リスペクト公式、と言いつつBL・GL妄想上等の色々無節操なのでカオス注意。
趣味全開を一本書くとマイルドにしてもう一本書いてしまうの法則
シオンくん下半身潰れてそう+福原入学=ひょっとしてフェンシングやめたの?というイメージです。明日の最終回見たらあげられなくなるかもしれないので超特急で書きました修正するかもしれませんあしからずご了承ください。綺場ホールディングス代表のネタを入れたかったけど入れられませんでした。
シオンくん下半身潰れてそう+福原入学=ひょっとしてフェンシングやめたの?というイメージです。明日の最終回見たらあげられなくなるかもしれないので超特急で書きました修正するかもしれませんあしからずご了承ください。綺場ホールディングス代表のネタを入れたかったけど入れられませんでした。
「やあ、久しぶり」
まさかこんな日に会うとは思っていなかった。
高校の入学式の帰り道、学校から適当に離れたところで声をかけられた。待ち伏せを勘繰るのは自然なことだろう。目の前にいるのは、シオンを追い詰めるために人生を懸けていたと言って過言ではない男だ。
踏み込んで二歩の距離。間合いを確認しながら、シオンは答える。
「……何のつもりですか」
「ご挨拶だね」
警戒をゆるめない鋭い眼差しを、東雲ショウマは平然と受け流す。改めてこちらを見やった瞳が何を見ていたのか、すぐには分からなかった。
「……フェンシングはやめたみたいだね?」
「……!」
単刀直入な問いかけに一瞬目をしばたたかせる。
東雲が見ていたのは、シオンの制服姿だったのだろう。白のジャケットに黒のカッターシャツ、真紅のネクタイの映えるそれは、ヴァンガードファイターの育成に熱心な福原高校の制服だった。かつては勝利至上で物議を醸したフーファイターを母体とする、実力主義の名門。
ヴァンガード以外にかまけていれば、あっという間に落ちこぼれてもおかしくはない。
「……お陰様で、競技を続けるのは無理だと言われましたよ」
ため息をつくようにシオンは答えた。
東雲も知っているのだろう。一年と少し前、ストライドゲート事件の折に、シオンは重傷を負った。それが目の前の男をかばったせいなのは、この際置いておこう。幸い日常生活に不自由がない程度には回復したけれど――それでも、シオンの両足には制約がついた。運動量と時間制限。
「それで諦めたのかい? 君ともあろうものが」
「まさか」
それを言うなら、今やスタンディングが基本のヴァンガードファイトも、まったく無理がないわけではない。勝負事は集中力を消費する。それを支える気力と体力に、身体制限は無関係ではいられない。
「……ただ、ちょうどいい機会だと思っただけです。どちらかを選ばなければいけないなら、それが今なんだと。……誰のお陰とも言いませんが」
「……なるほど?」
かつて、綺場の御曹司としての自分とフェンシング、そしてヴァンガードを両立していたシオンに、全てが中途半端になんじゃないかと嘯いたのは東雲だった。それをシオンは、全て手にしてみせるとはねつけたけれど――東雲の言葉を真に受けるなら、東雲はこんな未来が見えていたのかもしれない。
もしも東雲の言葉がなければ、何かを諦めるイメージを持ったことがなければ。フェンシングを続けられないことに、もっと絶望していたのかもしれない。けれど、例えそうだとしても、それはシオンの選択とは関係のないことだった。東雲の言葉はあくまで、あの頃のシオンをあざ笑い、動揺を誘う毒でしかなかった。今ここで平静でいられるのは、希望を見せてくれた人、支えてくれた仲間たちがいたからだ。
(……そのはずなのに)
過去を反芻すればするほど、シオンは違和感を覚えていた。
目の前の東雲に、本能が働かない。いつか感じていた、本性を見せない無味無臭さと、その奥のまとわりつくような悪意。それを感じないから、どうしてかこの男につきあって会話を続けてしまう。
いつも読めない笑顔を浮かべている人だけれど――表面上だけではなく、空気が本当に穏やかだった。
(この人の、何が変わったって言うんだ……)
「……話はそれだけですか?」
「ああ、引き止めて悪かったね」
拍子抜けするほどあっさりと、東雲は身を引いた。踵(きびす)を返しながら、シオンへ視線を向けて告げる。
「また来るよ。君の気が向いたら、今度はお茶くらいはつきあってほしいね」
「え」
戸惑うシオンの反応を楽しむように、東雲が笑う。そういうところは、以前と変わらないはずなのに。
「それじゃ」
手を振って背を向けた東雲に、シオンは結局、かける言葉を見つけられなかった。
調子が狂ったままで呟く。
「……なんなんだ、一体……」
* * *
(まさか福原に入学するとはねえ。いや、らしいと言えばらしいんだが……それでも意外だったよ)
シオンと別れ、東雲は一人帰路につく。ふと立ち止まって、静かな目で自分の手のひらを見つめた。いつかこの手に閉じ込めたいと願った、シオンの未来。
(僕にはもう、君の未来は完全に見えない)
ついに捕えることのできなかった、翼ある者。
(君はとうとう、未来を自分の望みで従えてみせた。……多分、そういうことなんだ)
「……本当は……」
聞く人のない言葉が、口の端からこぼれ落ちる。
(……おめでとう、とか、言おうかとも思ってたんだけどね)
薄っぺらな言葉を並べすぎたから、多分本音だと信じてはもらえないだろう。薄っぺらな言葉に慣れすぎて、一人になっても囁けない。
「ま……次の予告はできたし、これからかな」
一人で納得して、東雲は歩みを再開する。
* * *
綺場シオン。君が未来を従えて、俺の見える未来は揺らぎを増した。それはもう、未来なんて呼べる代物ではなくて、夢みたいに曖昧なイメージでしかない。
見えていたものが見えなくなったら不安になりそうなものだけど――案外、そうでもなかったんだ。どうしてだろうね。
そのおぼろげなイメージの中で、君だけが鮮やかだ。俺が見た未来のイメージを切り裂いて、望んだ未来を掴み取った君だけが。
シオン、君が俺を、目に見える未来から自由にしたんだ。
初めて知ったよ、君が生きられないと言った、俺が望む俺の未来は――きっと君のそばにある。
* * *
(……なんて言ったら)
見えなくなった未来の代わりに、見えるようになったイメージがある。
「……怒るよなあ、やっぱり……」
そうぼやいてはみたけれど。
何を言っているのかと怒るシオンのイメージは、今まで見ていた未来よりもずっと生き生きとしていて、東雲はくすりと笑みをこぼす。
「そんな君が好きだよ、シオン」
fin.
シオンと別れ、東雲は一人帰路につく。ふと立ち止まって、静かな目で自分の手のひらを見つめた。いつかこの手に閉じ込めたいと願った、シオンの未来。
(僕にはもう、君の未来は完全に見えない)
ついに捕えることのできなかった、翼ある者。
(君はとうとう、未来を自分の望みで従えてみせた。……多分、そういうことなんだ)
「……本当は……」
聞く人のない言葉が、口の端からこぼれ落ちる。
(……おめでとう、とか、言おうかとも思ってたんだけどね)
薄っぺらな言葉を並べすぎたから、多分本音だと信じてはもらえないだろう。薄っぺらな言葉に慣れすぎて、一人になっても囁けない。
「ま……次の予告はできたし、これからかな」
一人で納得して、東雲は歩みを再開する。
* * *
綺場シオン。君が未来を従えて、俺の見える未来は揺らぎを増した。それはもう、未来なんて呼べる代物ではなくて、夢みたいに曖昧なイメージでしかない。
見えていたものが見えなくなったら不安になりそうなものだけど――案外、そうでもなかったんだ。どうしてだろうね。
そのおぼろげなイメージの中で、君だけが鮮やかだ。俺が見た未来のイメージを切り裂いて、望んだ未来を掴み取った君だけが。
シオン、君が俺を、目に見える未来から自由にしたんだ。
初めて知ったよ、君が生きられないと言った、俺が望む俺の未来は――きっと君のそばにある。
* * *
(……なんて言ったら)
見えなくなった未来の代わりに、見えるようになったイメージがある。
「……怒るよなあ、やっぱり……」
そうぼやいてはみたけれど。
何を言っているのかと怒るシオンのイメージは、今まで見ていた未来よりもずっと生き生きとしていて、東雲はくすりと笑みをこぼす。
「そんな君が好きだよ、シオン」
fin.
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