リスペクト公式、と言いつつBL・GL妄想上等の色々無節操なのでカオス注意。
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G2期(ってGC編SG編まとめてナンバリングされているのか…)46話「光輝の剣」がすごすぎてやってしまった未来捏造。東雲気持ち悪い!!シオンくん強くてかっこいい!!
なのにこんなの書いてほんとすみませんでした!!!
なんだかんだ全治二ヶ月みたいな重傷で済んですっかり回復したシオンくん宅に東雲がやってきて縋る話です。R15…かな…?
ワンパターンにしつこい東雲を表情一つ変えずに裏拳で殴るシオンくんみたいな関係でいてほしいとか言ってたのにあのオチのお陰でこのザマだよ!!!目の前の現実が受け入れられずに笑ってしまったわ!!!
最初は「東雲のことだけ綺麗に忘れたシオンくんが「覚えてないけどあなたは嫌いです」って言って、忘れたはずの自分の所行がシオンに確かに刻まれていることに快感を覚えてしまう東雲」っていうネタから膨らんだんですが記憶喪失いらないなとなってそういう設定は使ってません。
東シオが好きとかいうよりこういうどーしょうもないBLが!!!BLが…なんなんだろう…(迷子)


 ピンポンと鳴った音に、シオンは「はい」と返事をして立ち上がる。玄関のドアを開けて、そこに立っていた人物に目を瞠った。
「っ、東雲……」
 眼鏡のガラスに反射した光で、彼の表情はよく分からなかった。それはシオンには、関係のないことだったけれど。
「何の用だ」
 厳しい瞳で問いかけたシオンに、東雲は可笑しそうに笑う。
「相変わらずだね。ご挨拶だと言ってもいいが……いや、元気そうで何よりだよ」
「………」
 シオンは東雲を睨みつけたまま答えない。
 数ヶ月前、ストライドゲート事件の折に、シオンは落下してくる石錐から東雲をかばって重傷を負った。東雲自身、結局はその後落下してきた岩塊の下敷きになったらしいけれど――シオンが知っているのはそこまでだ。シオンの入院中に音沙汰もなく、それ以来の再会だった。
 二度と会いたいとも、シオンは思っていなかった。当然だろう。東雲をかばったのは東雲のためでもなんでもない。目の前で誰かが傷つくかもしれないなら、守らなければならない。それだけのことだった。例えそれが、かつて自分をどん底まで叩き落とした人間だったとしても。それがシオンがイメージした、綺場シオンという人間だった。
「帰ってくれ。僕はあなたと、関わり合いになりたくない」
 きっぱりと告げられた言葉に、嘯くような東雲の笑顔が、音もなく凍った。すぅっと、表情が抜け落ちる。これが本来の東雲の表情だと、シオンは勘づいていた。――その奥に何があるのかは、分からないけれど。
 俯いた東雲の瞳は見えない。
「……君はそうでも俺は違うんだよ」
 独り言ともつかない、低い声だった。
「何だと……?」
 言うが早いか、東雲はシオンを思い切りよく突き飛ばした。東雲は後ろ手に玄関を閉めて、シオンを組み伏せる。不意を突かれて、シオンは受け身を取るだけで精一杯だった。両手首をそれぞれ床に縫い止められて、足をばたつかせてみてもふりほどけない。
「離せ!」
「本気で言っているなら、もう少し強硬に出るべきだったね。君ともあろうものが油断したのかい? この俺を相手に」
「……ッ、どこまで僕を侮辱すれば気が済むんだ! あんたは!!」
「侮辱?」
 苛烈な瞳で抵抗を試みるシオンを見下ろして、東雲は――苦悶に顔を歪めた。
「……っ!?」
 思いもよらない表情に、シオンに動揺が走る。
 苦痛を押し殺すようにして、東雲は絞り出す。
「……侮辱か。確かにそうなんだろう。けど、君は知らない。君が俺をかばって、ぴくりとも動かなくなって、俺は、」
 東雲の言葉はそこで途切れた。いつもなら、謡うように安っぽいポエムを並べ立てていたことだろう。けれど、東雲は言い淀んだ。言葉にすればあまりにも簡単で、だからこそ認めたくなかった。口にすることはできなかった。
「……君は言ったね。俺は哀れだと。そうさ、筋書きの見える世界は人形劇か何かのようで、俺は何もできない観客にすぎない。予定調和の世界の中で、自分の未来を思い描くことさえ叶わない。……本当に哀れだよ」
 自分が告げた言葉を繰り返す東雲を、シオンは呆然と見つめるしかない。
「俺にとっては、君だけが本当に生きている人間だった。君だけが、俺に見えない未来を信じさせてくれたんだ! だからあらゆる手段を使って、君から全てを奪った。君が俺のところへ来るしかないように。君が掴む未来がほしかったから!!」
 東雲が絶叫する。東雲に抵抗する気力は、シオンからすっかり失せてしまっていた。きっと今なら、振り払うのは造作もないのに――シオンはもう、気づいてしまっている。
「……なあ、綺場シオン。俺を救ってくれないか?」
 ぽたりと落ちてきたしずくが、シオンの頬を伝った。
「俺を哀れだと思うなら……君が俺に」
 耳元で囁かれる、それは懇願。

 ――本当の未来を教えてくれ。

 * * *

 寝室に誘ったのはシオンのほうだった。自分へと縋ってくる東雲の手を、シオンは拒めなかった。正しいもの、綺麗なもの、それを理由に東雲を拒絶するには、シオンはあまりにも、闇に手を染めすぎていた。
 シオンの運命を、あれだけオモチャのように無造作に扱った東雲が、今は怯えるようにその肌に触れる。壊れやしないかと恐れながら、触れずにはいられない。その存在を確かめたくて。
「……う、あ……っ」
(何故、こんな……)
 たいていの痛みには慣れてしまっていて、問題なのは嫌悪感だけだった。それも目の前の男のせいだと思えば皮肉な話だ。結局は絡め取られている。当の東雲も予想だにしなかった形で。
 目尻に浮かんだ生理的な涙を、東雲の指先がすくい取る。東雲の表情は、ずっと苦しそうだった。――分かっている。こんなことで誰かが救われるなんて、絶対にありえない。
(……馬鹿だ。大馬鹿だ。あなたも、僕も……)

 * * *

「はい、もしもし。……え、今日? ちょっと待ってください、僕はこれから――」
 ぶつりと切れた電話に、シオンはため息をついた。
「今日行くからって……。俺をなんだと思ってるんだ」
 ぼやいて数秒後、自分の発言の奇妙さに気づいて渋い顔をする。
(……“俺”?)
 無意識のうちに、胸元に伸びた手が、掴み所を探してシャツを握りしめる。
(……まずいな)

 ――あの人が、僕の中に入り込んでくる。


 fin.
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