リスペクト公式、と言いつつBL・GL妄想上等の色々無節操なのでカオス注意。
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最終回後で遊作が了見にフュリアス返しに来る話。察しと面倒見がカンストしてるタイプの鴻上了見。もう真面目にこいつAiの融合読んでたとしか思えなくなってしまった…。ハノイの騎士本名分からないのけっこう困りますね…もう全員アカウント名にしたけど…。あとファウスト出せなくてごめんな…。 追記:了見、融合以前にAiが単体で生き残ると人間が滅ぶシミュから知ってる気がしてきたいや絶対知ってるだろ助けてくれ


 広がる青空のもと、海面で揺れる波も穏やかな昼下がりだった。
 ハノイの騎士の拠点たるクルーザー内に、控えめなアラートが鳴り響く。モニターを見ていたバイラは冷静に報告した。
「LINK VRAINSへの不正アクセスを感知。これは……Playmaker!」
「戻ってきたようだな」
 了見は驚くでもなくそう言って笑った。それは、三ヶ月ぶりに聞いた友人の消息だった。
「本当に、帰ってきたのですか」
 Playmaker――遊作がいずれ帰還することを了見が確信していたのは知っていたが、スペクターは半信半疑だった。けれど確かに、ネットワークには彼の反応が示されている。
「どうされますか?」
「放っておけ。必要があれば向こうから接触してくるだろう」
「……そのようで」
 そう言ったのはゲノムだった。
「こちらのシステムをハックされました。Playmakerからメッセージが届いています。DenCityで、了見様に会いたい、と」
 この行動の速さには、さすがの了見も面食らっていた。どうもアクセス自体がそのためのものだったようだ。
 しかもLINK VRAINSではなく、DenCityを指定してきたということは――
「……分かった。メッセージをこちらに」
 ――用件を察して、了見はそう言った。
「お供いたしましょうか?」
「いや、いい。私一人で行く」
「分かりました」
 スペクターの申し出を断って、了見は転送されたメッセージを確認する。日時に問題はなさそうだった。
「クルーザーの移動を頼む。それからシステムのセキュリティチェックを」
「鮮やかにハックされてしまいましたからねぇ……さすがはPlaymaker、と言ったところですが」
「全くだ」
 くっくっと小気味よさそうに笑うゲノムに、了見も同意した。
 それは少し前の了見には考えられなかったほど、ただただ平穏な日常の一コマだった。

 * * *

 海鳥が空を渡っていく。岬にそびえる旧鴻上邸。今は少しずつ廃屋への道をたどるそこに、監視の目は張られていない。鴻上博士、そしてハノイの騎士が何をしたのかは、今もSOLテクノロジー社の手で闇に葬られている。
 庭先でもある岬で海を見つめる背中に、了見は声を掛けた。
「久しいな、藤木遊作」
「……来たか、了見」
 振り向いた横顔は、以前より少し大人びたようだった。この三ヶ月何をしていたかは知らないが、単独であれこれ動いていたことは間違いない。
 いや――そうではなくて、三ヶ月前の出来事こそが、彼の時をまたひとつ押し進めたのだろう。
 了見はその隣に立って、懐かしい景色を見つめる。
「一応聞いておくが、用件は何だ」
 そう聞かれて遊作は、デュエルディスクから一枚のカードを抜き取って了見に差し出した。
「これを……返そうと思ったんだ」
「……やはりな」
 それは三ヶ月前、二人が最後に会ったときに、了見が遊作に渡したカード。ヴァレルロード・フュリアス・ドラゴン。
「お前のカードだろう」
 受け取ろうとしない了見に、遊作が不思議そうな顔をする。
「それはお前にくれてやる」
「え?」
 幼さの残る驚いた顔から、了見は目をそらすように海を見つめた。
「奴はお前に、融合を持ち掛けたか?」
「……!」
 息を呑む気配。言葉よりも雄弁な沈黙に、了見は続けた。
「……奴の考えそうなことだ」
 ライトニングの意思を継ぐ。そう言った闇のイグニス――Aiの真意を、遊作は掴めていないようだったけれど、状況が進むほど了見には謎が解けていくようだった。光のイグニスが求めたのは、完璧になるための統合計画。ならば対極たる闇もまた、何らかの統合を求めるだろう。
 それは遊作に宛てられたメールで確信に変わった。全てはこのお人好しの元復讐者を、罠にかけるためだったのだと。
 彼の目的はきっと、孤独を癒すための統合計画――遊作との融合なのだろうと。
「……ロスト事件の傷と、それによって目覚めたリンクセンスは、お前を誰よりもAIに近い人間にした。そして奴は、そんなお前を補完するように、人間らしい……人間のようなAIになった。……だがそれでも、奴はAIだ。それはお前も分かっていた事だろうがな。……分かっていなかったのは、奴本人だけだ」
「……ああ」
 痛みをこらえるように、眉根を寄せて遊作は同意した。
 了見が察したように、Aiが暴走した理由の一つは、人間とAIという、遊作とAiの違いだった。
「……だから私は、お前にそれを渡した」
 手にしていたカードを、遊作はもう一度見つめた。
 イグニスの持つ最高の力、裁きの矢(ジャッジメント・アローズ)を破壊したカード。
 了見から渡された、生命の息吹たる闇属性のドラゴン。
「……お前はまた、俺を救ってくれたんだな」
 カードを胸元に引き寄せて、遊作はそう言った。
「……お前がそう思うならな」
 ずっと否定してきた言葉を、了見はもう否定しなかった。
 彼を救ったことへの後悔は、父の仇であるライトニングとの決着とともに、空へと溶けていった。
「この話をすれば、恨まれても不思議はないとも思っていたが」
「まさか」
 空元気でもなく、それは本心であるようだった。
 知っていたからといってどうなるものでもない。それは遊作も分かっているのだろう。第三者が、軽々しく口を挟めるような状況でもなかった。
「……今も、Aiを探しているのか?」
「ああ。微弱だが、ネットワークに気配を感じるんだ。まだ掴み切れていないが……」
「こちらでも情報が掴めれば提供しよう。連絡手段を教える。次からはハッキングは遠慮してくれ。それなりに肝は冷える」
「分かった」
 了見が差し出したアクセス用のプログラムカードを、遊作は受け取った。
 相変わらず、中身を精査することもなく即座にデュエルディスクにインストールされたけれど、了見はもうそういうものと受け止めてしまっていた。超級のハッカーが形無しになる、自分はそういう存在だと知っている。
「お前はAIに近すぎる。その危うさは、ロスト事件の後遺症でもある。……お前は俺と同じ世界の、生身の人間。忘れるな、遊作」
 遊作が目を瞠った。
 囚われた運命から解放された先で、もう一度交わった未来が、確かにここにあった。
 ほころんだ顔で、遊作は頷いた。
「ああ。恩に着る」
「礼はいらん。……息災でいろ、それだけだ」
「お前も」
 了見は無言で首肯した。
 それを確かめると、遊作は颯爽と了見に背を向ける。
「じゃあな」
「ああ」
 帰って行く――また戦いへと戻っていく遊作の後ろ姿を、了見は見送った。
 自らもまた、やるべきことをやらねばと踵を返した。
 ネットワークの監視者。それはもう、過去に根ざす贖罪ではなくて、例えば彼が生きる世界を守る使命だ。
 そうやってまた、未来を繋いでいく。
 吹き抜けた風に引かれて見上げた空は、いつかと同じように、どこまでも高く広がっていた。

 fin.



+++

了見の推理は情報が少ないからこそできる類いのやつなので、当然Aiのシミュレーションとかについては知らない設定です。
追記:いやむしろ知らないわけがなくね???という結論に達しました待ってくれ。
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