青天の霹靂（山姥切＆加州）

そしてこれに続く。モーションかける話の続きで既に落ちてる山姥切と気づいた加州の会話。この二人は畑当番の二人です。国広とこんな会話してくれる相手はデフォルトでは存在しないだろ！！（笑）
前の話書いた時点でこんな感じの続きをイメージしてはいたのですが、実現したのはアニメ花丸の山姥切国広がめっちゃかわいかったからだよ…何をしてもいい気がしたんだ（まって）
花丸、とても安清な上に乱は藤四郎兄弟と仲良いですが（笑）でもかっこいい加州清光最高ですほんとかっこいい…。あと大和守とへし切長谷部のかわいさを教えてくれた花丸には感謝しかない…へしべかわいいよへしべ…。

　街道から少し離れた森の中、開けた川辺は朗らかな日の光に照らされていた。過ごしやすい木陰で一休み。山姥切国広率いる遠征部隊は、平たく言えばひなたぼっこをしていた。小ぶりな木の根元に腰掛ける山姥切国広と加州清光の視線の先では、乱藤四郎、五虎退、秋田藤四郎、厚藤四郎といった粟田口短刀の面々が炊き出しをしている。
　いつも通りに寡黙な山姥切に、加州がぽつりと呟いた。
「最近よく乱のこと見てるね」
「ぶっ……！？」
「なんかあった？」
　げほげほとむせる山姥切に、加州は畳みかけた。
「急に核心を突くのはやめろ……」
「あ、核心だったんだ？」
　けらけらと加州が笑う。山姥切が咳き込むのが聞こえたのか、乱が二人を見やった。なんでもないよと加州がにこにこと手を振ると、きょとんとしてから乱も笑顔で振り返す。ちらりと山姥切へと視線を送って、短刀達の中へ戻っていく。
　その視線に気づいてかどうか、山姥切は俯きがちなまま地面へと視線を送っている。
　はぁ、と呼吸を整えて、山姥切はばつが悪そうな様子で加州へ問い返した。
「……そんなに見ていたか？」
「んー……いや、そうでもないかな。あいつもさりげなくお前見てるから、なんだろうなって」
　加州の指摘は非常に的確だと山姥切は思った。確かに以前よりも目が乱を追いかけているし、多分、向こうもそうなのだろう。
「……少し、な……」
「少し、ね」
　はぐらかそうとしたわけでもなく――加州が冷静に現状を見通している以上、無意味というものだろう――どう答えていいか分からず、山姥切は曖昧に返した。
　簡単に言えば、告白されたのかもしれない。けれど、なんとなく違うような気がして言葉を探してしまう。

“僕と乱れちゃう？”
“本気ならいいの”
“それじゃ、遊ぶのはまた今度ね、隊長さん”

　出方を窺うような目に、挑むような目。人の話を聞いていたのかと、聞き返したくなるような捨て台詞。
　一番近いのは――
「……宣戦布告、か……？」
「宣戦布告ねえ……」
「……っ！？」
　呟いた声に相づちを打てば、何故それを、という顔で取り乱されて加州は苦笑する。
「いや、さすがに聞こえてるから」
　気まずい顔をする山姥切から、短刀たちへと視線を移す。
「乱は手強いよ。お洒落を知ってるからね」
「……お洒落？」
「心を武装できるってこと」
「……確かにな」
　そう言い換えられて腑に落ちた。自分も乱の言動を宣戦布告と受け取ったのだから、加州の言わんとすることは分かる。ついでに言えば、加州のお洒落が信念と繋がっているのもなんとなく分かる。
　話はここまでにしようかと、加州が立ち上がった。ちょうど向こうでは食事の準備が整い始めているようだ。
「話は大体わかったよ。まあ、頑張れ」
「一体何を頑張れというんだ……」
「さあ？　でも、応援はしてるよ。お前があいつとどうにかなってくれたら、俺が主の一番取るの楽になるから、正直助かるんだよね」
「お前な……」
「冗談だよ」
　山姥切さーん、加州さーん。乱が二人を呼ぶ。山姥切もまた呼ばれるままに立ち上がって、そちらへと向かうけれど。

　平凡な風景の中で、乱だけが一段鮮やかな色彩を放つ。山姥切の目には、乱だけが浮き立って見える。こちらに向けられる表情の全てが輝いている。翻弄されてしまう。その笑顔はどこまでが素で、どこから自覚してやっているのだろう。
（……重傷だな……）
　写しの自分はこんな想いの断ち切り方は知らないと、穏やかすぎるひとときに、山姥切国広は途方に暮れていた。