リスペクト公式、と言いつつBL・GL妄想上等の色々無節操なのでカオス注意。
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最終決戦後謎時空平和次元切ない系。あわや無理矢理?と思わせて全然そんなことない寸止め。Aiはソルティス。哀しくて言えないAiの隠し事を黙って受け入れる遊作の優しさとそれにつらいとか言ってるAiの繊細さがめちゃくちゃ好きなので切ないのしか書けません。百合…。クイーン拉致ったような電脳空間ならなんでもできるんじゃね?って思いついてみたけど私には宝の持ち腐れだった…。


 静かな夜のことだった。
 風呂上がりのパジャマ姿でベッドに腰掛ける遊作に、Aiははいどーぞとホットミルクを差し出す。
「ありがとう」
「どーいたしまして」
 Aiは笑ってそう答えると、就寝準備にと家事ロボよろしく細々したものを片付けていく。
「いや~遊作ちゃんもずいぶん素直になったよねえ」
 冗談程度のつもりで言った言葉に、少し考えるような間があってから、遊作は瞳を伏せたままで言った。
「……以前のお前に本音を晒すのは、正直少し怖いところはあったからな」
「………」
 以前の、がいつまでを指しているのか、Aiは理解していた。Aiが言わなかった五年間の干渉について、二人で共有するまでだ。それも結局、Aiは自分からは言えずに遊作の方から聞くように誘導した。
 分かったから、Aiから表情が抜け落ちた。
 無言のまま、遊作の手からコップを奪い取って邪魔にならないように机に置いて、呆気にとられている遊作の両手首をそれぞれ掴んで、仰向けに押し倒してベッドに縫い止める。
「っ、Ai?」
 驚いて見上げた顔に、冷たいくらいの真顔で告げる。
「……メチャクチャにしたくなったんだけど、どうしてくれんの」
「何を言って……っ!?」
 遊作が答えるよりも早く、Aiの瞳が金色に輝く。右手の人差し指で、遊作の額に触れた。
 一瞬の閃光と、浮遊感のあと。
 そこは一見、さっきまでと何も変わらない遊作の部屋だったけれど、同じはずがなかった。
「Ai、お前何を……!」
 流石に若干の警戒心が覗く遊作の手をもう一度押さえつけながら、Aiは答える。
「分かってんだろ? 俺が作った電脳空間にご招待したんだよ。リンクヴレインズとも違うから、まあ慣れてねえかもな?」
「そんなことを聞いてるんじゃない! 手を離せ……っ!」
 険しい表情で遊作はAiを睨むけれど、体格差に体勢が手伝って、遊作にAiは振りほどけない。  ひとしきりそんな遊作を見下ろして、Aiは――その視線から逃げるような気持ちで、遊作に覆い被さった。遊作の頭の隣、もはやベッドに顔を埋める勢いである。
「……おい!」
 さすがにさっきとはニュアンスの違う抗議の声だった。翻訳すると、「なんなんだ一体」。
「……ごめん、キレちゃった。いやお前悪くないしそこは安心してほしいんだけど」
 打って変わって軽いトーンの早口で、Aiはまくし立てた。
「……どうしたんだ、Ai」
「遊作が怖かったとか言うから……」
「………」
 Aiが言いづらさに口ごもると、遊作は何も言わずに先を待ってくれる。
(だからそういうとこ……)
 そんな遊作に追い打ちを食らいながら、Aiは言葉を紡ぐ。
「……ひどいことしてたなー……と思ったのが、そうさせてたのは誰だよっていう八つ当たりにだな……」
「……なるほど」
「納得しないで……」
 Aiちゃん泣いちゃう。
 そう言いながら、手首を押さえつけていた手をほどいて、代わりにその手のひらに、自分の手を重ねた。
「お前はずっと、俺がお前に言えなかったこと、分かってたのに、黙って聞かないでくれてたじゃん。……そういうお前に俺は、傷つきながら救われていたんだ」
 重ねた手に、指を絡めてそっと握る。
「そりゃ怖いよな……。裏で糸引いて復讐なんかさせたような奴が、そのこと黙ったまま言わないなんて。……信じるのに、勇気要ったよな」
「………」
 不意にそっと、遊作の指が握り返してくる。
 ただ優しいだけの仕草なのに、どうしようもなく、Aiの胸は痛んだ。
 やっとの思いで遊作から身を離して、泣きそうな気持ちでもう一度見下ろすと、ただ静かな瞳がこちらを見つめている。
 言うべきことを言わないせいで、散々後悔してきたはずなのに、やっぱり何も言えないままで、Aiは遊作に顔を寄せる。許すように瞳が閉じられて、そのまま唇を重ねた。
 唇を離すと、目を開けた遊作は、Aiのつらい顔を映したような顔をしていた。
「遊作。本来AIにそういう欲求はないが……俺は、本能があるから。分かることもあるんだ。俺はお前に許されると、めちゃくちゃ傷つくし、すげえ大事にしたいって思う。傷つけたくて、抱きしめたくなる……」
 言いながら、相変わらずずるいやり方だと頭を掠めるけれど。
 切実な気持ちも本当だった。
「……頼むよ。俺のこの夢の中で、俺に抱かれてくれないか」
「Ai……」
 悩ましげに、遊作の瞳が揺れた。
 沈黙は多分、覚悟を決めるのに必要な時間。
 選択の余地がないような場面でも、遊作はそうやって、自分の選択に変えていく。
「……分かった。お前の気が済むようにしろ」
 とうとうこらえきれずに、涙が一粒こぼれた。
「……ありがとう、遊作」
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