたオーバーロード。ミサキにもカムイにも確かに見えた。三和にオーバーラップする櫂の姿が。
(そうだ、俺は、櫂と戦ったことがある。櫂の野郎が許せなくて……なんでだっけ? 誰か、誰か大切な仲間のために!)
(あたしは櫂と一緒に戦ってた。あいつの気持ち、なんとなく分かる気がしたから。悲しい気持ちに蓋をしてるせいで、うまく心を開けなくて……。だから分かった。あたしが惹かれたのと同じ光に、あいつも惹かれてるってこと……!)
 二人の視線に晒されて、三和もまた自分の中に芽生える真実を感じる。
(これはあいつの力だ。競い合って、支え合って、強くなったあいつの力。一人じゃあり得ない、一人じゃなかったから手に入ったはずの力!)
「オーバーロードよ、この偽りの世界を焼き尽くせ! エターナル・フレイム!」

 To be continued…?
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