リスペクト公式、と言いつつBL・GL妄想上等の色々無節操なのでカオス注意。
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俺が考えた最高にかっこいい霊剣『山姥切』長義くん。
伯仲を意地でも二人きりでしか会わせない本丸での国広と長義の話です。
あえて内番セリフを出陣に振り替えて改変してますが見逃してほしい。


「俺こそが長義が打った本歌、山姥切。聚楽第での作戦において、この本丸の実力が高く評価された結果こうして配属されたわけだが、……さて」

 * * *

 政府から派遣された監査官、山姥切長義が本丸に配属された。
 国広の本歌ということならと、審神者が最初に指示したのは、肩慣らし戦場への山姥切国広との双騎出陣だった。

「やあ、偽物くん」
 長義にそう話しかけられて、国広は怪訝な顔で答えた。
「写しは、偽物とは違う」
「俺を差し置いて『山姥切』の名で、顔を売っているんだろう?」
 どうやら意図が違ったらしいと、国広は困惑したまま答える。
「そんなことは」
「でもそれは、仕方がないか。だって、ここには俺が居なかったんだから」
「……それは」
 確かに、ここには本科の長義はいなかった。だからこそ国広は、自分は『山姥切』ではないと思っていたし、そう口にしてもいた。
「俺が居る以上、『山姥切』と認識されるべきは俺だ。そのことを教えてあげようと思っただけだよ」
「………」
 どういう意味だろう。
 長義が何を言っているのか、国広には正直よく分からなかった。

 * * *

“俺を差し置いて『山姥切』の名で、顔を売っているんだろう?”
“そんなことは”
(ない……のか?)
 本丸に帰還して、夜の床に就きながら、国広は長義との会話を反芻していた。
 『山姥切』の名で顔を売っていると言われて、「そんなことはない」と言おうとした自分のほうに驚いていた。
(俺は、ずっとそれを気にしていたんじゃないのか?)
 写しの自分は自分でしかない。どんなに「綺麗」と言われようと、「美しい」と言われる本科とは違う。彼の代わりにはなれないし、なりたいわけでもない。だから、「山姥切国広」の名を持つ自分のままで、顔を見られるのが嫌だった。比べられたくなかった。
“俺がいる以上、『山姥切』と認識されるべきは俺だ。そのことを教えてあげようと思っただけだよ”
(それは当然の……当たり前のことじゃないのか?)
 違和感の正体を掴めないまま、国広の意識は眠りへと落ちて行った。

 * * *

 長義は出陣を繰り返し、着実に練度を上げていた。
 国広はそれを、内番で指示される手合わせで感じていた。長義は殺気を隠そうともしない。何故そこまでの感情を向けられるのかは分からなかったけれど、抜き差しならない何かがあることは、理解せざるを得なかった。

 長義の練度が高まったからなのか、国広と長義はまた、双騎出陣を命じられた。
 ぞろぞろと沸く時間遡行軍を前に、二振りが肩を並べる。
「いい機会だ。本物の太刀筋を見せてあげるよ、偽物くん」
「写しは偽物とは違う。――俺は俺だ!」
 そう言って国広は地面を蹴った。言い慣れた台詞のはずなのに、長義が来る前とは感触が全く違った。重苦しい何かを振り払うのではなく、ただ高らかに宣言するような感覚。彼と共に戦っていると何故か、前よりも体が自由に動く。
 けれどそれ以上に、長義は奔放に戦っていた。
「ぶった斬る!」
 猛進して敵を薙ぎ払う。戦場で舞う彼は、普段よりもギラギラしている。
(これが、『山姥切』!)
 負けてはいられないと、国広も自然と気合が入る。
 視界の敵を片付けたのを見て、国広はふと長義と向き合う。
「………」
 自信に満ちた表情、挑発的な目。それは確かに、国広が思い描いていた『山姥切』のような気がするけれど――
(長義は聚楽第の監査官だったはずだ。それなのに、あのときのあいつと、像が……重ならない?)
「……山姥切長義、お前は一体……」
 不意に長義が、不敵に笑った。
「残念」
「……っ!」
 予備動作なしでの抜刀。長義の一閃が国広の頬をかすめて――背後の敵を切り裂いた。
「ギシャアアアアアア!!!」
 討ち漏らしがいたらしい。完全に油断していた。
「まだ不可だよ、偽物くん」
 美しい流し目に射抜かれて、国広は何も言えなかった。
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