リスペクト公式、と言いつつBL・GL妄想上等の色々無節操なのでカオス注意。
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ブシロ冬の新刊に2点ノーガードからのトリプルクリティカルで直葬されました。クロノが二十歳になる誕生日の話です。告白話。メサイアスクランブルの告白最初は飛ばすつもりだったのにそこが楽しすぎて本題のはずの告白がぐだぐだになったなんて言えないごめんなさい(土下座)
※お酒はおっさん二十歳になってから※

以下12話感想です。
GZ12話、ほんと最後の数分で持っていかれました…ファイト中はまだ熱い信頼だ…って思ってられたしゼロスドラゴン渡すところだってまだ正気でいられたんですけど、「お前がおっさんになったら話してやる」でだめでした。おっさんになったら!おっさんになったら!!クロノに言われたセリフ茶化してるけど、意味は「大人になったら」で、でも大人じゃないことは弱さや小ささじゃないことはもう知ってて、今のクロノが凄いんだってこともよく分かってて、だけどその年の差が二人が二人である由縁でもあって、もう少しお前を守る大人でいさせろみたいな、だから大人になったらじゃなく「おっさんになったら」って感じのこの一言に伊吹のクロノへの尊敬と愛情がこもりすぎててしにました。
即座に2周目したんですがクロノもクロノなんですよ!!「ここまでしてヴァンガードを守るのって、なんでだ?」なに!その!穏やかな!!聞き方!!お前いつの間にそんな包容力身につけたんたよ!!伊吹も「なんだ藪から棒に」愛情駄々漏れじゃねえか!!伊吹が宮野声だってこと思い出しちゃっただろ!!私は!宮野を!呼び捨てにしかできないくらい何故か悔しいけどその声が好きだ!!演技が好きだ!歌声が好きだ!!!宮野が好きだ!!
もうね、片や将来の夢に一言「自立」とか書く程度には居場所ない感感じてて、片やいっそしにたいレベルの罪悪感を抱いて、ヤケクソ気味に生きてた一人と一人が、ぶつかり合いの果てに二人で生きる未来を掴んだ、その事実があまりにもとうとい…orz
クロノをまともに書くの初めてだったんですけど、伊吹が好きなクロノ書くのめっちゃ楽しかったです…ありがとうございました…。


温暖化の影響なのか、夏が終わっただなんて到底思えない、九月の頭。二人で歩くカードキャピタルからの帰り道、ここでお別れという段になって、クロノは伊吹にこう切り出した。
「伊吹、今度の木曜日、俺の誕生日なんだけどさ」
「ああ」
「あんたの行きつけの居酒屋、連れてってくれよ」
 なんでもないような調子で告げられたクロノのリクエストに、伊吹は一瞬だけ目を瞠(みは)ると、ふっと微笑んだ。
「いいだろう。夜の予定を空けておけ」
「やりい!」
 子どものように喜ぶクロノが、法律上も子どもではなくなる日。クロノが心待ちにしていた日を、伊吹も忘れてはいなかったのだろう。
 たとえこの三年と九ヶ月、その日にまつわる話を、互いに一度もしていなかったとしても。


 未来の始まり


 行きつけの居酒屋として伊吹が予約していたのは、伊吹曰く『日本酒が旨い店』だった。伊吹が指定したのか、窓に面したカウンター席からは、街の明かりが映り込む川面(かわも)が一望できる。
「俺の好みで注文するが、それでいいか?」
「ああ、いいぜ」
 クロノの同意を取ると、伊吹は慣れた様子で店員にオーダーを伝える。最初は生ビールが基本らしい。
「潰れるなよ」
「へへっ」
 冗談めかして言った伊吹に、大丈夫だとクロノは笑った。初めてのアルコールで酔いつぶれるのは格好悪いからと、フライングで練習していたのは内緒だ。
(だって、あんたが「おっさんになったら」とか言うから)
 当時二十歳(ハタチ)だった伊吹に、十五の自分が投げつけたセリフを茶化されたのだと分かってはいたけれど。根に持ってしまうのは、出会った頃の意地のなせる業(わざ)なのだろう。誰に甘く見られても、伊吹にだけは手加減なんてされたくなかった。
 しばらくなんでもない雑談をしていると、ほどなくして、酒と料理が運ばれてくる。
 ビールジョッキを手にした伊吹が、お前も持てと促してくるから、その意図を汲んで乾杯した。
「誕生日おめでとう」
「サンキュ」
 これが醍醐味だと父親が言っていた喉ごしにはまだ慣れないけれど、そんなに弱くなくてよかったとクロノはこっそりと思う。
 ビールに枝豆、天ぷらや刺身が並んだテーブルに、なるほどおっさん臭い趣味だとかなんとか茶々を入れつつ、おいしく頂く。
 そんな時間がけっこう楽しいものだから、切り出していいものかどうか、若干悩んだけれど。
 お猪口に注がれた伊吹の一押しという日本酒に、クロノの顔が映り込んだ。
「……なあ、いつか、あんたがなんでヴァンガードを守るのか話してくれるっていうの……聞いてもいいか?」
「……ああ」
 しんと、空気が静まる。
 硬くなってしまった空気を解(ほぐ)すように、伊吹が笑った。
「覚えていたんだな」
「茶化すなよ」
「いや、酒のつまみにもならん話だと言ったと思うんだが」
「いいんだよ。……あんたの話じゃん」
 言ってしまったセリフが一人で恥ずかしくて、照れ隠しに手にした酒を口にする。それはツンとくるアルコールとは裏腹に、ほんのりと甘みのかおる、ほろ苦い味がした。
(こういうの好きなのか)
「そうだな……。……俺は昔、ヴァンガードを消滅させようとしたことがある」
「ぶっ!」
 あやうく、手にしたお猪口を取り落とすところだった。
「は、あ?」
「世界が滅びようと構わずに……な」
 そんなに軽い話ではないとは思っていたけれど、さすがに予想外の方向から攻められて、動揺しないわけにはいかなかった。もちろん規模の話ではない。ヴァンガードや世界を滅ぼそうとするような輩が実在することは、あいにくとよく知っている。
 当の伊吹は、なんでもない顔でお猪口を口にしている。
「冗談……じゃねえよな、マジで?」
 本当に酒の勢いの雑談のような調子で聞けば、やはり伊吹も普通に頷いてくる。
「ああ」
「なんでまた」
「友達がいなかったんだ」
 刹那、クロノの脳裡に、伊吹に向かって友達いないだろと言い放った記憶がよぎる。
「……えっと、悪かった」
「そこで謝るな」
 おかしそうに伊吹が笑った。昔なら絶対に怒ったと思うのに、なんでこんなにも屈託なく笑うのだろう。
「俺が高校のときの話だ。そのときに俺を止めたのが、先導や櫂達だった。先導とは、そのとき初めて会ったんだが……変な奴だったな、あいつは」
「変?」
「ああ。荒れている俺と、命がけのファイトしているというのに、あいつは、そのファイトが楽しいと言ったんだ」
「……あー……」
 先導アイチの温厚な人柄と、ふとした瞬間の容赦のなさを思い出して、そのギャップに納得を感じながら伊吹に同意する。クロノが伊吹と初めて会ったときのファイトは、とても楽しいなんて言えるものではなかった。その話が本当なら、確かに変な人だ。
「あいつらのお陰で俺は止まれた。そのとき先導が覚醒させて、託されたのが、ハーモニクス・メサイア……このネオンメサイアだった」
 伊吹が、肌身離さず持っているデッキを取り出す。
「……あのとき俺が使っていたのは、リンクジョーカーの根絶者(デリーター)。メサイアがリンクジョーカーを選んだのは、新たなクランを導くためだったそうだが……こいつがいなければ、俺は多分、罪悪感に耐えきれなかっただろう」
「……罪滅ぼし、ってことか?」
 話の筋は分かりやすいのに、それだけとは思えなくて、釈然としないままクロノはそう問いかけた。
 その声に、伊吹がちらりとこちらを向いた。意味深に微笑む。
「……最初は、な」
 優しげに、と言ってもいいのかもしれない、微妙なライン。
「な、なんだよ」
 つい臨戦態勢をとってしまったのは、その空気にどぎまぎしてしまったせいだ。
「いや。もし俺とお前が同年代だったら、俺たちはきっと、正真正銘の敵同士だったんだろうな」
「……そうか?」
「違うか?」
 ヴァンガードを消滅させようとする伊吹に、今の自分が相対すれば敵同士かもしれない。けれど、自分がそこまでヴァンガードに入れ込むようになった一因には、間違いなく伊吹の存在があって。
「……わかんねえ。あんた居なかったら、俺ヴァンガード始めてねえし」
 伊吹が意外そうな顔をしたかと思うと、次の瞬間破顔した。
「確かにな」
「自覚ねえのかよ」
 口をついて出た拗ねた言葉に、伊吹が不意を打たれた顔をする。
(しまった)
 アルコールのせいなのか、思ったより饒舌になっているようだった。こればかりは自分のワガママだという自覚があるから、クロノは慌てて言葉を継ぎ足す。
「あ、いや……なんていうか、あんた、いい人じゃねえかもしれないけど、悪いやつでもねえじゃん」
 必死さを押し隠して伝えるクロノの努力が、どこまで効を奏しているかは分からなかったけれど。
「だといいがな」
 そうはぐらかす伊吹が、それでもどこか嬉しそうだから、クロノはひとまずそれでよしとする。
「少なくとも俺は、驚いたぜ? 今日の話」
「第一印象が極悪でもか?」
「てめ、分かってて言ってるだろ。それでもだよ。俺にとっちゃ、あんたは最初からヴァンガードを守るために無茶ばっかやってた奴なんだ。そんなことがあったなんて想像しねーよ」
 伊吹がまた、意味深に笑った。
「強くなったな、本当に」
 唐突にも思えるのに、どうしてそう言われたのかは不思議と分かる気がした。照れ隠しに笑って、ところでそんなに友達いなかったのかとか、そう蒸し返してからの会話は、もう、他愛のない話の領域だった。

 * * *

 二人並んで歩く、夜の帰り道。もう何度も、繰り返してきた分かれ道。
 ぴたりと、クロノの足が止まった。
「……クロノ?」
 数歩先で、振り向いた伊吹がそう呼びかける。
 一歩一歩、踏みしめるように、クロノは伊吹へと歩み寄る。
 いつの頃からか、まっすぐに、前を向くだけで目が合う高さまで、伊吹との身長差は縮まっていた。
 そんな視線を躊躇いがちにそらして、呟くように告げる。
「俺はもう、子どもじゃねえんだよ」
「……そう、だな?」
 クロノが言わんとすることを測りかねるのか、伊吹はそう答えた。
 子どもじゃないと、そんな子どもっぽい主張を否定されなかっただけでは、もう、足りなかった。
 伊吹の目を見つめて、挑むように言った。
「伊吹、俺は、あんたが好きだ。あんたは俺のこと、どう思ってる?」
 数瞬、伊吹が固まった。
「何、を、言って……いや、待て」
 思考がまとまらないのか、口元に手を当てて考え込んでいる。
 クロノが、黙ってその先を待っていると。
「……参った」
 一言そう呻いて、不意に伊吹は、踵を返して歩き出す。
「伊吹」
 慌てて呼びかけると、伊吹は簡潔に答えた。
「場所を変えよう」

 * * *

 人気の無い夜の公園。ベンチに二人で腰掛けてからも、しばらく伊吹は無言で考え込んでいた。クロノはと言えば、待つこと自体は苦ではなかったのだけれど。
(めちゃくちゃ困らせてるな……)
 うんうんと唸る声が聞こえてきそうな伊吹の様子が、気にならないわけもなくて。
「……なあ、無理して今返事くれなくても……」
「いや、大丈夫……とも言い切れないが」
 そこで一応の踏ん切りをつけたのか、屈んでいた伊吹が背をそらす。
「あまり気を遣うな」
 言葉とは裏腹に、その声音には疲労が滲む。
「気ぐらい遣うさ、好きだからな」
「だからそういう……」
 畳みかけるなと言いたげな伊吹が、何に悩んで、何に躊躇っているのかは、クロノには分からない。さっきからずっと、視線はこちらに向けないままの、伊吹の横顔。
 俯きがちなままで、伊吹が言った。
「……本気なんだな」
 迷う理由は無かった。
「ああ」
 伊吹を失いそうなとき、離ればなれになりそうなとき。幾度となく出会っては、自覚した想い。もう何年も、大切に温めてきた想いだった。ここで迷うような理由など、とうに片付けてしまっている。
 そんなクロノの覚悟こそが、伊吹が頭を抱える一因なのかもしれないけれど。
「この展開は、想像していなかったんだ……本当に」
 想定の範囲内とはいえ、どことなく言い訳めいたその言葉に、多少のショックを受けていないとは言えなかった。
 それでもクロノは、黙って先を待つ。
「俺はお前に……お前が、お前の望む未来を掴めればいいと、それだけを、願っていた。それが夢ではなくなってからも、平穏な日常を、作っていければいいと……」
 第一印象はけっこう散々だったはずだけれど、伊吹は本当に保護者のように見守っていてくれたらしい。それはそれで、複雑ではあったけれど。
「俺にとって、お前は……希望、だった」
 伊吹が躊躇うように過去形を使うものだから、クロノは聞き返す。
「……今は?」
「……それが決まる前に、お前が爆弾を落とした」
「……なるほど」
 なんとなく先が読めてきて、クロノは伊吹へと身を乗り出す。
「で?」
「がっつくな」
「気ぃ遣うなって言ったじゃん」
「確かに言ったが、お前、は」
 抗議なのか続きなのか、よく分からない言葉に、クロノが囁く。
「……聞かせてくれよ、あんたの返事」
 臆面も無くねだるような言葉が出てきたのは、そろそろ我慢も限界だったからだろう。
 張り詰めていたものを解くように、伊吹がひとつ、大きく息を吐いた。
「……今日、言っただろう。俺がヴァンガードを守るのは、最初は罪悪感からだった。だが、お前と共に闘ううちに、それとは関係なく、お前達の未来を守りたいと……俺達の未来を守ると、そう、思えるようになったんだ。……その間に、まさかこんな爆弾を仕掛けられているとは思わなかったが」
 伊吹が立ち上がると、手のかかる子にするような顔で笑った。
「……お前が望むなら。今は、こんなことしか言えないが……それでもいいか?」
「伊吹……」
 クロノの気持ちに、今はまだ追いつけないから。そんな躊躇いがちな返事に、嘘は何一つ無くて。
「じゅーぶんだよ」
 そう言って立ち上がると、クロノは伊吹へ右手を差し出す。
「手、つなごうぜ」
 促されて、伊吹はその手を握る。顔に似合わず、と言ったら失礼かも知れないけれど、やさしいぬくもりを感じた。
 照れくさそうな伊吹に、にやりと笑った。
「ぜってー、離してやらねーよ?」
「……お前、いつからそんなこと思ってたんだ……」
「さあ? 俺だってわかんねーけど、好きになるなってほうが無理だと思うぜ」
 饒舌なのは多分、クロノも照れているからだ。
 そんなクロノにため息をついて、伊吹が言う。
「……そうなんだろうな、きっと」
「なんだよ、うぬぼれんなよ?」
「そうじゃない」
 歩き出した伊吹が、振り向かないままで言った。
「俺も似たようなものだ」
 ぼそっと、そう言った顔を伊吹は見せてくれなかった。
「え、マジで、今のもう一回」
「調子に乗るな!」
 今までと、同じようで違う軽口をたたき合う。
 多分もう、道はひとつになっていた。
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K玲(仮名)のハンドルで主にヴァンガードSSを投稿しています。日記に載せたのを後日修正転載が基本。
pixivからこのサイトにはリンク等を貼っていません。あんな大手SNSからこんなコアなサイトに直接飛べるようにする勇気無いです\(^o^)/
あと最近転載しているTwitterはpixivのプロフから飛べます。非公開中です。なんでそんなめんどくさいことしてるんだなんて聞かないであげてください。コミュニティごとに人格切り替えないとパニックになるタイプなんだよ!!(明らかに最初にpixivとHP切り離したのが敗因)

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