リスペクト公式、と言いつつBL・GL妄想上等の色々無節操なのでカオス注意。
長義と国広極の回想57「ふたつの山姥切」の一解釈です。前提は前の記事の考察です。
遠き面影 長義Side
「やあ、偽物くん」
「……写しは、偽物とは違う」
俺が言ってることはそんなことではない。本当に分からないのか?
「俺を差し置いて、『山姥切』の名で顔を売っているんだろう?」
「……名は俺たちの物語の一つでしかない」
「なに?」
かけられた言葉に、耳を疑った。
名は一つでしかない?
俺はその一つだけでここに来たのに。
お前が覚えている俺が、それしかなかったから。
「俺達が何によって形作られたのか、それを知ることで強くもなれる。けれど、もっと大切なことがあるのだと思う……」
本気で言っているのか。
「何を偉そうに語ってるんだよ」
「お前とこうして向き合うことで、また一つ分かった気がしたんだ……」
「俺がいる以上、『山姥切』と認識されるべきは俺だ! お前がどんなに御託を並べようと、それは変わらない!」
「そうかもしれない」
以前よりもっと悪化している。
己の中の『山姥切』の幻影を――かすかに残った俺の残滓さえも、お前は捨ててしまったのか?
「すまんな、まだ考えてる。こうして戦いながら。……また話をしよう」
「……っ」
向けられた背にかける言葉はなくて。
「……くそっ、くそっくそっ! なんなんだよ!!」
俺とお前がどんな繋がりを持っていたのか、お前が思い出してくれなければ。
俺はお前の、名さえ呼べない。
遠き面影 国広Side
「やあ、偽物くん」
違和感が、あった。
「……写しは、偽物とは違う」
本歌なら、そんなことは知っているはずだ。
「俺を差し置いて、『山姥切』の名で顔を売っているんだろう?」
ああ、と。少し合点がいった。
これは、俺がずっと思っていたことだ。
俺は本歌を差し置いて、『山姥切』の名で顔を売っている。ずっとそう思っていた。だから綺麗と言われたくなかった。見せびらかされたくもなかった。何のために、誰としてここにいるのか、分からなくなるから。
「……名は俺たちの物語の一つでしかない」
「なに?」
俺はその名を、ずっと「自分のものではない」と思い続けてきた。
けれど、数多の伝説を知ってやっとわかった。
その由来が本科であろうと俺であろうと、自分の名には変わりがないのだということ。
「俺達が何によって形作られたのか、それを知ることで強くもなれる。けれど、もっと大切なことがあるのだと思う……」
「何を偉そうに語ってるんだよ」
「お前とこうして向き合うことで、また一つ分かった気がしたんだ……」
俺は俺だと叫びながら、俺はずっと、どこかで本歌に依存していた。
「俺がいる以上、『山姥切』と認識されるべきは俺だ! お前がどんなに御託を並べようと、それは変わらない!」
「そうかもしれない」
『山姥切』と認識されるべきなのは長義の刀だ。確かにそう思っていた。
けれど、これではあまりにもかつての俺の認識そのままだ。
(これは……本来の本歌では、ないのか?)
「すまんな、まだ考えてる。……こうして戦いながら」
俺は国広第一の傑作、それをもう見失いはしない。
そして「山姥切国広」の名を持つ以上、『山姥切』を自分と無関係とはもう言えない。
それでも――「『山姥切』の写し」以外の自分を、まだうまく持ちきれないでいる。
「……また話をしよう」
俺にもともと写されたはずの本来の本歌の姿を、見つけなければいけないのか?
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